タグ別アーカイブ: 顧客満足

売上減少対策

 先週は、化学製品の卸売業を営む中国人オーナー経営者の経営相談を受けた。

50代のオーナー経営者は、東莞で1社卸売業を立ち上げ、その後順調に支社を東莞市内に立ち上げて行った。準備中の会社を含めて現在8社を経営している。危険物を取り扱うので鎮ごとの許認可が必要であり、分社化して経営している。

全体の売り上げは上がっているのだが、最初に立ち上げた会社の売り上げが、1億元/年から半減してしまった。従業員がさぼらずに仕事をするように、賞罰制度を導入してみたが上手く行かない。どうすれば、従業員がさぼらずに、業績に貢献する様に仕事をしてくれるのか?と言うのが相談内容だ。

彼らのビジネスは、元売りのメーカから製品を仕入れ、エリアごとの代理店に卸売りをする。営業マンは、担当代理店を回り注文を取って来る。注文が目標未達の場合は罰金、超過達成の場合は報奨金が出る。

帯同した人事制度系の中国人コンサルは、人事制度の改善を説明していたが、答えはそこにはない。

このメルマガの読者様は、この悩める中国人経営者にどのようなアドバイスをするだろうか?ちょっと考えてみていただきたい。

(考えました?)
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魂のこもった仕事

 NHKテレビ「仕事学のすすめ」の録画を,まとめ見した.

その中に建設機械のコマツ社長・坂根正弘氏が紹介されていた.
坂根氏が社長に就任した時に,社内はこんな状況だったそうだ.
販売した建設機械に対する顧客満足度を,毎月社長に報告していた.そのデータは,サービス部門が顧客に電話を掛け聞き取り調査をしてまとめる.

例えば,自社が販売した建設機械が48時間以上故障で稼動できなかった,など稼働状況も把握していた.しかしこのデータは,経営会議に上げられるだけで,担当営業所,設計部門,製造部門には上がらない.

経営会議で必要だから,データを集め,綺麗なグラフにする.これは「仕事」ではなく「作業」だ.魂を込めて仕事をするということは,その仕事の意味を理解するところから始めなければならない.

データを集める目的は,顧客満足状況を把握し,顧客満足を高めることのはずだ.経営会議にデータを提供することは,手段であって目的ではない.このデータを顧客満足を高めるために,製品設計の改善,生産品質の改善などに役立てなければならない.

日々のルーチンワークに陥り,仕事を作業としてしまうと,仕事には魂がこもらない.
コマツといえば,TQM先進企業だ.そのコマツでさえこういう事態に陥っていたのだ.

毎日の生産記録を班長日報で報告させているが,その記録は誰も見ていない.
品質管理部が毎月工程内不良率をまとめて,QA会議で報告するが,製造部門はそれを把握していない.
顧客クレーム内容は,製造部門にはフィードバックしているが,設計部門にフードバックしていない.

経営会議,QA会議などでのデータを見ると,きちんと運営できているように見えるが,内実は上記のような事態に陥っているのを見ることがある.

一度ご自信の会社で点検してはいかがだろう.

参考書籍
建設機械のコマツ会長・坂根正弘氏のダントツ経営(NHKテレビテキスト)
『ダントツ経営―コマツが目指す「日本国籍グローバル企業」』小松正弘著


このコラムは、2011年10月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第225号に掲載した記事に修正・加筆しました。

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社員第一主義

 「日本でいちばん大切にしたい会社」と言う本を書かれた法政大学大学院の坂本光司教授は、書籍の中でこうおっしゃっている。

「私は、数多くの中小企業を訪ね歩く中、好況、不況に関係なく、常に高い利益率を出し続けている企業があることに気付きました。それは、経営者が「社員第一主義」を貫いている企業だったのです。」

坂本教授の「日本でいちばん大切にしたい会社」は既にシリーズ4冊目を数えている。私もこの書籍で、日本理化学工業、伊那食品などのすばらしい経営者を知ることができた。

「日本でいちばん大切にしたい会社4」坂本光司著

従来の経営学では「企業は利益を追求するのが目的であり、その結果従業員を幸福にしたり、社会に貢献する事が出来る」と言うのが常識だった。

しかし「企業の目的は従業員を幸せにする事が目的であり、その結果社会貢献が出来る様になり、企業に利益をもたらす」と目的と結果を入れ替えて考える方が、上手く行くはずだと考えた。2010年12月、明治大学経営学部の郝教授と議論をして「二十一世紀型企業経営」と言う啓示を得た。

つまり、従来型の企業経営は、企業の業績を上げるために人財の育成をする。
しかし、先進的な企業経営は、人財の育成を目的とし結果として業績が上がる。
と言う議論を遠して「二十一世紀型企業経営」と言う言葉が出て来た。

従来は、経営者と労働者は利益対立関係に有り、利益の配分を巡って対立することになる。激しい労働争議などが発生し、自らの利益を主張して譲らない。そこには、顧客の存在が忘れ去られていたと言って良かろう。

その後「顧客第一主義」を経営理念としてうたい、経営者と労働者は顧客満足を共通の目的として協調する、と言う考え方になる。経営者は、顧客満足を高めるための一手段として、人財育成をする。その結果が業績に反映する。

坂本教授の「社員第一主義」は、まず従業員を幸せにすることを目的とする。
上述の例で説明すれば、従業員を幸せにするために人財育成をする。その結果顧客満足が得られ、顧客が幸せになる。幸せな顧客は企業の利益に貢献する。と因果関係が逆転する。

企業が大切にしなければならないのは、
一、従業員とその家族。
二、取引先の従業員とその家族。
三、現在顧客と未来顧客。
四、地域社会。
五、株主、出資者、経営者。

こういう考え方が広まると、社会全体が幸せになるはずだ。

坂本教授の書籍は中国語に翻訳されている。『日本最了不起的公司』で検索すると中国語翻訳版が多数出て来る。ご参考にしていただきたい。


このコラムは、2014年10月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第395号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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