カテゴリー別アーカイブ: 生産改善

データの活用

 製造現場では日々の生産量、不良、故障など色々なデータを記録していると思う。
昨年指導した工場では、工程ごとの生産台数を記録していた。それに加えて投入人員も記録して貰った。これで生産性が分かる。日々の生産性をグラフにしてみると、有る日を境に生産性が飛躍的に向上しているのが分かる。その変節点は「整理・整頓」をした日だった。このグラフから「整理・整頓」により生産性が上がる事を実感出来た。

今年QCCを指導した工場では、設備の故障を記録していた。その記録から設備故障による損失金額を計算する事が出来た。改善活動により年間350万元ほどの損失を低減出来た。もし故障原因も記録していれば、より効果的な設備保全活動が出来ただろう。

工程内不良、客先不良は件数だけ記録していても、不良は減らない。不良発生ごとに、原因を記録しておけば新規製品の設計、工程設計を改善することが出来る。

データを記録する事は目的ではない。記録したデータを活用して改善する事が目的だ。従ってデータは数値データだけでは不十分だ。不良・故障の現象、原因などの言語データが必要だ。これらの言語データにより、潜在問題の予防保全が可能になる。

ルールだからデータを記録するのではない。データを記録する目的を明確にし、どのようなデータをどうやって取得し記録するのか、事前に設計しておく事によりデータは活用出来る様になる。


このコラムは、2017年11月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第588号に掲載した記事です。

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QCC道場

 私が初めてQCCと出会ったのは、地方都市の超零細企業から東京の一部上場企業に転職した時です。今から37年前です。超零細企業で、当月の給料を稼ぐ仕事をしていましたが、大企業は2年3年後の製品開発をやっている。その格差に愕然としました。今お金になるわけでもないQCC活動を仕事時間中にやっているのにも驚きました。

電子回路の公差設計に疑問を持っていた先輩が電子部品の公差ランクを下げても大丈夫であることを証明したい、という思いが私の初めてのQCC活動テーマになりました。
当時私は、8ビットのパソコンでプログラムを作りシミュレーション実験で証明するアプローチを取りました。統計数学を理解していれば一言で済む話です。今思い出すと赤面します(笑)我々のQCC活動の発表を聞いた大先輩が見かねて、私たちに統計理論の講義をしてくれました。

その後、設計から品質保証に異動となりQCC活動の推進・指導が任務となり、20年ほどQCC活動と関わり続けています。

2005年に独立して中国工場の現場で品質改善・生産性改善のお手伝いをしていますが、QCC手法を応用しています。問題を解決改善するだけではなく、現場リーダの問題発見能力、問題解決能力を高めておけば改善が継続するからです。

昨年(2017年)からQCC道場を始めました。異業種、異業界のサークルが集まり、一緒にQCC活動の方法を学びながら活動を実践する研修です。研修と言っても本物の課題に取り組むので現実の成果が出ます。第一期第二期を通して最高の年間効果金額は350万元を超えています。また一緒に参加しているサークルとの競争意識や、学び教え合う環境は、サークルメンバーの学習効果を上げるための工夫です。

2018年4月12日から第三期QCC道場を開始します。
第三期QCC道場

第二期QCC道場終了

第二期QCC道場は、3月9日合同成果発表会で終了しました。

QCC道場に参加したメンバーに感想をいただいています。

  • 第1期に参加した後、参加メンバー一人一人がチームリーダとなりQCC活動を社内展開しました。社内の改善風土が高まっています。
  • 活動を通して有形無形の効果がありました。品質改善、生産性向上の金額に換算できる有形効果の他に、メンバーの品質意識、改善意欲が高まりました。
  • 第1期、第2期の活動を通して、QCC活動のレベルが上がり、品質、生産効率、納期の改善で会社に貢献できました。今後もQCC活動を継続します。
  • QCC活動で会社に大きな貢献ができました。全ての会社にも効果があると思います。

またメンバーを送り出した経営幹部の方からもコメントをいただきました。

  • メンバーに改善の楽しさを味わって欲しくQCC道場に参加させました。
  • データに基づき考える力、自分の活動をQCストーリィに沿って他人に伝える力を身につけてほしい。
  • 問題解決能力と、問題発見能力を身につけるいい機会だと思った。
  • QCC活動により、現場の品質意識、改善意識を高める事が出来ると思いました。
  • 現場の自主的な改善能力が不足しており、日本人赴任者が苦労している。今回の成果を見てタイや日本国内の工場にもQCC活動を広めたい。

こういうご感想をいただいて、私たち自身もモチベーションが上がっています。
今回の活動では、問題の要因に対して統計的手法を活用して原因の特定をしたサークルもあります。参加いただいたサークルの成長が、私たちの報酬です。

