投稿者「master@QmHP」のアーカイブ

ブルートゥースイヤホン後日譚

 以前ご紹介したブルートゥースイヤホンの故障事件(「顧客満足」「続・顧客満足」)がようやく結末を見た。

今回は代替え品の箱に、充電時の注意事項を大書したメモが添えられていた。
取説には5V1A以下の充電器を使う様指示がしてあった。メモにも同様の注意が書いてあるが、許容範囲も書いてあった。1A以下は結構マージンのある値の様だ。容量の大きな電源で充電すると、どこがどう壊れるのかまでは説明してないが、突入電流で内部の回路が壊れるという予測は当たっていた様だ。

流石にその様な注意書きが添えられていたので、代替え品を受け取った店員は充電するのをとまどった様だ。注意書きを添えたまま保管してあった。「大は小を兼ねる」を信じている人には、注意書きの意味がわからず躊躇したのだろう(笑)

電源装置の品質保証を担当していた時に同様な不具合を体験したことがある。
汎用充電器の側からこの様な事故を防ぐことはほぼ不可能だ。〇〇専用充電器でなければならない。出力端にL成分を入れておけば突入電流を減らすことができるかもしれないが、その効果をあらゆる製品で保証することは難しい。

専用充電器を添付しないのであれば、装置側で対処するのが現実的だろう。
取説の端に小さく書くのではなく、きちんと目立つ様に書き、守らなかった場合の結果も記載しておくべきだ。

電源装置の品質保証をしていた者としては、突入電流で壊れてしまう様な製品を設計して欲しくないのだが(笑)

 販売店は代替え品を取りに行った後、充電してくれました。しかし待てど暮らせど充電が完了しません。充電器を見たら5V /0.2Aと書いてある。
こういうのを「羹に懲りて膾を吹く」というのでしょう。


このコラムは、2021年9月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1189号に掲載した記事です。

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【中国生産現場から品質改善・経営革新】

晏平仲人と交わりて敬す

yuē:“yànpíngzhòng(1)shànrénjiāojiǔérjìngzhī。”

《论语》公冶长第五-17

(1)晏平仲あんぺいちゅう:姓は晏。名はえい。字は仲。平はおくりな。斉の霊公・荘公・景公の三君に仕えた名宰相。

素読文:
いわく:“あんぺいちゅうよくひとまじわる。ひさしくしてこれけいす。”

解釈:
孔子曰く:“晏平あんぺいちゅうは交際の道をよく心得ている人だ。どんなに長く交際している人に対してもなれて敬意を失うことがない”

子産を謂う

wèichǎnyǒujūnzhīdàoyānxínggōngshìshàngjìngyǎngmínhuì使shǐmín

《论语》公冶长第五-16

素読文:
子産しさんう、くんみちり。おのれおこなうやきょうかみつかうるやけいたみやしなうやけいたみ使つかうや

解釈:
子、子産を評して曰く:“君子の道は四つの道をよく守っている。子産は第一に恭謙である。第二に上に仕えて敬慎である。第三に民に対して慈恵を旨としている。そして第四に民の使役が公正である”

子産という名前でも、孔子の弟子ではありません。

五つ星ドライバー

 先週の記事「優良運転手が客待ち 東京・新宿駅にタクシー乗り場」に対して読者様からこんなメッセージをいただいた。

☆Y様のメッセージ
上海ではタクシーに5つ星制度がありますよ、何年も上海に居ますが2回だけ5つ星タクシーに乗り合わせました、良かったですよ 顧客対応・安全運転・道に詳しい等々やはり違います。星無しから~最高が星5つです、試験も有る様に聞きました。

さすが上海!万博に向けて、世界標準のサービスレベルに持ち上げようという運動だろうか。

以前(2007年ころ)上海虹橋空港からタクシーに乗ったことがある。
そのときの運転手は最悪だった。

上海賓館というホテルまで行ってもらおうと思ったのだが、場所が分からないという。降りてタクシーの誘導係に場所を聞いてきてくれといわれた。当時タクシーに乗って悲惨な目にあった人の話ばかりを聞いていたので私も素直には言うことが聞けない。
降りて聞きに行くとトランクに入れた荷物ごとタクシーが去ってしまう、という最悪のストーリィが頭をよぎった。ここで降りてしまおうかと思ったが、また30分も列に並びたくはない。

そこでトランクを開けさせ荷物を持って誘導係に聞きに行った。
誘導係は「知らないはずないだろ」といいながらめんどくさそうに運転手にホテルのある道を教えていた。

以後まったく無言のままホテルまで送ってもらった。私が疑い深すぎたのかもしれないが、このくらい注意していないとひどい目にあう可能性がある。

同じころ北京空港から市内に向かうタクシー乗り場では、乗客にアンケート用紙を配っていた。このときは北京オリンピックに向けてタクシーのサービス向上キャンペーン中だったようだ。

