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スノーブラインドネス

 改革・変革行動を起こすためにはエネルギーが必要だ。それは

現状に対する認識。
現状維持に対する危機意識。
そして行動するための能力・意欲。

になる。

これらが欠落していると「茹でガエル」状態となる。
ぬるま湯に浸かっていると、少しずつ温度が上がっていることが認識できず、このままでは茹で上がってしまうという危機感が持てない、最終的には、熱湯から飛び出す行動能力まで奪われる。

ジェームズ・オトゥールの変革を拒む33の臆見の中に「スノーブラインドネス」がある。スノーブラインドネスとは「雪目」と訳したらいいだろうか?

ジェームズ・オトゥールの変革を阻む33の臆見は以下の書籍を参照。
「組織変革のビジョン」金井壽宏著

晴天のゲレンデでゴーグルやサングラスで目を保護していないと、紫外線でやられてしまう。若い頃に何度か経験がある。涙が止まらず目を開けていられないほど痛い。ここまで酷い状態となると、目が開けられないので現状認識はできない。これほど酷い状態でなくとも、白一色の世界でわずかな変化を認識することは難しいだろう。

白一色の世界に赤色があれば一目でわかる。しかしビジネスの世界でそのような変化は、同業他社にも一目瞭然となり競争優位を導く要因とはならない。
実はこのように考えることそのものが「集団浅慮」を招くことになる。

集団浅慮とは、自分たちの能力を過信する、外部状況を過小評価する、集団内の画一性や同調圧力により、誤った判断を下してしまうことだ。

今自分たちはスノーブラインドになっていないか、自問することが必要だ。


このコラムは、2020年1月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第933号に掲載した記事です。

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検査漏れミス

「下船23人、検査漏れ クルーズ船乗客 厚労相が陳謝 新型肺炎」

 大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号について厚生労働省は22日、必要なウイルス検査をしないまま下船した乗客が23人いたことを明らかにした。加藤勝信厚労相は「国民の健康につながることで、本来許されない。深く反省をしている」と陳謝した。対象者には自宅待機を依頼し、再検査をするという。

(朝日新聞より)

 本来下船前に、ウィルス検査を実施し陰性の乗客だけを自宅に戻って待機して貰うはずだった。しかし2月5日以前の検査で陰性だった人が23人間違って下船対象となってしまったと言うミスだ。

当然一人一人の検査記録は、きちんと管理されていただろう。だから今回のミスを発見することができた。では何が足りなかったのか。ずばり「識別管理」が足りなかった。識別管理とは誰が見ても一目瞭然、正しい判断ができる様にすることだ。

事例を紹介しよう。
新型コロナウィルス防疫対策として、大阪国際空港では入国審査時に色付きのカードを渡している。このカードを見れば、危険区域、注意区域、安全区域からの入境者が色で識別でき、健康チェック・問診の漏れを防ぐことができる。

製造業でも同様の識別管理をする。
例えば、出荷抜き取り検査で不良が見つかってしまい、全数検査をすることになった。この場合再検査漏れがあれば、顧客に不良流出のリスクが発生する。
検査済みの製品を再検査すれば、不必要な検査コストが発生する。
これらを防ぐため、未検査品置き場、検査済み品置き場を分離し、表示する。
または梱包箱に再検査済みのマークをつける。などの識別管理をするはずだ。

厚労省関係の職員は感染の恐怖の中、国民を守るために働いてくれている。
私には彼らのミスを責める気にはなれない。むしろ失敗をきちんと公表した「勇気」を賞賛したい。


このコラムは、2020年2月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第946号に掲載した記事です。

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新型コロナウィルス

 失敗と言えるかどうか判断しにくいが、新型コロナウィルスに対する対応の日中の差を考えて見たい。

「屋形船の従業員ら2人の感染確認 10人が発熱など症状」(朝日新聞)によると、タクシー組合の新年会には約80人が参加し、このうち約10人に発熱などの症状があるとでていた。中国で起きていることを「対岸の火事」としか考えていないのだろう。

2月12日の羽田発広州白雲行きのJAL便で中国に来ている。搭乗機の機内には十数名の乗客しか乗っていなかった。そのほとんどが中国人旅客のようだった。広州白雲空港に到着して驚いた。いつも大勢の人が入国審査に並んでいるが、私の前には1人しかいなかった。いつも利用している空港バスもガラガラ。

羽田空港で体温測定を受けてから白雲空港で2回、バスに乗車する時に1回、高速道路を出たところで1回、地下鉄に乗車する時1回、マンションのゲートをくぐる時に1回、合計で6回体温測定をした。