4月から第三期QCC道場を開始します。

不便こそ良薬

 伊集院静「大人の流儀5 追いかけるな」を書籍朗読サービスで聞いた。
伊集院静氏に関しては、早逝の女優の夫ということしか知らず、今まで著作を読んだことはない。しかし朗読をしているのが大杉漣と知り聞いてみた。

「便利なものには毒がある。手間のかかるものには良薬が隠れている」
書籍中に出てきたメールと手紙を比較した言葉だ。
メールは便利だ。CCをつけることにより、同時に関係者と情報を共有する事が出来る。相手の都合に合わせて読んでもらうことができる。電話をかける時に相手の都合を考えるのが煩わしい。電話をかけるのが苦手だ。自筆で手紙を出す手間を考えると、憂鬱になる。

ところで私たちの改善活動は、不便を便利に変える事に他ならない。
不便な作業を自働化する。作業のばらつきを治具化する。これらの改善活動は不便を見つけることがスタートだ。作業員を観察する。作業員から不便を聞き出す。そのために現場に頻繁に行く。
改善のネタは不便の中にある。

不便という良薬には副作用がある。この副作用は医薬品の副作用とは違う。
作業員は、上司が自分の仕事に関心を持ってくれている、自分のために改善をしてくれている、と感じるはずだ。これは大きな副作用だ。

■■ 編集後記 ■■

最後まで読んでいただきありがとうございます。

大杉漣さんは私と同年代です。大杉さんが出演したTV番組はいくつも見た事があり渋い脇役と認識していました。今彼の略歴を振り返ってみると、寺山修司、唐十郎の演劇が役者としての出発点だったようです。私も学生時代に友人に誘われ、訳がわからないまま、それらの演劇を見た事があります。
「吸いさしのタバコで北を指す時の北暗ければ望郷ならず」寺山修司の短歌を暗唱して「文化人」になったつもりでいました。

大杉漣さんの早すぎる死を悼み、ご冥福をお祈りします。


このコラムは、2018年3月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第639号に掲載した記事です。

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QCC活動の効果

 今14チームのQCC活動を指導している。概ね完了し、後は成果発表会となる。14チームのうち第一期の4チームは二期連続で活動に参加してくれた。

初めは、こちらが「どうしよう」と頭を抱えてしまうこともあった(笑)
例えば、特性要因図を書かせると人が見ても全く意味がわからない。連関図の同じ列に根本原因と流出原因がつながっている。パワーポイントの使い方が良く分からない。そんなレベルで開始した。

それでも1回目の活動から年間効果金額十数万元から数百万元の成果を出す事ができた。2回目の活動ではQC手法の使い方も様になってきた。

そんな中で、最終発表資料の添削をしていて、思わず目頭が熱くなってきた。
発表資料の最終ページに「総括」として自分たちの進歩を以下のように書いてくれた。
「作業員の品質意識が高まった。
 作業員が問題発生時に自分の見解を言えるようになった。」

活動をした彼ら自身だけでなく、改善対象となった職場の作業員が成長したと言っているのだ。

普通に考えるとそんなことあるはずはない。
QCC活動に参加した職場の管理職や監督職が、頻繁に製造現場に来るようになり自分たちの作業を見てくれる。作業者達は、職場の上司たちが自分たちの仕事に関心を持ってくれ、作業しやすいように改善してくれている、と感じたに違いない。それが作業員までもがモチベーションが上がり、品質意識の向上につながったのだろう。

初めてQCC活動を始めた時にはどうしようかと頭を抱えたチームがここまで来たと実感できた時に、言いようのない喜びを感じた。

他のチームは、QCC道場に参加したメンバーが、社内でそれぞれにチームリーダとなりQCC活動を全社展開している。

QCC道場に参加してくれたメンバーが成長することは当然だが、このようにしてそれぞれの会社に「改善文化」が根付いてゆくのを見ることができ、高揚感を味わっている。

QCC道場は4月から第三期を開始する。


このコラムは、2018年3月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第635号に掲載した記事です。

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QCC活動の成果

 現在QCC活動を3組(7社、14サークル)同時に指導している。今週末に最終発表会を合同で行う事になっている。この発表会には日本本社の役員も参加する。
チームメンバーだけではなく、各社の経営者も相当意欲が高まっている(笑)
各組とも最終発表会に送り込む代表チーム選抜の審査を行っているところだ。

先週は2組の選抜審査発表会を開催した。
1組は今回初めてQCC活動を実践した。もう1組は2回目だ。

QCC活動の成果で一番明確なのが活動テーマによる改善効果だ。

今回2回目の取り組みとなった組は、1回目の活動で年間改善効果金額数百万元を出すサークルが2チームあった。これはビギナーズラックというより、今まで何もしていなかったから改善の余地がたくさん残っていたという事だろう(笑)
2回目の今回は年間改善効果金額が数万元から数十万元となっている。

