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学習する組織

 人間は本来「学習する動物」だ。子供の成長を見れば明確だ。子供は旺盛な好奇心と学習意欲を発揮して、社会生活に必要な知識や知恵を学んでいく。しかし残念ながら、子供の頃に発揮された学習意欲は年齢とともに衰える。

学習意欲を減退させる典型的要因は、所属する組織が慣例重視で保守的であるということだ。慣例重視・保守的な組織で働くうちに、子供の頃に発揮できた学習意欲は減退する。
「仕事の効率を上げる」「顧客に喜んでもらう」という動機に支えられた提案が先輩や上司の保守的な慣例主義に否定され、提案する気力がなくなる。
新しい知識を取得しても仕方がないとメンバーが感じてしまう。提案するための学習意欲は無くなる。

逆に学習する組織の顕著な特徴は「組織が創造的かつ革新的である」ことだ。
「組織の創造性と革新性」と「メンバーの学習意欲」は互いに因果関係を伴う強い相関関係にある。

つまり「メンバーの学習意欲が高い」から「組織の創造性と革新性は高まる」そして「組織の創造性と革新性が高い」から「メンバーの学習意欲は高まる」ということだ。


このコラムは、2020年7月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1010号に掲載した記事に加筆しました。

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相互支援学習

 私の仕事はお客様の生産現場の改善だ。現場の改善を通して業績アップに貢献することが任務だ。その任務で最重要点と心得ているのは、改善が継続することだ。我々の仕事が終わっても、改善が維持・向上していく様にする。そのためには、改善リーダを育成し、組織に改善文化を植え付ける。いわば人と組織の成長を支援するのが仕事だ。

最初から、これが自分仕事だと明確に分かっていた訳ではない。
前職時代に、リーダは育てられたが、組織は育てられなかったと言う挫折を体験した。独立後も指導の成果が顧客によってばらつく。しかし成果があまり出なかった顧客も、暫くしてここまで来ましたと連絡が来る様になる。そう言う経験を通して、自分の仕事は「人と組織の成長を支援する」ことだと徐々に明確になって来た。

最近は指導に「相互学習支援」を取り入れている。
相互学習支援とは、指導者対学習者と言う従来の学習構造を発展させ、指導者だけではなく、学習者自身も相互に支援すると言う考え方だ。

既に色々なお客様や、自社研修プログラムに応用している。
現在指導している中国企業の改善プロジェクトでは、いきなり成果が出始めている。
先週末に開催した品質道場も、第七期に入ったのを契機に相互学習支援の仕組みを取り入れた。学習者同士の支援により学びがより深くなり、新たな気付きを得ることが出来ると期待している。

最近、指導者を育成するのは学習者だと、実感している。私自身が、現場改善指導をしながら自分自身が成長しているのを実感している。


このコラムは、2016年4月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第470号に掲載した記事です。

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人財育成

 先週人事系コンサルをされている方の講演に出かけた。多くの経営者が人財育成に関して「モヤモヤ」しているというのだ。人財育成はやらなければならないと分かっているのだが、費用対効果を考えるとモヤモヤする。その証拠に売り上げが下がると真っ先に削るのが教育経費だ。

「モヤモヤ」の原因を自分なりに考えて見た。
企業が人財育成をする目的、達成すべき目標が明確になっていないのが原因と考え至った。

例えばISO9001で定められている年度品質目標に「□□研修◯回開催」などと書かれてはいないだろうか?研修をすることが目標ではないはずだ。研修により何を達成したいのかが目的であり、その達成度合いが目標であるべきだと思う。研修そのものは手段に過ぎない。

例えば、品質不良を半減するため(目的)に改善活動研修を開催(手段)する。
この時の目標は「不良率〇〇%削減」となるはずだ。
又は、作業員の離職率を下げるため(目標)にTWI-JR研修に参加(手段)する。
この時の目標は「作業員の離職率〇〇%減」だ。

人財育成の目的・目標が明確であれば、モヤモヤすることはないはずだ。更に目標を達成した時の費用対効果を考えれば、売り上げが下がる時にこそ研修をやらねばならないこともあるだろう。


このコラムは、2019年3月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第797号に掲載した記事に加筆したものです。

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相互学習支援

 私は、生産現場の改善を生業としている。前職時代から同様の仕事を永らくしている。独立後仕事のやり方が変わった。独立後暫くの間は、自分で改善案を考え、顧客のメンバーが現場に展開すると言う方法だった。

例えば、ベルトコンベアラインで作業している工員さんの座る向きを変えれば、ワークの取り置きは左手で出来る。従って右手に持った工具を取り置きする必要が無くなる。と言う具合に現場で顧客の改善リーダに教えていた。
このやり方でどんどん成果が出る。自分も充実感を感じていた。

しかし暫くして、このやり方ではダメだと気が付いた。このやり方で成長するリーダが限られている事に気がついたのだ。優秀なリーダは、教えられた事を水平展開する意欲を発揮し、自分で工夫し出す。私はリーダがこのレベルに到達する事を目指しているのだが、大半は次は何をしましょうか?と受け身のままだ。

そこで教え方を変えてみた。先ほどの事例で言えば、右手でコンベアのワークを取り置きするたびに、工具を一度置くのがムダだ。どうすれば改善出来る?と質問する事にした。

以前は、改善方法を教えて、その理由を説明していた。
それを、問題点を指摘して、改善方法を考える様に質問することにした。

このやり方で、自分なりに指導方法が改善出来たと考えていた。しかしまだまだだと、後に気がつく(笑)

きっかけは吉田新一郎氏の書籍を読んだ事だ。

「効果10倍の教える技術」

「『学び』で組織は成長する」

吉田氏は大人への教授法について、色々な手法を紹介してくれている。その後吉田氏の著作は翻訳も含めて何冊か読んでみた。

そして今キーワードになっているのが「相互学習支援」だ。「講師から学習者への1対1もしくは1対nの一方向の教授法」から「講師と学習者間の1対1もしくは1対nの双方向教授法」と自分なりに進化したが、更に「講師と学習者および学習者対学習者のn対n双方向学習支援」という考え方に至った。

例えば、研修中の演習成果発表を講師が評価するのではなく、学習者全員で評価する、こういうやり方が相互学習支援のひとつだ。

相互学習支援により、

  • 学習者間の信頼関係が深くなる。
  • 学んだ事をアウトプットする事により、より学習効果が高まる。

等の効果があると考えている。

私の様に期間限定で外部から改善指導をする様な場合、特にこの考え方が有効だと考えている。

例えばQCC活動の様に、指導者がいない場面でもサークルメンバーだけで活動を推進して行く場合に「相互学習支援」は普通に発生しているはずだ。


このコラムは、2017年7月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第543号に掲載した記事に加筆修正しました。

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