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FMEAプログラム開発中

 先週は、TWIに関する説明・相談会、第一期QCC道場のキックオフなどあり、少し忙しくしていた。更にその時間の合間を縫って、FMEAの研修資料を作っていた。お客様の自社課題でFMEAの実践をするので、事例を準備する必要は必須ではないが、講義の時に実例があった方が分かりやすいと思い、事前に汎用の事例を作成している。

問題解決手法の研修にPM分析手法(現象を物理メカニズムで定義して故障原因を解析する手法)のプログラムがある。このプログラムでは事例として、使い捨てライターの機能不良をPM分析する演習課題を準備してある。

この課題を設計FMEAの事例に転用しようと、設計FMEAをやってみた。
35年程前に駆け出しの設計者として、工業用コンピュータの設計FMEAを実施したことがある。当時は訳が分からず「やらされている」感が強かった(笑)

その後品質保証部門の仕事をへて、FMEAの意義(故障・不適合の予防保全、潜在故障の発見による未然予防対策など)と効果(設計ノウハウの蓄積)に気がついた。

目的や意義をきちんと理解しないでFMEAを実践した時は、半ば嫌々やっていた。
しかし目的や意義を理解し、それが自組織に貢献すると分かれば、やりがいはあがる。

私は既に設計業務を引退しているが、技術者だった頃を思い出し熱中した(笑)
今まで何度もFMEAを教えて来たが、問題解決手法の一つとして教えていたので、簡単な事例だけだった。今回は、未知の故障・不適合を洗い出す所までやってみた。(私自身は使い捨てライターの設計をした事がないので、全てが未知の故障・不適合だ・笑)

私の仕事は、人を育成する事により組織を育成し、業績を上げる事だ。
この仕事は、やりがいがあり楽しい。しかも準備も熱中出来る。
一粒で二度おいしいキャラメルと同じだ(笑)


このコラムは、2017年5月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第527号に掲載した記事です。

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【中国生産現場から品質改善・経営革新】

続々・研修の目的

 二週間続けて研修の目的について考えてみた。

「研修の目的」
「続・研修の目的」

「研修の目的」では、研修開催は目的ではなく、何らかの問題を解決するための手段であるという趣旨のことをお伝えした。
先週の「続・研修の目的」研修を開催できない事例をもとに、研修を開催できない理由が課題となる。例えば「生産が逼迫しており研修を開催できない」は生産能力が不足しているという課題である。

では、現場のリーダが研修を受ければ生産能力が上がるかといえば、そんな美味しい話はないのである。身も蓋もない話で申し訳ないのだが、研修を受けて満足した。研修を受けて知識が増した。しかし何もしなければ、研修の成果はない。
研修の目的は得た知識を能力として活用(行動)することだ。それによって受講生が持っている課題を解決することが研修の本来の目的だ。

我々が現場改善のお手伝いをするもの同様だ。生産性改善、不良削減などの目的を達成するだけでは不十分だ。顧客のメンバーの能力と意欲を向上し、改善が継続するようにすることが必要だ。


このコラムは、2021年5月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1143号に掲載したコラムです。

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社内研修

 私の本来の仕事は、現場の改善だ。現場の改善を通してお客様の生産性、品質を向上させ、業績に貢献する。そしてその活動を通してお客様の改善リーダを育成する。
そういう仕事を中心としているが、研修室での社内研修もしばしばお手伝いすることがある。現場での経験はできないが、演習を疑似体験とすることにより、知識だけではなく、能力が付くように工夫している。

そういう仕事を通して、お客様の教育担当者と話し合うことがある。

あるお客様では、社外講師による研修テーマを、受講生のアンケートで決めているた。これには非常に驚いた。
確かに、受講生に興味があることを教えれば、効果は高いだろう。
しかし経営者が、どういうことを勉強して欲しいと願っているかが、優先するはずだ。研修を通して、経営者が必要と考えている知識を従業員が得る。その結果従業員の行動が変わり、業績に貢献できるようになる。

社内研修をすることが目的ではない。
社内研修は手段であり、目的は業績への貢献だ。

研修の効果を直接業績数字で評価することは、困難だ。
往々にして、研修の目標を、年間○回開催、研修参加率○○%以上などと置いてしまう。要は研修が○○人・回以上行われた、ということが目的となってしまっている。ここが間違いのスタートではないかと考える。

こういう目標を持つと、研修参加者をたくさん詰め込むことになる。○○人・回という目標に対し、コストパフォーマンスを高めたいという意向だ。演習を中心とした研修では、参加人数が多すぎると教育効果は落ちる。

