タグ別アーカイブ: 原因分析

続々・ナゼナゼ5回

 前回予告どおり「ナゼナゼ5回」に関する読者様からのご投稿を紹介したい.

前回の記事メルマガ第80号「ナゼナゼ5回」

80号の感想ですが、ちょっと「ものづくり」からは、外れてしまいますがお付き合いください。
「なぜ、なぜ・・・・」と考えることは、どんな場合でも大切です。

「北の国から」と言うテレビドラマはご存知でしょうか?その中で、こんなシーンがありました。
故郷を離れ東京で自動車修理工場に勤める少年が、ふとしたことから、元々反感を抱いていた先輩を、バールで傷つけてしまう。
 
警察の身元引受人となった堅いサラリーマンの叔父は、「人を傷つけることは、どんな理由があっても許されない。」と少年を叱責する。少年は東京で行き場を失い帰郷する。罪を犯し帰郷した息子に父は、「人を傷つけるほどの怒りは、何だったのか?」とだけ尋ねる。少年は泣きながら、自分の大切な1万円札を盗まれ、使われてしまったこと、それは上京するときに同乗を頼んだ父がトラック運転手に謝礼として渡した1万円札で、その運転手はトラックを降りる少年に父親の手垢のついた1万円札を、父親の愛情だと言ってそのまま少年に差し出した、まさにその1万円札だったことを話すと言うものでした。

結果を見るのでなくその先にあるものを見ようとしなくては、道は拓けないと言うことですね。

Z様のメッセージ

Z様ありがとうございます.

「北の国から」は私も好きな番組で良く見ていた.ご紹介いただいたエピソードはこんな風に感じた.
結果(成果)だけで人を評価するのではなく,そのプロセスをちゃんと評価してやらねばならない.
ひところ流行った「成果主義」があまりに成果に偏りすぎたために現場のモチベーションが下がってしまうと言う逆効果があったと考えている.長期的に見ればちゃんとプロセスも見て,成長を評価してやったほうがより現場が活性化すると考えている.

もう一件読者様からのご投稿を紹介したい.

今回紹介していただいた読者様からの内容も興味深く拝見しました。なぜなぜを5回しなさいというよりも、いわゆるQCの7つ道具の特性要因図を教えた方が、最終的には作業員の身にもつくし、いいのではないかと思います(私の経験上)。

H様のメッセージ

H様,いつもありがとうございます.

特性要因図は視覚的に問題を整理するのに優れたツールだと思っている.
特性要因図を見ながら考えると,次々と要因が思い浮かぶ効果がある.
特にチームで要因分析をする時に効果が高い.「ナゼナゼ5回」をやる時に都度特性要因図を描くのが良いだろう.つまり次のナゼが出るたびにそれを魚の頭にして特性要因図を描くのだ.

これはいかにもめんどくさそうに見えるが,チームで解析をする時にメンバーの力量を上げるのに役に立つ.


このコラムは、2009年2月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第82号に掲載した記事に加筆したものです。

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続・ナゼナゼ5回

 メールマガジン第80号で「ナゼナゼ5回」を取り上げた。

読者様からこんなメールをいただいた.

なぜ5は、日本の部品ベンダで問題が起こった場合、考えて提出してもらっています。
しかし、先に真因が頭の中にあり、それに結びつける為に、なぜなぜをしている部分があります。
ツールとして使いこなしているところは、少ないと感じています。

海外ベンダは、8Dレポートという形の回答がよくきています。
この場合も真因に達していない回答が多く、都度、問い合わせとしています。
中国ベンダなどでも、工場や品質管理責任者の対応で違いが多いでしょうか?

S様のメッセージ

S様ありがとうございます.

当時、お付き合いがあったのは台湾企業の中国工場が殆どだったが,不良解析&再発防止レポートでまともなモノを受け取った記憶がない.

独立してそういう工場の指導をして初めて分かったが,CE(カスタマーサポートエンジニア)と呼ばれる苦情処理係がいて彼らが顧客に対するレポートを書いてる.
驚くことに彼らは自社製品の技術的なことは全く理解してない.ただ少しだけ英語ができるので,別にいる解析エンジニアのレポートを英文に直しているだけなのだ.

しかも現物も現場も見ずに解析から再発防止対策まで一人で作文しているだけ.だから再発防止は,作業者に注意した,作業者を教育した,作業者を罰した,という役に立たない報告しかできない.

当然まともな顧客からはクレームが来て,レポートを再提出することになる.
こういう事を何度か繰り返していると,経営者にクレームが入り現場に雷が落ちることになる.

まともなリソースをきちんと割り当てていない経営者自身の責任なのだが,現場に対して何とかしろとしか言わない.

そんなこともあり,レポートの定型化が良く進む(笑)
フォーマット化すれば,能力が低い者でもレポートが書けると思っている.8Dレポートというのもそういう背景があり,あっという間に広まった感がある.

今まで中華系の工場から出てきて,合格点をあげられた報告書は一つしかない.

