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救急隊が「死亡」判断、実は生きていた 脈拍気づかず

救急隊が「死亡」判断、実は生きていた 脈拍気づかず

 ゲートボール場で倒れていたホームレスの男性(51)を、救急隊員が「死亡」と判断し、警察署の検視室に運ばれるミスが10日、さいたま市西区であった。男性は、約1時間後に検視室で意識を取り戻した。入院したが、命に別条はないという。男性を運んだ市消防局は「起きてはならないことが起きてしまった」と平謝りだ。

 同局などによると、男性は布団にくるまって倒れていた。通行人の110番通報を受け、同日午前9時53分、桜消防署大久保出張所の救急隊3人が現場に到着、隊長と救急救命士が男性の状態を観察。顔が青白く、体は冷たく、両腕を上げても反応がないことなどから、約10分後に死亡と判断し、大宮西署の警察官に引き継いだという。

 「死因」を調べるために男性は署内の検視室に運ばれたが同11時ごろ、意識を回復し、まばたきを始めた。検視準備中の署員が気づき、呼吸していることを確認した。

 隊長は「脈拍は測ったが感じられなかった」と話しているという。ただ、男性の鼻や口元に耳を当てずに衣服の上から胸の動きを見て呼吸の有無を判断し、意識確認の際も患者の肩をたたいていないなど、市消防局の基準にある行動を怠っていたという。

 小池健一市消防局長は「基本動作を怠っており、緊張感が欠如していた。再発防止に努める」と謝罪した。

asahi.comより)

 心が痛む事件である。もしもこの男性が、高級住宅地の寝室で倒れていたら同じミスが発生しただろうか?

少なくとも日本は、貧富の差無く人の命は等しい重みを持つ国であって欲しい。ひところ、若者の「浮浪者狩り」が問題になった。社会に貢献できない弱者の命を、軽んじる風潮は、成熟した社会が持つものではない。弱いものを守り助ける社会こそ豊かな社会といえるだろう。

若者を指導しなければいけない大人が、しかも人命を救う職務を担ったものが、基本動作さえ守れないというのでは情けない。救急現場に出て、基準作業をするのは最低限の任務だ。人の命を救うのが使命ならば、基準動作を超えた水準を目指すべきだ。

ところで生産現場でも、同じようなことがある。
作業員や現場リーダが定められた標準作業を怠り、品質問題を発生させることがよくある。

毎月開催している「人財育成勉強会」でも、作業者にどうしたら標準作業を守らせることが出来るかを議論したばかりである。

  • 守れない手順になっていないか
  • 作業と作業指導書の乖離をなくす
  • 国民性、民族性のせいにしていないか
  • 教えるより環境を変える
  • 作業指導書が守れない理由をとことん調べる
  • 優先順位を理解させる
  • 現場監督職の力量を上げる

このコラムは、2010年2月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第139号に掲載した記事です。

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ヒューマンフレンドリィ

 デジタルデバイドという言葉が流行り始めている。最近情報の閲覧や入力がスマホなどのデジタル機器に対応する様になり便利になっている。その利便性の恩恵に預かるのは、生まれた時からデジタル機器が身の回りにある年代に限られるのではなかろうか?最初に手に入れたコンピュータはAppleIIという8bitCPU6502搭載のマシンだった私は、必ずしもデジタル弱者とは言えないと思っている。しかし最近、誤操作をしてしまうことが増えた。加齢のためではない、と断言したい。例えばメッセージに返事を入力している時に、やり直しをしようとして「取り消し」のボタンを押すと、返信ではなく受信メッセージが消えてしまった。当然返信作業中の取り消しは返信の取り消しと考えるのが普通だろう。

デジタルデバイドというのは必ずしも、利用者側の問題ではない。
製品・システムの提供者側が「マシンフレンドリィ」に偏っている様に思う。「ヒューマンフレンドリィ」という言葉がしばしば使われ、種々工夫して来た。しかし最近は「マシンレンドリィ」に逆戻りしている様な気がする。

当然、現在製品やインターフェイスを設計するエンジニアは、生まれた時からデジタルデバイスに囲まれたデジタルネイティブだろう。彼らにとってマシンフレンドリィとヒューマンフレンドリィの境界が、我々世代と違うのかも知れない。

製品の検証チームに高齢者を参加させるべきと考えるが如何だろう?


このコラムは、2022年4月22日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1283号に掲載した記事です。

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正論は暴力になりうる

 コロナ禍の閉塞感に感じたことはいくつもある。それらの共通点を見つけるとすると「正論は暴力になりうる」ということではなかろうか?
「自粛要請」という名を借りた飲食店の酒類提供自粛、夜間営業自粛これらの「要請」により売り上げ減少により経営破綻した人、収入をたたれた人、など多くの困窮者が出ただろう。また夜間働く人々は深夜食堂の営業自粛により、空腹難民となったことだろう。

「コロナの拡散防止」の正論のもとに科学的根拠の薄い要請は社会的暴力と言えるだろう。市民同士でも根拠のないデマが正論の元に拡散し暴力となる。

「〇〇すべき」もしくは「〇〇すべきでない」という文言には注意が必要だ。

これは社会問題だけではない。
我々の仕事の中にも、暴力とは言えないかも知れないが、根拠のない常識がまかり通っていることはないだろうか?