いずれにせよ、もうしばらくすれば中国でも気持ちよくタクシーに乗れるようになるだろう。


このコラムは、2009年8月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第112号に掲載した記事です。

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優良運転手が客待ち 東京・新宿駅にタクシー乗り場

優良運転手が客待ち 東京・新宿駅にタクシー乗り場

 無事故無違反で、接客態度もいいタクシードライバーだけが客待ちしている「優良タクシー乗り場」が5日、東京駅丸の内北口前と、新宿駅西口地下に現れた。

 東京・新橋駅で昨年3月に設置したところ、好評だったため、東京23区と武蔵野市、三鷹市で活動する財団法人「東京タクシーセンター」が増やした。「走っているタクシーの中からいいタクシーを選ぶのは難しい」と思いついたという。「安全・丁寧」でも料金は変わらない。

 優良タクシー乗り場で客待ちできるのは、「10年間クレームなし、3年間無事故無違反」などの条件を満たしてセンターから表彰された運転手と、事故や乗車拒否など法令違反の少ない「優良タクシー会社」から推薦された運転手がハンドルを握るタクシー。センター加盟の約9万4千人の3分の1程度に限られるという。

(asahi.comより)

 この記事によると日本には優良タクシー運転手は全体の1/3程いるということになる。では中国で優良といってよい運転手はどのくらいいるだろうか。当然そんな統計は無いが、全体の3%くらいというのが私の印象だ。

タクシーに乗ると騙されないように身構えてしまう。
タクシーに乗って前金でお金を払ったら、暫く走ったところで携帯に電話がかかってくる、そして急用ができたからここで降りてくれ、ついてはお金は返すという。車から降ろされ返してもらったお金は偽札だった。なんて話しは良くある。

深センから東莞までタクシーに乗ったら、高速で降りたところで道が分からないから地元のタクシーに乗ってくれという。運転手の言い値で乗っている、降りてまたタクシー代を払うわけにはゆかない。目的地の会社に電話して道順を説明してもらっても、分からないから降りろの一点張り。

いつもタクシーを利用している区間で15±1元で着く距離なのに、メータが20元を表示している。

目的地が分かるといっておいてしっかり道に迷い、かなりの距離引き返しているのにメータの料金をそのまま請求する。

なんてタクシーの不満を書いたらいくらでも出て来る。

そんな中でも親切な運転手は3%くらいはいる。
運転手にしてみれば、次に同じ客を拾う可能性など殆どゼロだ。それなのに良いサービスをしても意味が無いと考えているのだろう。ニッコリしてありがとうございました、というくらい何のコストもかからないはずだ。客だけでなくありがとうございますと言った本人も気持ちが良くなるものだ。

中国でも同じようなシステムを導入して、五つ星運転手なんて称号を与えるようにしたらきっとサービスは改善されるだろう。

 ところで先週末久し振りに日本のタクシーに乗った。最終電車で最寄り駅に着き自宅までタクシーに乗った。

いつもであればタクシー乗り場には乗客が行列をしている。ところが先週はタクシーの方が行列をしていた。タクシーの運転手の話では今年に入ってから最悪だそうだ。週末でも飲んで最終電車で帰ってくる人は殆どいなくなってしまったようだ。

ちょっと景気が悪いという話が出ると、一斉に庶民の財布の紐が固くなる。そしてそれでますます景気が悪くなる。
ガンバレ日本!不況に負けるな。


このコラムは、2009年8月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第111号に掲載した記事です。

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人の欲せざるを成すなかれ

gòngyuē:“rénzhījiāzhūjiāzhūrén。”
yuē:“(1)fēiěrsuǒ。”

《论语》公冶长第五-12

(1)赐:子貢の名

素読文:
こういわく:“われひとこれわれくわうることをほっせざるや、われまたこれひとくわうることからんとほっす。
いわく:“や、なんじおよところあらざるなり。”

解釈:
子貢曰く:“自分が人からされたくないことは、自分もまた人に対してしない様にします。”
それに対し孔子は“よ、それはまだまだおまえにできることではない”

私も子供の頃母親に「人にされたくないことはしてはならない」と何度も言われました。
子貢は自分から「人からされたくないことはしない」と言っているのに、師匠の孔子はお間にはまだ無理だ。と言い放されています。孔子が「これこれの方法で精進せよ」とアドバイスするとは思えませんが、お前には無理だと切り捨てられています。口先だけでなくどの様にするのか考えろ、という教えなのでしょうか。