電解コンデンサメーカの不良解析レポートだった.
実はこのレポートは工場監査に来たお客様が,置き忘れて帰ったものだ(笑)

以前指導していた工場では,まずレポートの構成から教育した.

解析の仕方とか,再発防止の考え方などを教え,デスクに座っている連中の尻を叩いて現場に追い出していた(笑)

彼らが書いてきたレポーはも何度もダメ出しをして書き直させる.
営業からはレポート提出期限の督促がしつこく来る.自分で書いて提出することも何度かあった.

それでもCEたちは嫌がらず夜遅くまで,時に休日でも出てきてレポートの書き直しをする姿勢には感心する.

中には殆ど指導をしなくても書ける様になった者もいた.
彼らはやり方をきちんと指導をされていないだけなのだ.
辛抱強く指導してやればすこしずつでも良くなるものだ.

もう一通「ナゼナゼ5回」にご感想をいただいている.
長くなってしまったので次回紹介したい.


このコラムは、2009年2月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第81号に掲載した記事に加筆したものです。

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ナゼナゼ5回

 メルマガ読者様から「ナゼナゼ5回」を取り上げてみたら?とアドバイスをいただいた.本日のテーマとして考えて見たい.

「ナゼナゼ5回」は表層的な原因ではなく,それを誘発する真の原因まで突き止めるために「ナゼ」を何度も繰り返そうという考えかただ.

「風が吹けば桶屋が儲かる」という例で「ナゼナゼ5回」にチャレンジしてみよう.

・ナゼ桶屋が儲かる?
 →鼠が増えて桶をかじるから.
・ナゼ鼠が増えた?
 →猫が減ったから.
・ナゼ猫が減った?
 →三味線がたくさん売れたから.
・ナゼ三味線がたくさん売れた?
 →盲人が増えたから.
・ナゼ盲人が増えた?
 →風が吹いて目に土ぼこりが入るから.

もちろんこれは笑い話なので,実際にこんな「ナゼナゼ」をしても役には立たない.
因果関係の蓋然性(発生確率)が低いので,5回も繰り返せば確率的に殆ど発生しない原因に突き当たってしまう.

単純に「ナゼナゼ」とただ質問を繰り返すのではなくFTA(故障の木解析)のようなツールを使いナゼナゼを繰り返す方が良いだろう.

以前,新規工場で始めて生産した製品から顧客の工程で不良が見つかった.このときの「ナゼナゼ」の例を紹介してみよう.

1.ナゼ顧客で不良が見つかった?
 →部品が過大電流により破壊していた.
2.ナゼ部品が過大電流で破壊した?
 →高電圧の回路パターンと部品のリードが接触した.
3.ナゼ高電圧の回路パターンと部品のリードが接触した?
 →作業台の縁にある金属が触ったから.
4.ナゼ作業台の縁にある金属が高電圧パターンと部品をショートする?
 →検査用のフィクスチャを使わなかったから.
5.ナゼ検査用のフィクスチャを使わなかった?
 →検査合格品を出荷前に再度機能検査だけしたから.
6.ナゼ検査合格品の機能検査をした?
 →初出荷だったので念を入れた.

これらのナゼと答えの一つ一つにFTAで可能性のある原因を並べ,現物で確認をしている.
更に検査で合格しているのに客先で,不良が見つかった原因も同様に「ナゼナゼ」をする.ここを忘れがちだが,「発生原因」だけではなく「流出原因」もきちんと突き止めておく必要がある.

この「ナゼナゼ」の結果,

  • 出荷前に簡単な再検査(出力がある事をLEDの点灯だけでチェック)をした.
  • 負荷が軽かったので再検査後回路中に電荷が残っていた.
  • 検査フィクスチャを使っていなかったので,電荷をディスチャージできなかった.
  • 検査後製品を梱包箱に戻す時にプリント基板の高電圧パターンと部品リードが作業台縁の金属に接触した.
  • その際に回路中に残っていた電荷が直接部品に流れ部品を破壊した.

という事が分かった.

これらの解析により,

  • 作業台の縁の金属を全て取り除く.
  • 全ての検査は回路中の電荷をディスチャージしてから完了とするよう,検査手順を標準化する.

という対策を採った.

重要なことは「ナゼナゼ」の過程で,現場・現物による確認をすることだ.
これを怠ると「風が吹けば桶屋が儲かる」になってしまう.


このコラムは、2009年1月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第80号に掲載した記事に加筆したものです。

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こちらの記事もどうぞ「なぜなぜ5回」

続・因果関係と相関関係

 先週のメルマガ「因果関係と相関関係」では、相関関係を因果関係と間違えてしまうと問題は解決しない、と書いた。当たり前のことだが、ではそうならないためにどうするか、という肝心な部分が抜けていた。

もう一度先週の事例で検証してみよう。

“アイスクリームの売り上げ高と森林火災はどちらも夏に増えるので相関関係 がある。しかしそれは因果関係ではない。”

森林火災が発生する(結果)→アイスクリームの売り上げが高いから(原因)これはどう考えても成立はしない。因果関係を逆から読んでみると分かり易い。“アイスクリームがたくさん売れると森林火災が発生する。”これは論理的に成り立たない。