入国審査の時に、問診票を提出する。これにより過去2週間の滞在場所、健康状態、中国での滞在先、電話番号、機内の座席番号がパスポート番号とともに記録される。空港バスでも同様の記録が取られる。同じ機内、同じバスに乗車した人が発病したら、同乗者は全員隔離できることになる。

食事のために街に出るが、飲食店は全て店内での営業を停止している。食事はウーバーイーツと同様の宅配バイクで届けられる。配達員はマンションの敷地内には入れず、ゲート前に置かれたテーブルまで届ける。
「新年会」など中国ではあり得ない。

食料を買い込むため近所のスーパーに出かけた。ここでも体温測定と、手の消毒をしてから店内に入る。買い物客は全員マスクをしている。(マスクを着用せず外出すると捕まる)その上防護メガネをし、ゴム手袋に透明な雨合羽まで着用している人も見かける。

日本より中国の方が安全ではないかとさえ思える。

さらにすごいのは、当局は人の動線を携帯しているスマホのGPS機能を使い補足しているようだ。知り合いの工場に突然係官が来て、帰省先から戻ったばかりの従業員2名を隔離施設に連行した。この従業員2名は湖北省に滞在していた訳ではない。湖北省内の高速道路を通過しただけだ。

別の工場では、従業員に支給するマスクが足りないと嘆いている。毎日係官がマスクの在庫をチェックしにくる。誤魔化すこともできない。

日本で同じことができるとは思えないが、中国政府の本気度が伺える。


このコラムは、2020年2月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第943号に掲載した記事です。

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正解とは

 「正解」というものはこの世の中にあるのだろうか?現実社会に「正解」があるというのは幻想ではないかと考えている。

学生時代には「正解」はあった。テストの回答は「正解」「不正解」があり、それぞれ得点が与えられるか、与えられないかの差が発生する。「正解」でもなく「不正解」でもない答えとして半分加点される答えもあるだろうが、問題が間違っていない限り、「正解」は常に存在する。

では現実社会の「正解」とはなんだろうか?

失業率が下がると景気が良くなる。景気が良くなるとインフレ傾向となる。
したがって、雇用を拡大し失業率を下げればインフレ傾向となる。
しかし現実は失業率は大幅に低下したが、インフレ目標2%は達成してない。これが現実社会で起こっている現象だ。

「失業率を下げるとインフレ傾向になる」というのは「正解」ではなく「定説」なのだろう。もしくは「標準的見解」程度のものだ。

複雑系の社会では、単純に原因・結果となることは少ない。いくつかの要因が元になり結果が発生している。解析困難な幻の正解を求めるよりも「妥当解」を求める方が、有効だと思える。


このコラムは、2020年2月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第942号に掲載した記事です。

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失敗を恐れない勇気

軽装の女性客、行き先は冬山 決意したタクシー運転手

 奈良県宇陀市の近鉄榛原(はいばら)駅前で1月中旬、タクシー運転手の森田義彦さん(68)はひとりの中年の女性を乗せた。女性が告げた行き先は東吉野村の高見山の登山口。標高1248メートル、冬場は登山客に人気の山だ。

(以下略)

(朝日新聞デジタルより)

 女性乗客の様子がおかしい。タクシー運転手は気がつき女性に話しかけるが、女性は上の空。運転手・森田さんは意を決して車を止め「命を絶とうとしてるんと違う?」と問いかけ、榛原駅まで戻り交番に女性を預けた。

初めて会った人に「自殺しようとしてないか?」と問いかけるには相当の勇気が必要だっただろう。その勇気が一人の命を救った。

我々の生産現場でも同様なことはある。
改善のアイディアを思いついたが上手くいかなかったらどうしようと、躊躇する事があるだろう。ここで勇気を出して行動しなければ、進歩はない。

「駄目元改善」という言葉がある。
「ダメでもともと」上手くいかなくても、命まで取られるわけではない。
「ダメなら元に戻すだけ」今まで問題はあっても生産できていたので、改善できなくても、元に戻せばいいだけ。
「駄目元改善」はこの二つの意味を持っている。

駄目元改善の極意は「金をかけない」だ。
改善のために立派な生産設備を導入してしまうと、元に戻せなくなってしまう。極力LCA(ローコストオートメーション)を目指す。設備を作る前に効果を検証する。

以前リードタイム短縮のためにインライン乾燥炉を検討した。半田付け部分に絶縁材料を塗布し、まとめてラインアウトし自然乾燥後に次工程に投入していた。この工程だけで2時間停滞時間が必要だった。生産スペースの都合上インライン乾燥炉は1m以下にする必要がある。ここでいきなり乾燥炉を作ってしまうと乾燥が不完全となる可能性がある。
ここでエイやっと設備発注するのは「勇気」ではなく「蛮勇」だ。

