コラム」カテゴリーアーカイブ

異業種からの気づき

 ベンチマーキングはコンピュータの処理速度を比較するテスト、という意味で使われ始めたと認識している。いつの頃からか、企業のパフォーマンス比較という意味で使わられるようになった。ベンチマーキングにより優れた企業を見つけ、それをベストプラクティスする。つまり、優れた企業を見つけたらその真似をする。私は前職の社長が、ジャック・ウェルチとの懇談で聞いたと教えられた。

大野耐一が米国スーパーマケットの商品陳列をベンチマーキングしJIT、後引き生産方式を考え出したのは有名な話だ。

私たちはベンチマーキングをもっと直接的にTMP(トータル・マル・パクリ)と呼んでいる(笑)
マルパクリではその本質・真髄は解らないだろうと反論される方も多い。
しかし物事の本質・真髄とは形から入って極めるものだと、私は理解している。茶道、花道、能、歌舞伎などの伝統芸能は、理論から勉強してその真髄を学ぶのではなく、まず形から入り真髄を極める。

TMPを実践し、それが習慣となれば真髄が身についたことになると考えている。5S、KY、改善活動など理論を理解して何も起こらない。実践し、それが習慣になるまで継続して初めて成果が得られる。まずは実践してみることだ。

ただし、同業者からのTMPは推奨していない。なぜなら業界トップ同業者をTMPしてもその企業を超えることはできないからだ。異業種からのTMPならば同業内でトップになる可能性がある。


このコラムは、2013年1月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第291号に掲載した記事です。

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【中国生産現場から品質改善・経営革新】

継続は力か

 「継続は力か」というタイトルにした。「継続は力なり」と断定調ではない。どちらかというと「継続は力かもしれない」「継続すれば力になるといいなぁ」という程度の話だ。

実はこのメルマガは2007年10月1日に第一号を配信している。今週の配信で15年目に突入した。
たまに読者様からご感想のメールをいただくこともある。そういう時は継続の意欲が盛り上がるが、普段は継続意欲というよりは、習慣になっている感じだ。

金曜日あたりからソワソワしだし、土日で次週分を書き上げている。
次回配信で1200号となる。536号までは1回の配信にコラムを3本書いていた。総配信コラム数は2,272本となる。自分ながらよく継続できたと思う。

中国における製造業に関するテーマでメルマガを配信し続けていれば、お客様が増えるかもしれないという期待を持って始めたが、その効果はほとんどない。
メールマガジンを配信し続けても仕事のご依頼はほとんどない。
継続により得られたのは継続力だけかもしれない(苦笑)

それでも自分自身の頭の整理や思考訓練にはなっている。
最近は「ボケ防止」と称してパズルをやっているが、メルマガ配信も同様な効果はあるかもしれない。もうしばらく続けようと思う。


このコラムは、2021年10月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1199号に掲載した記事です。

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TOTOのトイレ製品、欧州で狙う「華麗な地位」

 日本の輸出品といえば車と家電だけかと思ったら大間違い。生活用品をはじめ、実に多くの日本製品が海外で使われている。欧州のトイレ市場に参入を図るTOTOの試みを見てみよう――。本連載「日本ブランドが世界を巡る」では、日本で売れている製品の工業デザインやパッケージが、海外進出の際にどう変化しているかに迫る。ものづくり企業のマーケティング担当者や製品開発者をはじめ、多くのビジネスパーソンに役立つはずだ。

(日本経済新聞より)

 TOTOの欧州市場戦略を紹介する記事が出ていた。TOTOの便器は、中国でもちょっと別格の扱いで、ショールームに展示してある。
中国の一流ホテルでは、アメリカンスタンダードの便器をよく見かけるが、TOTOの便器はもう一段上の水準という印象を受ける。

TOTOの便器が汚れ難いのはなぜか?
それは便器の表面がナノメートルの精度で平らだからだ。安物の湯のみなどはすぐに茶渋がついてしまうが、高級磁器の湯のみは茶渋がつかない。これと同じ原理なのだ。
汚れや茶渋は、表面の荒さに引っかかる。全く平らならば水を流すだけで汚れは流れ落ちてしまう。