業績に無関係の目標を置いているから、売り上げが落ちたら研修を取り止める。生産が忙しい時にも研修を取り止めることになる。売り上げが落ちて、定常業務が暇になっている時などは研修の絶好のチャンスのはずだ。

直接業績数字に結びつかなくとも、研修の効果を測定する方法はあるはずだ。
例えば研修後に、どんな行動が取れるようになったか観察すればよい。研修の結果期待すべき行動があるはずだ。その行動が開発もしくは強化されるように、研修を設計する。
そして研修後行動が強化されていることを、フォロー観察する。

ものすごく大変な作業に思われるだろうが、それが本来の仕事のはずだ。
能力は一人ひとり違う。研修の効果も一人ひとり違う。それをきちんと計測しなければ、研修の効果は分からないはずだ。

研修テーマを受講生のアンケートで決めてしまうのではなく、必要な研修テーマを決め、研修内容を設計し、効果測定・フォローの方法を考える。こういうことを一緒にお手伝いさせていただくのが、我々の仕事だと考えている。


このコラムは、2011年10月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第227号に掲載したコラムです。

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社員研修にタグラグビーいかが?

 社員研修に「タグラグビー」を採り入れる企業が増えている。個性を浮かび上がらせたり、チームワークを醸成させたりするのに効果があるとみられている。

 イングランド発祥のタグラグビーは、1990年代後半から日本で普及した。腰の左右にひもをつけ、それを相手に取られたら球を放す。激しい接触がないので、初心者や女性でも安心して楽しめる。

 1953年にラグビー部が創部され、現在はトップリーグに所属する古豪リコーは昨年から新入社員研修に採用した。指導役は、先輩社員で元日本代表FWの田沼広之さん。研修では「ラグビーは後ろにしかパスできないのに、前へ進む。チャレンジする勇気がないとトライできない」と新人たちに語りかけた。

(asahi.conより)

 ラグビーに限らず、チームで試合をするスポーツはグラウンドに出ている選手が全員ひとつの目標に向かって、全力を出していなければならない。いやグラウンドにいる選手だけではない。控えとしてベンチに入っている選手、補欠で観客席から声援を送っている選手までが、全員同じ目標に向かっているチームが強い。

一人でもモチベーションが上がらない選手がいれば、勝てないだろう。
ラグビーなら15人、サッカーならば9人の内一人でも戦力にならなければ、その損失は大きなパーセンテージを締める。

一方、普段仕事をしている組織を考えると、モチベーションが高い層が20%、モチベーションが低い、または不満を持っている層が20%、その中間が60%といわれている。

この様な組織で、試合をしたらゲームにはならないだろう。

その違いは、チーム全員が戦略・戦術を共有して戦えるかどうかだ。直接部門、間接部門の間に組織の壁があるようでは、試合に勝てるはずはない。補欠の選手は前線で戦っている選手を、試合の勝利のために支える。これが間接部門が試合に参加する方法だろう。

野球の場合は、一球ごとにベンチの指導者から戦術の指示が出せる。しかし、ラグビーやサッカーはそうは行かない。前線で戦っている選手が、一瞬の判断で、戦術を決定しパスを出さねばならない。

企業も同様だ。
いくらカリスマ経営者がいたとしても、現場一人ひとりに指示を出せるほど、企業経営のスピードは遅くはない。
カリスマ経営者がカリスマたるゆえんは、一人ひとりのメンバーの資質を高め、戦略・戦術を共有できるからだ。

チームワークだけが良くても試合には勝てないのは自明だろう。
チームワークが良い草野球チームと、プロチームから寄せ集めのオールスターチームが戦った時、どちらが勝つかは目に見えている。

チームワークとは、強いメンバーが勝つために発揮してこそ意味がある。
チームワークだけあっても勝つことは出来ない。

勝てる組織を作るためには、メンバーの能力を高め、チームワークを発揮するモチベーションを高めなければならない。

では、モチベーションを高める方法は?
それは、報酬でも、福利厚生でもない、というのが私の見解だ。


このコラムは、2011年7月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第215号に掲載したコラムです。

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現場型研修

 私は自分自身を「現場型コンサル」と定義している。
会議室で経営戦略を考えるのではなく、現場で知恵と汗を絞る。
研修室で知識を教えるのではなく、現場で能力を鍛える。
というのが自分の心情である。

あるお客様で、生産が止まってしまうので、その間に2000人の作業員に研修をしたい。というお話をいただいた事がある。こういう考え方で研修をしても、あまり効果は上がらないと思う。