アイスクリームの売り上げが高い時に森林火災が多い。
森林火災が多い時にアイスクリームの売り上げが高い。
因果関係を逆にしても両者ともに成り立つ。
つまり相関関係はあるが、因果関係はないということだ。

不良発生(結果)→新人が作業したから(原因)
因果関係を逆から読むと、新人が作業をすると不良が発生する。一見因果関係のように見える。しかし新人が作業しても不良が発生しない場合もある。原因と結果を逆から読んだ時に原因→結果として成り立たない。

新人作業と不良発生の因果関係の間に、作業がやりにくい、作業に熟練か必要などの要因が隠れているから、相関関係はあるが直接の因果関係はない。

相関関係と因果関係を見分けるのは、相関関係は逆にしても成り立つ。因果関係は逆にすると矛盾する。と覚えておくと良いだろう。

しかし相関関係があるということは、因果関係が潜んでいる可能性がある。

森林火災とアイスクリームの例で言えば、
夏になると高温になる→アイスクリームが売れる。
夏になると高温低湿度になる→森林火災が起きやすくなる。
気候は制御できないかもしれないが、夏に火災予防活動をすることはできる。

新人作業と不良発生の例で言えば、
作業しにくい→作業不良が発生し易い→不良が発生する
新人→作業に不慣れ→作業不良が発生し易い→不良が発生する
つまり「作業しにくい」「作業に不慣れ」を解決すれば不良を減らせる。


このコラムは、2018年1月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第614号に掲載した記事です。

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因果関係と相関関係

 問題解決のための必須条件は正しい原因分析だ。一時的に問題が解決した様に見えても、正しい原因に対策出来ていなければ、問題は必ず再発する。

例えば「作業ミス発生」という問題の原因を調査した時に、作業ミスをした作業員の勤続年数を調査して見た。明らかに勤続年数と作業ミス件数に負の相関が見られる。特に1年未満の作業員の作業ミス件数が多いことがわかった。
従って作業ミスの原因は新人が作業をしたことにある。
ちゃんとデータにより確認をして、正しい分析をした様に見える。しかしこの調査で明らかになったことは、因果関係ではなく相関関係だ。

原因は「〇〇作業がやりにくい」「〇〇作業に習熟度が必要」となるはずだ。
そして対策は〇〇作業の改善となる。新人作業が原因となれば、新人には作業させない、とか教育訓練という非現実的または効果の期待できない対策となる。「〇〇作業がやりにくい」と原因が特定できれば、作業改善ができなくとも具体的な教育訓練方法を改善案とできるはずだ。

今「ジョブ理論」という書籍を読んでいるが、この書籍にもわかりやすい例で因果関係と相関関係の取り違いが紹介してあった。

アイスクリームの売り上げ高と森林火災はどちらも夏に増えるので相関関係がある。しかしそれは因果関係ではない。「ハーゲンダッツを買ったからといって誰もモンタナ州の森に火をつけたりはしない」

参考:「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」クレイトン・クリステンセン著


このコラムは、2018年1月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第611号に掲載した記事です。

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かつてない困難

 「かつてない困難からは、かつてない改革が生まれる。
  かつてない改革からは、かつてない飛躍が生まれる。」

松下幸之助の言葉だそうだ。

リチウム電池の発火事故で大規模回収に直面しているサムソンは、間違いなく「かつてない困難」に直面している。

私も前職時代に「かつてない困難」に何度も直面した。

サムソンのリチウム電池は自社のグループ企業の問題だが、私が担当していたコンピュータの周辺装置は協力メーカからの購入品であり、自社にとっては未知の技術領域だった。それでも協力メーカの設計技術者や品質技術者らと議論を重ね問題解決が出来たのは、原理・原則に基づいた正しい問題解決の道を外さない様に心がけたからだと思っている。

その過程で得た信頼性技術、解析技術の知見を自社に蓄積し、未然に問題発生を予防するノウハウを得る事が出来た。

高耐圧部品の絶縁不良問題、高電圧半導体の電解腐食問題、プラスチック部品の環境応力割れ、ゴム樹脂のブルーミング、ハンダ付けの応力割れ、メッキ部品の水素脆性破壊などは、短期間の評価では見つからない信頼性問題だ。また電解コンデンサの四級塩電解液による回路ショートなど、業界全体で未知の不良現象もあった。

こういう問題を一つずつ解決し、設計基準や評価手法を確立していく。
その結果製品の信頼性設計技術が向上する。

信頼性問題に直面している最中は、既に出荷してしまった製品への対応、まだ問題が顕在化していない出荷済み製品の寿命予測、など本筋ではないが緊急に対応する必要がある問題が山ほどでてくる。しかし現在の対応に消耗してしまってはダメだ。かつてない困難をかつてない飛躍に結びつけるために、せねばならぬことを忘れない様にしなければならない。

かつてない飛躍とは、信頼性問題を起こさぬ様、事前に対策を打てることだ。


このコラムは、2016年9月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第492号に掲載した記事です。

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