まとめ造りの無駄


 日系、中華系を問わず多くの生産現場でまとめ造りをしておられるのを、見かける。
一つの工程で複数の作業がある場合、一つの作業を全てのワークに施してから次の作業も同様に全てのワークに施す、このような作業方法を「まとめ造り」と呼んでいる。
それに対して、一つのワークに全ての作業を施し工程の作業を完成させ、順にワークを完成させて行く作業方法を「一個流し」と呼んでいる。ベルトコンベア作業は必然的に「一個流し」作業となる。

先週訪問した工場でも「まとめ造り」をされていた。
各工程で、加工ロット分のワークをまず作業台に並べる。まとめ造りで全てのワークに1作業ずつ作業し、工程作業を完成させる。その後机の上に並んだ作業済みワークをコンテナに入れて、次工程に送る。こんな作業方法を採用しておられた。
コンテナからワークを取り出し作業台に並べる、作業台に並んだワークをコンテナに戻すと言う作業が無駄だ。ベルトコンベアはなくても、一個流しは可能だ。未加工ワークをコンテナから取り出し、全ての作業を完了させた後、加工済みコンテナにワークを入れる。一個流しで作業をすれば、取り置き動作を省ける。従って一度に加工する個数が多ければ多いほどまとめ造りの無駄は多くなる。

一緒に現場を案内してくださった日本人指導者は即座にこの理屈を理解された。
しかし現場のリーダ達は、なかなか納得してくれない(笑)「絶対にまとめ造りをした方が速い」と譲らない。習慣による思い込みだろう。

こういう場合は、いくら理論的に教えても効果はない。体験で腑に落ちる様にしなければならない。教えても、今までの経験や学習によって積み上げた知識がそれを否定すれば、新たな学びは発生しない。体験する事により、今までの経験や学習を通して、新たな知識を作り出す事が出来れば学びが発生する。
つまり「学び」とは、上から与えられて発生するモノではなく、体験を通して自分の中で作り上げるモノだ。

「一個流し」の優位性は、以前このメルマガでご紹介した「封筒貼り」実験で体験できる。

「まとめ造りvs一個流し」↓

まとめ造りvs一個流し

批量制造vs一个流

10枚分の封筒貼り実験で、一個流しの方がまとめ造りより1/3近く速かった。


このコラムは、2015年11月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第450号に掲載した記事に修正・加筆しました。

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