活動メンバーの成長もQCC活動の大きな成果だ。
原因分析は特性要因図(魚骨図)を書いて要因をたくさんあげ、その中から主要要因を探す、という手法をとるチームが多い。
しかし今回初めて参加したサークルは、要因を実験により、原因かどうか検証する方法をとった。検証にはχ二乗検定という統計手法を使っている。
実はこの手法は1回目の活動時から、こういう方法があるよ、と教えていたがどのサークルも尻込みして使わなかった。新参サークルが活用した事で他のサークルも統計手法の活用に意欲を持ち始めている。サークル間の競争意識が、成長意欲につながる。

改善そのものによる成果は一度きりだ。
しかしメンバーの成長や改善意欲の向上により、改善成果は継続する。

QCC道場は4月から第三期を開始する。


このコラムは、2018年3月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第636号に掲載した記事です。

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整理の定義

 先週のコラムでは、定義をすることが重要であると書いた。
そしてあなたの会社では5Sの「整理」が定義出来ているだろうか、と問題提起した。

5Sは元々日本で考え出された工場管理の方法であるが、いまや中国でも日系企業ばかりではなく、中華系企業も盛んに5Sの標語を掲示してある。

しかし何か違和感を感じている。日系の工場も含めて「見せ掛けの5S」になっているように思える。

本来5Sとは生産性改善、品質改善の基本であって、モノ造りだけではなく全ての会社に適用可能である。5Sの目的は「儲かること」でなければならないと考えている。

「明日お客様がいらっしゃるから5Sを徹底するように」と発破をかけること自体が5Sの本当の意味を理解していないことだといえる。

5Sにおける整理の定義は、
「要るモノと要らないモノを区別して、要らないモノを捨てる」
と言う事になっている。

そして、先週のコラムに書いた様に定義には目的と方法論が入っているべきだ。
しかし5Sの定義は方法論だけになっている。
Howはあるが、Whyがない。まだ片手落ちだ。

何のために(目的)整理をするのだろうか?

要らないモノを捨てて、有効スペースを増やす。
有効スペースが増えれば、単位面積当たりの生産性があがる。

要らないモノを捨てて、作業スペースを増やす。
作業スペースが増えれば、不良リスクが減る、作業性が改善できる。

今必要ない製品在庫や、中間在庫を捨てて、キャッシュフローを改善する。
外部に倉庫を借りていれば、倉庫の賃料を節約できる。

整理の目的は、一言で言ってしまえば「業績改善・貢献」だ。
しかしこれでは、定義が不明確となり解釈にバラツキが出る可能性がある。一つずつ丁寧に「有効スペースを増やすため」「作業スペースを増やすため」「キャッシュフローを改善するため」と目的を定義に入れた方が良いだろう。

このように定義すれば「整理」と言った時に何をどんな風にすべきか明確になるだろう。


このコラムは、2012年2月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第243号に掲載した記事を加筆修正したものです。

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改善の定義

 定義をすると言うことは重要であるが、意外と疎かにされているのではないだろうか。

例えば5Sの定義は出来ているだろうか?
整理・整頓・清掃・清潔・躾け、全て言葉として理解できる。
しかし5Sで整理と言った時に、何のために何をどうすればよいのかは、言葉の理解とは別ものだ。
全員が、整理とは何のために何をどうしなければならないのか、理解できるようにするのが定義だ。

空間の2点を決定すれば、直線は唯一つに定義できる。
同様に目的(何のために)と方法論(何をどうする)の2点を決定しておけば、モノゴトは定義が出来るはずだ。

では「改善」はどのように定義をしたら良いか?

改善の目的と方法論は、
目的:仕事の期待成果を効率的に達成する。
方法論:仕事のやり方を選択または変更する。
となるだろう。

つまり改善を定義すると、以下の様になる。
「仕事の期待成果を効率的に達成するために、仕事のやり方を選択または変更すること」

従って改善とは仕事そのものである。

「日々の生産・出荷に終われて、改善の時間が無い」と言うのは言い訳に聞こえる。時間がないから仕事をしないと言う理屈はありえない。

しかし、優先順位があるのも事実だ。まずは出荷をしなければ、改善をしても意味はない。

問題は、改善と言う課題に対して、時間と言うリソースが不足している。
このような問題を解決することが「経営」だ。

必ずしもこういう問題を放置しているわけではないと思う。
しかし有効な解決策を見出していない状態は、ただ悩んでいるだけと同じだ。
このような状態が続けば、近い将来出荷さえままならなくなるだろう。