小型のコンベアを段ボールで覆い布団乾燥機を使って温風を吹き込んで実験。コンベアのスピード、温風の温度設定を確認してからインライン乾燥炉を発注した。
この改善だけでリードタイムが2時間短縮できた。

失敗を恐れない勇気に必要なのは、とりあえずやってみる、駄目元の組織文化だと思う。試しにやって見てダメならば、別のアイディアを考えれば良いだけだ。


このコラムは、2020年2月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第940号に掲載した記事です。

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原因と言い訳

 発生してしまった失敗の原因を探求し、再発を防止する。類似の失敗が発生しないように水平展開をする。さらに失敗を抽象化しまだ発生しない問題を未然防止する。

ここで重要なことは、正しく不良原因を見極めることだ。

例えば、100台生産ロットの部材発注時に1台2個使いの部品を100個しか発注しなかった、という問題を考えよう。業務システムを使っていれば、この様な問題は発生しないだろう。例題と思ってお付き合い願いたい。
発注担当者はExcelの部品表を確かめながら、発注伝票を作成。その際にミスが発生した。発注伝票はリーダが確認するが、見逃してしまった。

ここでその発生原因(間違った伝票を作成した原因)と流失原因(間違った伝票を見逃した原因)を分析し対策をすることになる。

発注担当者は「風邪気味でぼんやりしていた」
リーダは「仕事が忙しく焦っておりチェックが不十分だった」
発生原因、流出原因に、体調や心理状況などの人為的要素を入れてしまうと、「体調が悪くならない様に健康管理を徹底する」「体調が悪い時は休む」「忙しくても焦らない様に精神強化する」「リーダを増員する」などという、実現不可能または困難な対策しか考えつかない。

「ぼんやりしていた」「忙しかった」というのは原因ではなく「言い訳」だ。
言い訳に対して対策を考えても現実的な効果のある対策は出てこない。
ぼんやりしていると間違ってしまう、ということは「難しい」「複雑」「煩雑」などの原因があるはずだ。したがって、ぼんやりしていても問題が発生しない様にするのが本当の対策だ。
忙しいとチェックの時間がなくなる、という言い訳は作業改善で時間確保する方向に改善しなければならない。

例題は、業務システムの活用や、Excelのマクロなどで自動チェックができる様になるはずだ。
より複雑な問題でも、原因分析の結果が「言い訳」になっていないかどうか見極める。言い訳は、「ぼんやりしていた」「忙しくて焦っていた」の様に個人的な体調、心理的状況に依存している場合が多い。


このコラムは、2020年2月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第937号に掲載した記事です。

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小人過ちをかざ

xiàyuē:“iǎorénzhīguòwén(1) 。”

《论语》子张第十九-8

(1)文:かざる。うわべを繕う。

素読文:
子夏しかわく:「しょうじんあやまちやかならかざる。」

解釈:
小人は過ちを犯すと、それをごまかし取り繕う。

政官財各界にかざる小人の多いこと。嘆かわしいことです。

動画の力

 テキストデータを読んだり,聞いたりするよりは,写真を見た方が素早く理解出来る.写真を見るよりは,動画を見た方がより深く理解出来る.

これは情報量が,テキスト<画像<動画となっており,情報量が多い方がより理解が深まる,と言うのが一般的な理解だろう.

しかし私はちょっと違う解釈をしている.
人は物事を理解したり,記憶するのは,経験を通して達成される,と考えている.この仮説が正しければ,情報量ではなく実体験に近い方が,理解が深くなるはずだ.
たまたま情報量の多さと実体験との近さが同じ順番になっているだけだ.

私の仮説が合っているかどうかは別として,工場で指導する時に,ポンチ絵,写真,動画を使う事が多い.

ある工場では,熟練を要する作業があり,その工程がいつもボトルネックとなっていた.班長も組長も,その作業が熟練の過程でどう変わっているのか分からないので,新人作業者に説明が出来ない.

こう言う場合は,その作業をビデオで撮影し,熟練者と新人の違いを分析する.その違いを言葉で説明しながら,ビデオを見せるとその瞬間から新人でも,ベテランと同じ様に作業出来る様になった.

違いを分析する,それを言葉にする,と言う作業は多少能力が必要だが,動画の威力は高い.

今週の雑感でも紹介したが,Youtubeの動画もたびたび活用している.
バスを造っている工場に,トラックや乗用車の生産ラインの動画を見せた.ここの経営幹部に「バスはトラックや乗用車とは同じではない」というのが「口癖」の人がいる.こう言う発言は,思考停止に他ならない.他の業界でうまくいっている方法を,そのまま真似出来ないにしても,自分たちの工場に適用するにはどうしたらいいか?こう言う発想が革新を生み出す.