研修をされるお客様の目的は、受講生の知識アップではなく、能力アップのはずだ。2000人の受講生相手に、大研修室で何かを教えたとしても、明日には半分以上忘れているだろう。この様な形式で研修をして、能力が身に付くと言うことはまずありえない。こういう形式の集合教育では、研修をきっかけとして各自が自分で、能力を鍛え始める様な工夫を盛り込んで置かねばならない。

マナー、ホウレンソウ、5Sなど新人教育は、毎年外部講師に頼んで実施してはいけない。こういう研修をリーダに受講させ、次の年から内部講師が自分達の工夫で教えるようにした方が効果が出るはずだ。

毎年研修の受注が出来れば、私の収入は安定するかもしれないが、お客様にとってハッピーな事ではないだろう。それよりは来年から自分たちで新人教育をするための、システムや教材を一緒に開発してあげたほうが、よほど効果は高くなるはずだ。

研修のリピートオーダをいただくよりは、お客様に満足していただき、新規顧客を紹介していただいた方が嬉しい。

現場型コンサルとして、お客様の工程に入る時も、自分だけで現場改善をしてしまってはだめだ。一緒に改善活動をするメンバーに、改善に対する情熱を持たせ、方法論を教え、改善力を鍛えておかねばならない。これをしておかねば、コンサル契約が切れた後、改善が継続しない。

言ってみれば、お客様に釣った魚を差し上げるのではなく、魚の釣り方を教え、うまく釣れる様になるまで練習してもらう。更に釣りの道具が作れるようになってもらう。というのが「現場型コンサル」の仕事だと思っている。


このコラムは、2011年5月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第206号に掲載したコラムです。

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続・研修の目的

 先週のメルマガで「研修の目的」について考えてみた。偶然と思われるが直後に研修の引き合いを連続していただいた。現在QCC道場を二組(全10チーム)指導している。コロナ禍で昨年は研修できなかったのを取り戻そうとお考えの経営者様が多いのかもしれない。

某国の政変で生産ができなくなっている工場を助けるために、研修延期の決断をされた経営者様もある。

しかし研修の目的を考えれば、忙しい時にこそ解決しなければならない課題が明確になっているのではなかろうか?忙しいから残業してもらい、研修の時間も削る。竹槍しかなく「がんばれ」と激励しても成果は期待できない。現場に新しい「武器」を導入することで、忙しさが解消できるはずだ。

忙しい原因は、他の工場の応援生産ではない。こう考えてしまうと、自力では改善できない。政変で生産が止まるのを工場経営者が阻止するのは不可能だ。

忙しい原因は、他の工場を応援する余力がない、と自責で考えれば生産能力向上の課題となる。作業員の多能工化、自動化生産などの課題が見つかる。


このコラムは、2021年5月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1140号に掲載したコラムです。

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研修の目的

 改善手法、QC手法、統計手法、品質管理などなど社内研修の仕事をいただくことがある。

以前あるお客様で統計手法の研修をさせていただいたことがある。会議室には本年の品質目標の項目に「統計手法の活用」が入っていた。年度品質目標を
設定し、研修計画も作られたのだろう。

別のお客様も、同様に会議室に年度品質目標が掲げてあった。しかしこちらは「従業員研修年2回開催」が目標となっていた。従業員研修を開催することを目標にするというのはちょっと違和感を感じる。本来研修はなんらかの目的を達成するために実施するものだと思う。
例えば、営業部門の新人に対して「接客マナー」の研修を行う目的は営業成績の向上が目的だろう。

品質部門で統計手法の研修を行うのは、統計手法の活用で品質改善に貢献するのが目的と思われる。

研修をする側は、目的を達成するために知識、能力を向上し、行動する意欲を高めることが仕事だと考えている。

ずいぶん昔のことだが、研修を専門にしている友人から研修の仕事を回してもらったことがある。研修テーマの他に、研修効果を図るために試験をする事
が条件となっていた。試験をしても得た知識の確認ができるだけだ。本当の目的は研修で得た知識を活用して、行動を起こす事だ。と説得したが、試験の
条件は緩和されなかった。

研修の目的が年2回開催のはずはない。本来の目的を忘れて数値目標を書いてしまったのだろう。数値目標の方が達成度は評価しやすいだろうが、本来の
目的で目標を設定すべきだ。知識を能力とし、行動しなければ本来の目的は達成されない。試験ならば数値で比較はできる。しかし研修前の点数は未知だ。