「汚れがつかない」という要求品質を、便器表面の平滑度という品質要素を徹底的に磨き上げて実現している。便器はかなりの大きさであり、しかも量産でその平滑度を実現しなければならない。相当難易度の高い、製造技術の開発が必要になるだろう。

こういう品質を追求した製品開発、モノ造りが日本の強みだと考えている。
そこまでコストをかけなくても、と考えればそこいらにあるモノと同様にコスト競争にさらされる。

またもう一つの日本のモノ造りの強さは、ウォシュレットに代表される様な徹底的にユーザの使い勝手を追求するところだろう。
中島聡が言うところの「おもてなし」、サイトウ・アキヒロがいう「ゲームニクス」と共通したモノだ。

参考図書
「おもてなしの経済学」中島聡著
 
「ゲームニクスとは何か」サイトウ・アキヒロ著

1980年代の後半に、コンピュータ周辺装置のマーケティング会社が開催したセミナーに参加したことがある。欧米、日本のプリンターメーカの開発者がパネルディスカッションをした。
PCの普及により、紙の消費が減ると言われていたのに、むしろ紙が増えている。という話を、日本人パネラーが「日本ではトイレの紙の消費削減にも成功しているのに……」と発言した。
その瞬間に、欧米のパネラーが一斉に日本人パネラーに視線を送ったのを、鮮明に覚えている。

当時日本では当たり前だったウォシュレットは、世界ではまだその存在すら知られていなかったのだ。

余談だが、パネルディスカッションの同時通訳が、「パルプの消費」という日本語を「consumption of Pope」と聞こえてビックリした。「紙の消費」ならぬ「神の消費」だ(笑)


このコラムは、2013年1月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第291号に掲載した記事です。

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5Sの見える化

 以前中国企業に5Sの指導をしていて、奇妙な要求を受けたことがある。
工場内をレイアウトに合わせ、床に色を塗りたいと言う。一般的に作業エリアは緑、通路はオレンジ色に塗る事が多い。テープの色などと合わせて教えるが、通路に足跡も表示したいと要求を受けた。歩行方向を指定したいのならば、矢印で十分だが、やはり足跡を表示したいという(笑)
事情を聞き出すと、中国ローカルのコンサル会社に5Sをやるならば、通路に足跡を表示して、従業員がそれに従って歩く様にするのが良いとすすめられたそうだ。

床の色を塗り分けると、レイアウト変更の度に床を塗り直さなければならない。
そのため床の色は一色にして区画表示のテープで通路と作業エリアを表示する。
この方がムダなコストがかからないはずだ。
作業エリアや、部品の一時置き場などに表示するカンバンも簡単に入れ替えが出来る様にする。

足跡を表示する事に反対はしないが、ムダなコストをかけずに、フレキシブルにやる方が良い、と説得するが、経営者はどうしても足跡を表示したい様だ。

くだんのローカル系コンサル会社は、床の色塗りから足跡の表示までセットで請け負ってくれるそうだ。こんな事をしただけで5Sが良くなるとは思えない。元々内装工事業者が、工場の塗装仕事を請け負いたくてコンサルをしているのではと、勘ぐりたくなる(笑)

5Sの整頓を一言で言えば「見える化」だが、このコンサル会社は、5Sをやっている事を見える化してくれる様だ。

お金をかけてでも5Sを一生懸命やろうという決意は買うが、見栄えだけを狙うのでは長続きはしない。

通路をきちんと表示することにより、安全性が高まる、ムダな動きが少なくなる、現場にムダなモノが置けなくなる、などの具体的効果を狙うべきだ。
わざわざ足跡をいくつも表示する事はないだろう。
どうしても足跡を表示したいのであれば、足跡の間隔を90cmにして、テキパキと歩く様にしてはどうか、と提案した(笑)


このコラムは、2013年1月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第294号に掲載した記事です。

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組織文化が習慣を変える

 良い習慣を根付かせようとすると良い組織文化を持たねばならない。
個人は集団の同調圧力によって行動を左右される、と言うのが心理学者の定説の様だ。ソロモン・アッシュの社会的同調の実験では、図に書いた線の長さを答えると言う単純な問題にさえ、被験者は他人(意図的に間違った答えを選択するサクラ)に影響され間違った答えを選択すると言う。