代々伝わっている「べからず集」の中には、陳腐化したまま厳守されているモノも有るだろう。これらを家訓の如く信じ込んでいると、時代の流れに取り残される。深刻な被害がなくともなますを吹いて食べる様な無駄に気がつかなくなる。

若者、よそ者、馬鹿者が世の中に変化を起こすというが、常識を超えた改革をもたらすのは、正論に立ち向かう勇者だろう。


このコラムは、2021年12月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1229号に掲載した記事です。

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マニャーナの法則

 本を読んでいて「マニャーナの法則」という言葉に出会った。
「明日できることは今日するな」という法則の様だ。法則というよりは仕事術と言ったほうがよさそうだが。

なぜこの言葉が気にかかったのか、言葉の意味を調べても分からなかった。
さらに調べると「マニャーナ」がスペイン語だとわかり、突然「アスタ・マニャーナ」という言葉が頭の中に響いた。随分以前の話だが、メキシコに出張した折に「アスタ・マニャーナ」とか「アスタ・ルエゴ」という言葉を何度も使っていたのを思い出した。仕事が終わって帰る時の挨拶だ。「明日またーね」と覚えた(笑)

明日できることは明日に回す、というマニャーナの法則はどうも馴染めない。馴染めなくとも現実は今日できる仕事も、何らかの理由で締め切りギリギリになってしまう、ということはしょっちゅう体験する。

また仕事の分量が読めずに、明日に回した仕事が1日で終わらないこともある。

ならばどのくらいの仕事量なのかと試しにちょっと作業をしてみて、明日でも間に合うと判断したら、明日まで中断する。これも非効率である。いわゆる「取り置きの無駄」が発生するからだ。

子供の頃からアリとキリギリスの逸話を聞かされ育った私たちにはマニャーナの法則は馴染めないのかもしれない。


このコラムは、2022年6月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1301号に掲載した記事です。

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ヒト造りの力

以前このメルマガで常盤文克氏の「ヒトづくりのおもみ」という本を紹介した。

先週はそれを実感する出来事があった。

広東省恵州市にある工場を訪問した。私が尊敬している大先輩が以前総経理をしていた工場だ。この工場に生産管理板の使い方をプレゼンテーションに行った。

この生産管理板は、生産計画数、生産予定数、生産実績数がそれぞれLEDで表示してあり、予定に対して実績が遅れると赤色のアンドンが点灯する様になっている。これをたんなる生産数量管理に用いるのではなく、問題点の看える化をし現場の継続的な改善力養成に活用しよう、というプレゼンテーションだ。

これをご覧になった工場の若いスタッフの方たちが、食堂の「満足度表示」の電光表示板と似ている、と感想を漏らした。

そこで思い出した。
私の大先輩の部下だった中国人副総経理がこの工場に去年転職している。大先輩の工場では食堂に「満足度表示」の電光掲示板が掲げられているのだ。

大先輩は部下を育てることにより、古巣の工場にも貢献されている。ヒト造りの力を再認識した。


このコラムは、2009年2月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第85号に掲載した記事です。

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続・F1プロジェクト

先週のメルマガに対して読者様からご感想をいただきました。ありがとうございます。

中国の人に対して、自分が伝えたいことを100%伝える為にはどうすれば良いか、私も日々苦悩しております。

F1プロジェクトのお話しは、言葉の壁、考え方の違いがある中国の人に対して、どうやって分かりやすく物事を伝えるか、また、理解してもらうかの実例として、非常に参考になりました。
この様な説明手段は、その人の経験とセンスがかなり重要で、同じ内容を伝える場合でも、その手段は人によって全然違ったものになりますね。また、資料の準備には努力を惜しまないということも、非常に重要ですね。

以前「チームワーク」を中国人のリーダに教えようとして野球を例にとって話を始めました。しかし誰も野球を見た事がない(汗)
こういう失敗もありますが、相手の目線で説明する事が大切だと思っています。

今週のセミナーで原田則夫さんの「人心管理経営」を紹介しますが、原田氏は説明のしかたがうまいです。「可視化管理」を、管理する側の論理ではなく、現場の従業員の立場で説明します。私も原田氏からたくさん勉強させていただきました。


このコラムは、2008年6月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第36号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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着陸するロケット

着陸するロケット、「価格破壊」は日本の論文のおかげ?