無所取材

yuē:“dàoxíngchénghǎicóngzhěyóu?”
子路zǐlùwénzhī
yuē:“yóuhàoyǒngguòsuǒcái 。”

《论语》公冶长第五-7

素読文:
いわく:“みちおこなわれず、いかだりてうみうかばん。われしたがものゆうなるか。”
子路しろこれきてよろこぶ。
いわく:“ゆうゆうこのむことわれすぎたり。ざいところし。”

解釈:
孔子曰く:“私が教える『道』によよる治世をを受け入れる為政者は現れない。いっそ筏にでも乗って『道』を広めてみようか。一緒に行くのは子路か”
子路はこれを聞いて喜ぶ。
孔子は続けて曰く:“子路は勇敢であることは私より優れているが、治世の人材としては取り柄がない。”

流石の子路も、師匠にこういわれては落ち込んだのではないでしょうか?

データを看える化

 工程内不良率のデータをきちんと収集しているが、何のために収集しているのか不明という事例を良く見る。

工場全体の工程内不良率が毎日集計されており、翌日にはそのデータが出てくる。データは各ラインから上った生産ロット毎の工程内不良率をエクセルで集計している。ピボットテーブルまで使った高度な集計処理をしている。

しかし出てきたデータはただの数字の羅列で、ここからは何を言いたいのか、データを収集した意図が見えてこない。

まずはデータを看える化する。
工程内不良率を折線グラフにするだけでも相当に違う。
更にこのデータから何をしたいのか、その意図に従ってデータを加工する。

工程内不良の発生要因によって層別をする。
例えば部材ロット、生産ライン別にデータを層別し、各要因の工程不良率に対する影響度を分散分析により評価する。この分析により部材のロットが工程不良に与える影響が支配的であり、生産ラインの違いは誤差と判断できれば、工程内不良をp管理図でモニターしていれば、部材の品質改善に役立てる事が
できる。

工程内不良を低減しようとして部材を全数検査した後生産投入した。しかし工程内不良率は上がってしまった。
この様な場合に、事前に工程内不良の支配的要因が何かを把握していなければ、部材の検査・選別方法が悪いのか、工程内不良の支配的要因が部材以外にあるのかを判断する事ができない。

品質管理には統計的手法が威力を発揮する。
中国語の良いテキストは見た事が無いが、日本語ならば良いテキストはある。これは日系企業にとって有利な条件だと思う。あなたの工場でもこの優位性を活用してみてはいかがだろうか。


このコラムは、2009年7月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第第108号に掲載した記事です。

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目標より使命

 先週の雑感で、デレク・シヴァーズのTEDスピーチから「目標を宣言すると実現しない」という例をご紹介した。

「Keep your goals to yourself」

目標を宣言することで、「代償行為」が発生しすでに目標を達成したと錯覚し、目標達成の努力に対するモチベーションが上がらず、結局目標達成から遠ざかる、ということだ。

よく考えると、目標を宣言する・しないよりも努力を継続すること自体が重要だと気がついた。目標を宣言することは、目標を達成する・しないに直接因果関係はないはずだ。努力の継続が目標達成の直接因果関係だ。

つまり目標を宣言する・しないに関わらず、努力を継続するモチベーションを上げれば良いと考える方が妥当だろう。では努力継続モチベーションは何処にあるか?

それは、なぜその目標を達成しなければならないかという使命感とか理念ではないだろうか。目標を組織全員で共有することは重要だが、それよりも使命や理念を共有する事が先だと気がついた。


このコラムは、2018年9月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第719号に掲載した記事です。

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朽木彫るべからず、糞土塗るべからず

zǎizhòuqǐn
yuē:“xiǔdiāofènzhīqiángzhū。”
yuē:“shǐréntīngyánérxìnxíngjīnréntīngyánérguānxínggǎishì。”

《论语》公冶长第五-10

素読文:
さいひるぬ。いわく、朽木きゅうぼくるべからず。糞土ふんどしょうは、るべからず。いてかなんめん。わく、はじわれひとけるや、げんきておこないをしんぜり。いまわれひとけるや、げんきておこないをる。いてかれをあらたむ。

解釈:
宰予が昼間寝ていた。それを見て孔子は“朽ちた木は彫刻できない、糞土壁は上塗りしても意味がない。自分は今まで人は言葉通りの行いをするものだと信じていた。お前の言動を見ていると、言葉どおりの行動をするとは限らないこと知った。これからは改めねばなるまい。

これは強烈な叱責です。居眠りするなと叱られるより、師匠が弟子に対して、自分自身の行動を改めると言っています。弟子は厳しい叱責と感じるでしょう。