人間ばかりではない。木の実を割るのがうまいチンパンジーをヘタな群れに入れると上手に割れなくなる、と言う実験結果もあるそうだ。

組織文化と言っても、大上段に考えることはない。
以前ご紹介した「指差点呼」や5S、ホウレンソウも組織文化と言えるだろう。

5Sやホウレンソウなどの良き組織文化を持てば、後から来る人たちもそれに
習うはずだ。仕事の教え方、学び方、仲間に対する対応など大切な組織文化
だと思う。


このコラムは、2022年4月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1284号に掲載した記事です。

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バッテリー切れ対策

(フカボリ)AED、ここぞの時に動かず… バッテリー切れ多発

 救急車に搭載する自動体外式除細動器(AED)のバッテリー切れなどが
相次ぐ。総務省消防庁は全国の消防に点検の徹底を求めている。各地の施設にもあるAED。どう管理されているのだろうか。

 3月はじめ、愛知県犬山市で起きていたケースが発覚した。
 2年前、救急救命士らが心肺停止状態の80代男性宅で、救急車のAED電気ショックを4回した後に続けようとしたが、5回目はできなかった。
市消防本部によると、バッテリー残量が不足し、予備バッテリーも充電でき
いなかった。男性は死亡したが、同本部は「因果関係は認められない」とする。

  • 救急車来たが
     1月には東京消防庁の救急隊がバッテリーを装着せず、70代男性宅へ出動。12分間、電気ショックをできないまま病院へ運んだ。
    2月にも千葉県成田市で心肺停止状態の70代女性に救命措置をする際、バッテリー切れだった。

     成田市などの件をうけ、総務省消防庁は、全国の消防にAEDの点検徹底を求める文書を出した。
     同消防庁によると、救急車のAEDは毎朝とその都度の使用後に点検。バッテリーの充電や予備バッテリーの搭載などを確認する。犬山市のケースで
    も隊員が当日、バッテリーを確認していたが、残量を見誤ったとみられている。

     AEDの設置は全国の職場や学校などに広がる。
     日本救急医療財団の「全国AEDマップ」によると、任意登録ではあるが、全国に約34万個設置されている。
     各施設のAEDは、救急車搭載のタイプと異なり充電式ではなく、バッテリーが切れるとメーカーから新しいバッテリーを取り寄せる仕組みだ。
     厚生労働省によると、バッテリーを含めAEDの管理方法は法令に定めが
    ない。消防法で6カ月に1回以上の点検が定められた消火器などと異なり、
    AEDの管理は設置者らに委ねられている。
     静岡県職員の池田正樹さん(52)は5年前、商業施設で男性が倒れている現場に遭遇した。店員が持ってきたAEDを使おうとしたが、バッテリー切れだった。近くの別施設のAEDを使った。その男性が助かったのか分からない。設置者に聞くと、「点検はしていなかった」と話したという。池田さんは「AEDの管理は利用者任せでいいのだろうか」と疑問を呈す。

  • 「毎日点検を」
     バッテリーの寿命はメーカーによって異なるが、医用電子機器メーカー日本光電製は約4年。電気ショックを十分できるバッテリー残量がない場合、表示器が緑から赤に変わる。
     バッテリー切れが近づくと本体と連動したシステムで同社も把握できる。
    購入時に登録した設置者らにメールで通知する。それでも同社は「『使用可』の緑色になっているか毎日点検を」と呼びかける。
  • (朝日新聞より)

長文の引用になってしまったが、記事中の『1月には東京消防庁の救急隊が
バッテリーを装着せず、70代男性宅へ出動。12分間、電気ショックをでき
ないまま病院へ運んだ』という事故は以前このメルマガでもご紹介した。

バッテリー積み忘れ

メルマガでは、付属品(予備バッテリィ)と充電状態の見える化と、日常点検を提案した。

AEDメーカの日本光電はバッテリィの充電状態を見える化した。使用可能状態を緑ランプの点灯。要確認状態を赤色とバッテンの表示にしている。
使用可能状態が緑ランプは問題ないだろう。しかし要確認の表示を赤色点灯にするとバッテリィが消耗してしまうと何も表示されなくなる。