「理想解」から色々な制約条件の元に「現実解」を見出すことができれば,それが自分たち(制約条件下)の「理想解」にほかならないだろう.

現場改善も同様だ.現在の作業をビデオに撮る.そのビデオを見ながら,ムダを見つけ,改善のアイディアを出す.
私のような現場改善のコンサルは,現場を改善することが仕事だ.
しかし自分で改善を進めてしまうと,仕事が終わった時点で改善は停まり,むしろ退歩が始まる.現場のリーダたちに改善の方法を教え,行動を起こさせる所までやらなければならない.自分で改善してしまった方が楽でも,ビデオを見せながら一緒に考える.

ビデオカメラ一台で,リーダの改善能力が相当上がるはずだ.
ビデオカメラと三脚,高級品でなければ2~3000元もあれば買える.
効果に対して相当安い投資だと思えるが,あなたの工場ではビデオカメラを改善に使っているだろうか?


このコラムは、2013年7月1日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第316号に掲載した記事です。

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21世紀型経営

 12月12日は,原田師の追悼研討会に参加した.

会場は,鄭泰汽車輪股分有限公司.
鄭泰の社長鄭東海氏は,原田式経営哲学に触れ,1週間SOLID社の従業員寮に寝泊りし原田式経営を現場で体得した方だ.鄭氏はMBAホルダーであるが,MBA的手法ではなく,原田式経営を目指し,社内改革を推進している.

その改革の推進役として,昨年8月に原田師の元部下・羅国兵が鄭泰に招聘されている.羅国兵が先鋒として改革を推進し,その後次々と原田師の元部下たちが鄭泰の企業改革に招聘された.

今,原田師の元秘書だった閻苗苗を含めた7人の侍が,鄭泰の改革を推進している.このようにして原田師の経営哲学を受け継ぐ者達が,理想工場の実現を目指し活躍しているのを見ると,自分の胸の中にも炎が燃え上がる気がする.

この研討会に参加した明治大学経営学部・はお教授は,「21世紀型経営」という概念を話された.つまり,企業経営とは利益を追求すること,という過去からの定義に対し,企業経営とは従業員を幸せにすること,という新しい定義が「21世紀型経営」
だ.
従業員を効率よく働かせ,利益を極大化する経営が過去の企業経営である.従業員の幸せを目指し,従業員を育成することにより,組織の能力を上げる.利益はその結果であり,目的ではない.これこそが,原田式経営の核心だろう.

そんなことに思いをめぐらしていたら,中国常州で工場を経営する友人が,「さらば、さもしい経営者」という書籍を教えてくれた.この本の著者・松丸公則氏は,中国江蘇省太倉市にて台湾企業との合弁会社を立ち上げている.
松丸氏は
「従業員が幸せになればおのずと経営者も幸せになる。経営者が幸せになれば『幸せな会社』が生まれる。『幸せな会社』が集まれば社会がしあわせになる」という信念で経営をしているそうだ.

世の中は「21世紀型経営」に流れ始めていると実感した.


このコラムは、2010年12月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第184号に掲載した記事です。

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中国QCサークル事情

 最近中国にてQCサークル活動を指導している中国人と知り合った.
中国の経営者は,日本的モノ造りの優位性を信じており,QCサークル活動に対しても少なからぬ期待を持っているようだ.

中国では,既に製造業以外でもQCサークル活動が行われている.
彼は中国の通信系会社(キャリア)でもQCサークル活動の指導をしている.

ところで,本家であるはずの日系中国工場のQCサークル活動状況は,あまりぱっとしない.大手企業はQCサークル活動を導入しており,グループ会社間で交流会を開催しているところもある.しかし中堅・中小の工場ではQCサークル活動を導入しているところは少ない.

QCサークル活動は,活動そのものによる改善効果だけではなく,チームワーク,仕事を通した求心力の醸成,問題解決能力,プレゼンテーション能力などの開発が期待できる.

中堅・中小企業の場合,適切な指導者が社内にいないなどの理由があり,QCサークル活動の挿入に踏み切れない.また外部から指導者を招聘すれば,費用の負担が大きくなる.などの理由により,なかなかQCサークル活動が活性化しないようだ.

また日本でQCサークル活動が停滞しているのも一つの要因だろう.
しかし中国では,リーダクラス育成のためのOJT効果を期待してQCサークル活動を再生できると考えている.

異業種交流の形をとって,QCサークル活動を導入するなどの方法を考えれば,中堅・中小企業にも比較的容易に導入可能だと思う.

日本で生まれ,日本の経済発展に貢献したQCサークル活動が,中国企業だけで活性化しているのを見るのは大変残念だ.


このコラムは、2010年5月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第154号に掲載した記事です。

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