発射したロケットが再び基地に戻ってくる――。SF番組「サンダーバード」に登場するようなロケットを開発したのが、米国の宇宙ベンチャー「スペースX」だ。ロケットが、洋上の船に正確無比に着艦する映像はもはやおなじみになり、再使用により打ち上げ費用は安くなった。だが、その「価格破壊」が危ぶまれる「事件」が起きていたことは、あまり知られていない。

(全文)

(朝日新聞より)

「事件」とはジェフベゾスの「ブルーオリジン」が特許申請した宇宙ロケットの採用技術に対し、イーロンマスクの「スペースX」が先行事例を挙げて特許成立を阻んだことを指している。それだけではない。その先行事例として挙げたのが、宇宙開発事業団(現JAXA)と三菱スペース・ソフトの技術者が米航空宇宙学会誌に発表した「垂直着陸型2段式ロケットの再突入と誘導」という論文だったのだ。

今更歯がみをしても始まらないが、学術論文を発表する前に特許出願をしておけば、スペースXから特許使用料が入り、日本の宇宙産業研究資金となっただろう。

日本人はお人好しが過ぎるようである(苦笑)
「無印良品」が中国で商標権訴訟を起こされ敗訴したのは記憶に新しい。


このコラムは、2020年10月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第第1051号号に掲載した記事です。

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脅迫メール

有権者にトランプ氏への投票迫るメール

「米有権者にトランプ氏への投票迫るメール、国外のサーバー経由か」

 米フロリダ、アラスカ両州などで20日、一部の有権者に「トランプに投票せよ」と脅す内容のメールが届いたという通報が相次いだ。
フロリダ州選挙管理当局の報道担当者は、この日に数十件の通報が殺到したため、連邦捜査局(FBI)などに報告したと述べた。
フロリダ大学では学生や職員、卒業生ら183人に同様のメールが届いた。

(CNNより)

 以前頻繁に脅迫メールが私のPCに来た。
「お前のパスワードはこれこれだ。このPCにはマルウェアを仕込んであり、PCで閲覧しているエロサイトの画像とそれを見ているお前の顔を収録した。これをさらされたくなければ、仮想通貨でいくらいくら支払え」という脅迫だ。
同様のメールを多くの人が受け取ったようだ。噂によると老齢の女性にも届いたらしい。

今回の脅迫メールは、金品を要求しているわけではない。報復すると言っている。一種の愉快犯なのだろうか?

メールそのものは米国国外から送られているようだ。
トランプに引き続き大統領を続けてほしい勢力があるのだろうか?
または、犯罪的組織がトランプを応援していると匂わせる、反トランプ勢力の陰謀であろうか。

いずれにせよ、トランプ大統領は4年で終わりだろう。米国国民の良識を信じたい。


このコラムは、2020年10月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1052号に掲載した記事です。

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余白が新しいモノを産む

 「余白が新しいモノを産む」私が尊敬する友人・原田遼太郎氏の言葉だ。彼は中国で学生を巻き込んで、元ハンセン氏病患者の隔離村支援を実践してきた人だ。彼の活動はこのメルマガでも何度が紹介した。

「世界を変える」
「モチベーションの高め方」
「高離職率組織の運営」

彼がいう「余白」というのは組織の「余白」のことだ。組織をキチッと定義し、運営をすると組織の活力が失われる。というの彼の言葉の真意だと思う。(オンラインでスピーチした内容なので真意を確かめるチャンスがなかった)

例えば企業の組織で考えてみよう。マーケティング部門が商品企画を考える。開発部門がその企画を製品に落とし込む。生産技術部門は製品の生産工程を作り上げる。製造部門が製品を生産。営業部門が顧客に販売し対価を得る。その他の間接部門も協力して企業活動を行う。

組織とはこの様な形のものだと考える。
このとき組織の境界線をキチッと引いてしまうと画期的なものが生まれない。

それぞれの役割が決まっており互いに干渉しない「硬い組織」よりも決まった役割を逸脱しても互いに議論し合う組織「余白のある組織」の方が活性度が高いはずだ。

世の中の官僚組織と、自由闊達なベンチャー組織を比較してみれば理解できるだろう。

 余白とは境界線にある緩衝地帯の様なものだろう。
地政学的な緩衝地帯は相互に干渉しない領域を指すと思うが、活性化した組織の余白は相互に積極的干渉し合う領域だ。


このコラムは、2022年4月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1275号に掲載した記事に加筆しました。

メモの効用

 最近やたらとメモをする様になった。林も「物忘れの年頃になったか」と人は言うが、私は元々記憶のために大事な大脳を使っていない。大脳は創造のために使うものだと心得ている。アイディアのネタは補助記憶装置であるメモに記憶させる。紙のメモだったりEvernoteだったりする。

何故最近メモが増えたかと言うと、いろんなアイディアが泉の如く湧き出て来るからだ。と言いたいところだが、せっかく浮かんだアイディアを忘れない様にメモしている。基本的には人の記憶容量は一定だろう。幼稚園の頃一緒に遊んだ友達のこと、小学校の頃少年向け週刊誌が創刊されたこと、中学の頃友人と考えたギャグのことなどなど。実にくだらないことが大事な大脳を占拠しており、これからも増え続けるのが許せない(笑)
従って些事は外部補助記憶装置に格納することになる。

紙のメモは短期記憶用。キャッシュメモリの様に使う。
クラウド上のメモは手元にノートや筆記用具がなくても使えるし、検索で探すのが楽で良い。


このコラムは、2022年4月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1277号に掲載した記事です。