バッテリィの電力が足りなくなるとメカ的に反転し、赤色面に反転するようなメカニズムを組み込んでおけば万全だろう。

以前使っていたオフィスの非常灯は、正常時内蔵バッテリィに充電、停電時内蔵バッテリィにより点灯、という仕組みになっていた。毎日退勤時に主電源を落とすことによりライトと電池が正常であることが確認できる。電池の劣化は翌朝朝出社時に非常灯の明るさで確認できる。

 難しい手順や複雑な仕組みでバッテリィの確認をしようとすると、ミスやモレが発生する。単純簡単な点検方法を考えると確実に遵守される。


このコラムは、2022年5月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1288号に掲載した記事です。

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朝飯後

 コロナ禍で日本に一時退避のつもりで帰国し、ほぼ1年間座敷牢に軟禁状態だった。その間200冊余りの本を読んだ。本ばかり読んでいると馬鹿になると思い、パズルゲームの本(また本だ・笑)も試した。その延長で「ナンプレ」というパズルを知ってしまった。3×3マスに1から9の数字を入れ、それを縦・横3×3積み上げて、どの列・行ともに1から9が入る様にする。という単純なパズルだ。思考力の訓練になると思い始めてみたが、病みつきになっている。思考力向上の効果は已然現れてこない(苦笑)

朝日新聞の土曜版にクイズが出題される。最近はどうしたわけか毎日クイズが出る様になった。朝食前に記事を読み、朝食を食べながらパズルを解くのが習慣になった。クイズは「朝飯前」とはいかず、出社時間になっても解けない日がある。そういう日は、なんとなくモヤモヤしており退勤後再びチャレンジすることになる。「朝飯後」に解けている日はなんだか頭の回転が良くなっている様な気がして、仕事が捗る(笑)

今朝のナンプレは簡単だった様で、朝飯中に解けてしまった。
今日は仕事の効率が上がっているかといえば、そうでもなさそうだ。
どちらかというと「仕事が捗るといいなぁ」という願望だろう。


このコラムは、2021年11月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1217号に掲載した記事です。

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指差喚呼

 「指差喚呼」とは鉄道の運転手がやっている指差し点呼確認動作のことだ。
例えば列車運転手は出発前に前方にある信号機を指差し「出発進行」と発声。これは出発(信号)進行(緑)という意味だ。出発時の指差喚呼だ。出発信号等が赤色点灯ならば「出発停止」と点呼し発車しない。

運転手、車掌、駅職員皆がこの指差喚呼を行なっている。万が一事故があれば何百人、何千人の命が危うくなる。従って危険なところだけで指差喚呼をするのかというと、そうではない。習慣とするためにあらゆる動作で指差喚呼をしていると思う。

工場でも指差喚呼を取り入れると良い。
プリント基板に部品を挿入する作業員が、一斉に指差喚呼をしていては騒々しくていけない(笑)しかし自分が挿入した部品は指差し心の中で数を数える。

部品の出庫・準備、設備の準備・設定など生産に重大な影響を与える作業は型通りに指差喚呼をした方が良いだろう。

ヒューマンエラーに対して作業者に対し「再指導・注意」などという対策より「指差喚呼」導入のほうが効果がありそうだ。


このコラムは、2022年2月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1259号に掲載した記事です。

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中国戦闘機、航空ショーで墜落 1人不明の可能性

 中国陝西省で14日、航空ショーに参加していた戦闘機が墜落した。墜落したのは国産戦闘機JH―7「飛豹」との情報もある。乗組員の1人は墜落直前に脱出したが、もう1人別の乗組員がいた可能性があり、安否を確認している。観客らにけがはなかった。

 航空ショーの主催者側によると、事故機はもともとデモ飛行に参加する予定はなかったが、要請を受けた飛行試験研究院がショーの時間に合わせて戦闘機を派遣。帰還する途中に墜落した。

(asahi.conより)

 地元のタブロイド紙『東莞時報』でもこの事故を一面トップで報道している。しかしネット上の電子版は、詳細記事が削除されていた。

中国中央電子台の中継が入っていたようで、克明な写真入で報道されている。
13日から16日まで開催されている中国国際通用航空大会にて、中国国産戦闘機・飛豹(FBC-1)が、デモ飛行中に観客の目の前で墜落した。