外部から研修に呼ばれただけで、研修目的の成果にコミットするのは困難だがそこに貢献する努力は必要だと思う。
今開催しているQCC道場は研修目的(QCC活動の目標達成)に向けて直接働きかけができる。


このコラムは、2021年5月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1137号に掲載したコラムです。

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学習する組織

 人間は本来「学習する動物」だ。子供の成長を見れば明確だ。子供は旺盛な好奇心と学習意欲を発揮して、社会生活に必要な知識や知恵を学んでいく。しかし残念ながら、子供の頃に発揮された学習意欲は年齢とともに衰える。

学習意欲を減退させる典型的要因は、所属する組織が慣例重視で保守的であるということだ。慣例重視・保守的な組織で働くうちに、子供の頃に発揮できた学習意欲は減退する。
「仕事の効率を上げる」「顧客に喜んでもらう」という動機に支えられた提案が先輩や上司の保守的な慣例主義に否定され、提案する気力がなくなる。
新しい知識を取得しても仕方がないとメンバーが感じてしまう。提案するための学習意欲は無くなる。

逆に学習する組織の顕著な特徴は「組織が創造的かつ革新的である」ことだ。
「組織の創造性と革新性」と「メンバーの学習意欲」は互いに因果関係を伴う強い相関関係にある。

つまり「メンバーの学習意欲が高い」から「組織の創造性と革新性は高まる」そして「組織の創造性と革新性が高い」から「メンバーの学習意欲は高まる」ということだ。


このコラムは、2020年7月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1010号に掲載した記事に加筆しました。

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相互支援学習

 私の仕事はお客様の生産現場の改善だ。現場の改善を通して業績アップに貢献することが任務だ。その任務で最重要点と心得ているのは、改善が継続することだ。我々の仕事が終わっても、改善が維持・向上していく様にする。そのためには、改善リーダを育成し、組織に改善文化を植え付ける。いわば人と組織の成長を支援するのが仕事だ。

最初から、これが自分仕事だと明確に分かっていた訳ではない。
前職時代に、リーダは育てられたが、組織は育てられなかったと言う挫折を体験した。独立後も指導の成果が顧客によってばらつく。しかし成果があまり出なかった顧客も、暫くしてここまで来ましたと連絡が来る様になる。そう言う経験を通して、自分の仕事は「人と組織の成長を支援する」ことだと徐々に明確になって来た。

最近は指導に「相互学習支援」を取り入れている。
相互学習支援とは、指導者対学習者と言う従来の学習構造を発展させ、指導者だけではなく、学習者自身も相互に支援すると言う考え方だ。

既に色々なお客様や、自社研修プログラムに応用している。
現在指導している中国企業の改善プロジェクトでは、いきなり成果が出始めている。
先週末に開催した品質道場も、第七期に入ったのを契機に相互学習支援の仕組みを取り入れた。学習者同士の支援により学びがより深くなり、新たな気付きを得ることが出来ると期待している。

最近、指導者を育成するのは学習者だと、実感している。私自身が、現場改善指導をしながら自分自身が成長しているのを実感している。


このコラムは、2016年4月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第470号に掲載した記事です。

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人財育成

 先週人事系コンサルをされている方の講演に出かけた。多くの経営者が人財育成に関して「モヤモヤ」しているというのだ。人財育成はやらなければならないと分かっているのだが、費用対効果を考えるとモヤモヤする。その証拠に売り上げが下がると真っ先に削るのが教育経費だ。

「モヤモヤ」の原因を自分なりに考えて見た。
企業が人財育成をする目的、達成すべき目標が明確になっていないのが原因と考え至った。

例えばISO9001で定められている年度品質目標に「□□研修◯回開催」などと書かれてはいないだろうか?研修をすることが目標ではないはずだ。研修により何を達成したいのかが目的であり、その達成度合いが目標であるべきだと思う。研修そのものは手段に過ぎない。

例えば、品質不良を半減するため(目的)に改善活動研修を開催(手段)する。
この時の目標は「不良率〇〇%削減」となるはずだ。
又は、作業員の離職率を下げるため(目標)にTWI-JR研修に参加(手段)する。
この時の目標は「作業員の離職率〇〇%減」だ。

人財育成の目的・目標が明確であれば、モヤモヤすることはないはずだ。更に目標を達成した時の費用対効果を考えれば、売り上げが下がる時にこそ研修をやらねばならないこともあるだろう。


このコラムは、2019年3月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第797号に掲載した記事に加筆したものです。

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