時間リソースは一人ひとり有限だ。しかし借りてくることは出来る。借りてきた時間で改善をする。改善できた時間で更に改善する。
このようにして、組織の中に改善文化を築けば、強い競争力を手に入れることが出来る。
このような決断をすることが「経営」と言うことだろう。


このコラムは、2012年1月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第242号に掲載した記事を加筆修正したものです。

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QCC活動

 私は幾分ヘソが曲がっている様で(大いにヘソが曲がっていると言う知人は多いが)大学院を卒業後、従業員30人程度の会社に就職した。コンサル会社ではない。製造業だ。開発型のファブレス企業でもない。製造部門の作業員も入れて30人の立派な零細企業だ(笑)

そこから突然1部上場企業に転職した。最初に配属された製品開発部署の課員が30人以上いた。

零細企業では、今日の飯の種を設計する(設計期間1週間なんて当たり前)。しかし転職先では1年後、2年後に商品化する製品の設計をしている。大いに規模の格差を実感した。更にカルチャーショックを受けたのは「QCC活動」だ。実際の開発業務とは別のテーマをサークルごとに自由に取り組むことが出来るのに大いに感激した。長期にわたる開発プロジェクトの合間に、短期間で完結出来るテーマに取り組むことが、気分転換にもなっていた。

自分自身の意志とは逆に、社内のQCC活動が徐々に形骸化して行った。
そんな折に、品質部門を担当することになり、活動する側から指導する側に立場が変わり、どうすれば再び活発になるかを考えた。そのお陰で、事業部の代表サークルが社内の成果発表会で好成績を取れる様になった。

独立後、中国工場の指導でも顧客の現場リーダ、管理者でチームを作りQCC的に改善をするスタイルでやっている。

QCCスタイルで活動することにより、自主性や協調性を養う、改善手法や取り組み方を実体験を通して教えることができる。この方法により、契約期間が終了した後も、顧客社内で改善が継続する様になる。

日本のQCC活動と少し違っているのは、テーマを経営幹部とサークルメンバーが一緒に選定するところだ。ボトムアップでも、トップダウンでもなく、トップ・ボトム協調型と言えば良いだろうか。活動テーマ選定に関しては、サークルの自主性を損なわない様にトップが関与するスタイルだ。その後の活動はメンバーの自主活動となる。

これにより、経営層が狙いたい成果と、メンバーの自主性、改善能力向上を目指すことができる。


このコラムは、2015年6月29日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第430号に掲載した記事を加筆修正したものです。

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技術改善

 中国の生産現場で改善の指導をしていると、設計を少し変更すれば簡単に改善出来る事例がいくらもでもある。製造は設計図面の通りに加工するのが使命と考えているのか、困難な作業もそのまま受け入れている例を良く見る。
今指導をしている中国民営企業でもそのような事例があり、設計変更により1時間近くかかっている作業を10分程度に改善してみせた。同様に製造で困っている作業を設計部門で改善する様指導した。

設計部門は全部で12項目の改善項目を挙げ、自主活動をしている。今回は4項目の改善が完了したというので、設計者達から報告をしてもらった。

その内の一つの事例を紹介しよう。
総組み立てで部品を組み付ける際に、固定用の穴を支柱に空けボルトナットで固定している。これを事前にボルトを溶接で固定しておく事により、穴あけ作業をなくした、という設計改善の報告があった。

確かに総組み立て工程で、狭い場所にドリルで穴を空けるという無理な作業が無くなり、改善出来た。しかし部品本体と固定用のボルトの間隔が狭く、電動工具が使えない。
変更前も同様に電動工具が使えないので、スパナでボルトを締めていた。
彼らは、穴あけ作業が簡単になれば改善だと考えた様だ。

更に改善するために電動工具を使える様にするためにはどうしたら良いか、と課題を与えてみた。固定用の金具を長くする。などのアイディアが出て来る。最終的には、固定用の金具をL字型に曲げ、上からナットを締めれば本体と干渉する事なく簡単に電動工具で作業出来ると気がつく。

この検討を3人の設計者にやってもらった。私は何もヒントを与えていない。
3人で検討する事により、アイディアが広がり、最終改善案となった。
この体験で、中堅の設計者達は得るモノがあっただろう。

多くの指導先での改善活動は、改善項目ごとに担当者を決めスケジュールを設定する。これが「管理」だと考えている様だ。「責任」を追及出来る様にする事が管理ではない。より良いアイディアがどうすれば出るかを考えるのが、設計における「管理」だろう。
こういう場面でQCC的アプローチが大いに力を発揮する。

こちらもご参考に。「QCC道場」


このコラムは、2016年10月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第500号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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