高度500mで飛行中に突然降下しそのまま地面に激突したようだ。

この戦闘機には2名乗務できるようになっており、一名は墜落直前に脱出した。墜落した現場はトウモロコシ畑で、地盤が弱く重機が入れられずに、人海戦術で残り一名の捜索をしているようだ。
飛豹に装備されている脱出装置は、理論上高度0mでもパイロットを無事に、機外に打ち出すことができるとしている。

墜落の瞬間の写真を見ると、農家と思われる家屋のすぐ裏手で火炎と煙が上がっている。航空ショーの観客席からわずか2kmの距離だ。
地上の人間には怪我はなかったと報道されているが、近所の農家は墜落機の破片が飛び込むなど被害があったと思われる。

軍事専門家によると、エンジンは実績があるので制御システムの故障の可能性があるとか。ネット上の記事によると、墜落した機は何度も実験飛行を繰り返しており、金属疲労したのではないかという意見もあった。

気になるのは、2009年にロシアとの合同演習中に飛豹が墜落していることだ。この時も低空飛行だった。
当時発表された事故原因は、パイロットの操縦ミスとなっている。『両人配合不当、操作疏忽』となにやら人為ミスの不具合解析書の定番の様な表現だ。

いずれにせよ、真相は赤いカーテンの向こうかもしれないが、直感的には整備不良による事故だったのではないかと思う。根拠はないが、身の回りで発生している事故を見ると、整備不良に起因していると思える事故が頻発している。


このコラムは、2011年10月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第227号に掲載した記事です。

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社内研修

 私の本来の仕事は、現場の改善だ。現場の改善を通してお客様の生産性、品質を上させ、業績に貢献する。そしてその活動を通してお客様の改善リーダを育成する。
そういう仕事を中心としているが、研修室での社内研修もしばしばお手伝いすることがある。現場での経験はできないが、演習を疑似体験とすることにより、知識だけではなく、能力が付くように工夫している。

そういう仕事を通して、お客様の教育担当者と話し合うことがある。

あるお客様では、社外講師による研修テーマを、受講生のアンケートで決めているた。これには非常に驚いた。確かに、受講生に興味があることを教えれば、効果は高いだろう。
しかし経営者が、どういうことを勉強して欲しいと願っているかが、優先するはずだ。研修を通して、経営者が必要と考えている知識・能力を従業員が得る。その結果従業員の行動が変わり、業績に貢献できるようになる。

社内研修をすることが目的ではない。
社内研修は手段であり、目的は業績への貢献だ。

研修の効果を直接業績数字で評価することは、困難だ。
往々にして、研修の目標を、年間○回開催、研修参加率○○%以上などと置いてしまう。要は研修が○○人・回以上行われた、ということが目的となってしまっている。ここが間違いのスタートではないかと考える。

こういう目標を持つと、研修参加者をたくさん詰め込むことになる。
○○人・回という目標に対し、コストパフォーマンスを高めたいという意向だ。
演習を中心とした研修では、参加人数が多すぎると教育効果は落ちる。

業績に無関係の目標を置いているから、売り上げが落ちたら研修を取り止める。生産が忙しい時にも研修を取り止めることになる。売り上げが落ちて、定常業務が暇になっている時などは絶好の研修チャンスのはずだ。

直接業績数字に結びつかなくとも、研修の効果を測定する方法はあるはずだ。
例えば研修後に、どんな行動が取れるようになったか観察すればよい。
研修の結果期待すべき行動があるはずだ。その行動が開発もしくは強化されるように、研修を設計する。そして研修後行動が強化されていることを、フォロー観察する。

ものすごく大変な作業に思われるだろうが、それが本来の仕事のはずだ。
能力は一人ひとり違う。研修の効果も一人ひとり違う。それをきちんと計測しなければ、研修の効果は分からないはずだ。

研修テーマを受講生のアンケートで決めてしまうのではなく、必要な研修テーマを決め、研修内容を設計し、効果測定・フォローの方法を考える。こういうことを一緒にお手伝いさせていただくのが、我々の仕事だと考えている。


このコラムは、2011年10月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第227号に掲載した記事です。

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