東京都北区で3月、住宅など4棟が焼けて女性が焼死した火災で、東京消防庁が現場を間違え、最初に出動した隊の放水開始が5分遅れていたことがわかった。担当消防署の幹部が今月17日、女性の遺族を訪ねてミスを謝罪した。同庁は近く経緯を発表する。
■先月の北区火災、100メートル離れた消火栓に到着
東京消防庁の説明では、火災の通報があったのは3月23日午後1時16分ごろ。王子消防署東十条出張所から約20メートルの距離にある女性(86)宅から煙が出ているのを、近くの住民が気づいて出張所に駆け込んだ。
50代の男性消防士長が直接、女性宅に行って番地を確認。出動は本庁が指示する仕組みのため、通信担当の20代の男性消防士に本庁へ電話連絡するよう指示。この消防士が誤った番地を本庁に伝えた。
本庁からの誤った指示を元に最初に出動した消防車は女性宅から約100メートル離れた消火栓に到着し、同1時半に放水開始。規則で使うよう定められている火元に最も近い消火栓は女性宅から約40メートルにあり、ミスがなければ同25分には放水を始められたという。
後発の消防車が同28分に放水を開始しており、同庁は3月下旬の検証で、先発隊の到着遅れと女性の焼死との因果関係はないと判断した。一方、消防士長が通報を記録していなかった内規違反を確認したという。
火災で木造2階建ての女性宅約110平方メートルは全焼し、女性が焼死。火は隣接の建物にも燃え移り、住宅1棟が全焼し、マンション2棟の外壁などが焼けた。同庁警防部は「伝達ミスで出動場所を間違うのは管内では前例がない。都民に心からおわびし、再発防止に努める」と説明している。
全国の消防では救急車が現場を間違えるミスが相次いだため、総務省消防庁が昨年12月、通報内容を複数で確認するなど再発防止策をとるよう都道府県に求めていた。
(朝日新聞電子版より)
この記事の続報は見当たらない。東京消防庁は既に詳しい経緯を発表したのか不明だ。
この記事だけで判断すると、消防署の目の前で火災が発生。消防士長が現場を確認。20代の消防士に本庁に伝える様に指示。20代消防士は、誤った住所を本庁に電話連絡。本庁から誤った住所に出動命令が下され、消防隊は誤った場所に出動。
新聞記事には「伝達ミス」とあるが、あなたはどのようにお考えだろうか?
伝達ミスが発生する可能性は、以下のケースとなる。
- 本庁が消防署に誤った住所で出動命令を出した。
- 20代消防士は正しく伝えたが、本庁職員が住所を聞き違えた。
- 20代消防士は正しく聞き取ったが、本庁に誤った住所を伝えた。
- 消防士長は正しく伝えたが、20代消防士が住所を聞き違えた。
- 消防士長が誤った住所を20代消防士に伝えた。
- 消防士長が住所を誤認識した。
本庁で情報を受け取った職員と、出動命令を出した職員が別ならば、更にミスの可能性は増える。
この手の問題を「伝達ミス」と片付けてしまうと、再発防止は難しくなる。なぜ「伝達ミス」が発生したのか?と更に原因追及を深めなければならない。
そうすれば、消防署の目の前で火災が発生しているのに、わざわざ本庁に連絡し本庁からの出動命令がなければ消防隊が出動出来ないと言う、硬直した規則に問題が有ると気が付くはずだ。
消防車や救急車の出動は一刻を争うモノだ、いい加減な情報で間違った場所に出動してしまうと取り返しがつかなくなる可能性が高い。しかし「複数で確認」などと管理を増やしてしまうと、迅速性が損なわれる。
あなたの工場では、同じ様な事が行われていないだろうか?
一度全体を見渡すと良かろう。
このコラムは、2014年4月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第359号に掲載した記事です。
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