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続・成功の反対語

 第89号「成功の反対語は何?」に関してアンケートメールをいただいた.

I様のメッセージ

今週、特に良かった言葉です
・失敗の向こう側にある成功
・勇気を持って一歩を踏み出そう
メルマガ配信される月曜日が楽しみです

F様のメッセージ

第89号の今日のテーマに感動しました。
本当にそうですよね。100%を用意しようと思っていたら、なかなか行動に移せず、気が付くと時間だけがどんどん過ぎてしまっています。
60%で動き始めてこそ、次が見えてくるんですよね。
その事を今一度、心に留め置いて、何事にも躊躇せずに前向きに進めていこうと再認識させていただけました。
いつも、本当に有難うございます。

K様のメッセージ

この文章を読み、あるマンガのセリフを思い出しました。
「人の足を止めるのは”絶望”ではなく”諦観(あきらめ)”、人の足を進めるのは”希望”ではなく”意思”」
「ヒトは絶望するから足を止めるんじゃない。
絶望から這い出ることを”諦め”てしまったから足を止めるんだ。
ヒトは希望があるから前に進むんじゃない。
希望を探そうという”意思”で前に進むんだ」
中々良いセリフだと思いませんか?
(私は精神年齢が低いので、マンガでも何でも、すぐに影響を受けてしまいます・・・)
余談が長くなりましたが、「ムダ」の反対語は思いついていません(笑)
出てきそうで出てこないですね。
皆さんの意見があれば、是非聞きたいですね。

I様,F様,K様メールありがとうございます.

実は私もまだ「ムダ」の反対語が思いつかない.
思いついた方があれば是非ご投稿いただきたい.


このコラムは、2009年3月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第91号に掲載した記事です。

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【中国生産現場から品質改善・経営革新】

成功の反対語は何?

 国語の勉強では「成功」の反対語は「失敗」と教えるだろう.しかし実社会では「成功」の反対語は「失敗」ではない.

成功するための第一の秘訣は成功するまでやめないことだ.
何度失敗しても成功するまで諦めずにやり続ければ,必ず成功する.
一つ一つの失敗から学習して成功への手がかりを一つずつ積み上げてゆけば良いのだ.

成功とは積み上げられた失敗を登りきった所にあるものだと思う.
従って成功の反対側に失敗があるのではなく,成功は失敗の向こう側にある.

では成功の反対語は何だろうか?
「何もやらないこと」が成功の反対語だ.

失敗を怖れて一歩を踏み出さない.これでは成功するはずがない.
最初の一歩はゼロから一への無限大の重みがある.

目的地までの地図が100%そろうまで待っていては,いつまで経っても出発はできないだろう.60%見えたら出発すれば良い.60%まで到達しなければ残りの20%の行程は見えない事だってある.80%まで到達すれば,次の10%が見えてくるものだ.


このコラムは、2009年3月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第89号に掲載した記事です。

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眼力と手腕

 一流のデザイナーになるためには、一流のデザインを沢山見ること。一流のデザインを沢山見ていれば、一流の基準を自分の中に持つことができる。

お名前は失念したが、ある女流書家が「目より手が遅い」と言っておられた。
子供の頃から書道をやって来たので、良いお手本は山ほど見ている。しかし手本をまねようとする自分の手は、目ほどは速く熟練しない。いつも、自分には才能がないと思っていたそうだ。しかし、お手本と自分の書のギャップを埋めるために努力したから、今一流と呼ばれている。
お手本を持っていない人は、成長出来ない。

手本により「眼力」を養う。眼力によって認識する自己基準と現状ギャップを埋める努力により「手腕」を磨く事で成長出来る。

他人のデザインや、書を沢山見ていても、悪い点にばかり目が行く人は、評論家にはなれるかもしれないが、一流のデザイナーや書家にはなれない。一流になる人は、他人の作品に良い点を見出すことができる人だろう。

悪い点ばかり目につく人は「自己基準」を成長出来ないのだろう。

私の仕事も同様だと思う。
業種を越えて、色々な工場を見ている。製品設計エンジニアだった頃からいろいろな業種の工場現場を30年近く見て来た。そのため多くの引き出しが自分の中に蓄積出来た。これは自分で意図して作り上げたキャリアではない。たまたまそうなっただけだ。いつも思うが自分の人生は、本当についていると感じる。

普通に会社経営をしていると、こういう経験を積むのは難しいだろう。
しかし経営者には、沢山の従業員と接するチャンスがある。沢山の優秀な人間とそうでもない人間を見続けることができる。優秀・普通を分ける基準や、原因を多くの事例から抽出出来る。

人材育成に関して、実験と検証が出来るのは実際にたくさんの人を雇用して経営をしている人だ。

私は、独立して最初の顧客(台資企業)で1年半専属で仕事をした。
この期間に人材マネジメントの多くを学んだ。しかし台湾人から見ると、日本人は中国人の民族性を理解していない様に見えるらしく(笑)人事制度に関わる様な提案は、スルーされた。
それでも現場で、人材育成の方法について仮説検証を繰り返す事が出来た。

そうして出来た「基準」を元に、多くの経営者の考え方を聞いたり、手法を見るたびに基準が成長する。しかし目は肥えても、腕は肥えない(苦笑)実際に多くの従業員を雇用されている経営者の方が、仮説検証が出来、成果に結びつけることがしやすいはずだ。

そういう志の高い経営者の方々と、仕事で相互成長する機会がある。
お客様を支援することにより、お客様が経営者として成長する。その過程で自分自身も成長出来る。
本当に有り難い職業だと思っている。


このコラムは、2013年12月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第338号に掲載した記事です。

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本質を見抜く力

 最近電子書籍を読む事が多くなった。海外に住んでいると、日本語の書籍が読みたくなる。着るもの食べる物は中国製でもかまわないが、本だけは日本製でないと困る(笑)
海外でもアマゾンで日本の書籍を購入する事が可能だ。しかし書籍代より高い輸送料を支払わねばならず、躊躇してしまう。その点電子書籍ならば、注文後、即電子デバイスに届く。iPhoneで読めるのも好都合だ。

電子書籍を見ていると、従来の書籍出版社が提供する物と比較して、非常に安価なものがある。多分電子書籍専門の新興出版社なのだろう。

試しにこんな本を読んでみた。

「凡人を達人に変える77の心得」著者:野村克也

その中からこんな言葉を紹介したい。
「その分野の本質を知らない人間は大成できない」
高校野球で「本格派」と言われた投手が、プロに入って活躍出来ない例がままある。「本格派投手」とは、相手打者が直球に的を絞って狙っている所に直球を投じて打ち取る投手の事だ。いわゆる手も足も出ないと言う力量で、相手をねじ伏せることができるのが「本格派」だ。

高校野球とプロ野球のレベルが違う。高校野球の本格派が、プロで通用するとは限らない。

そこで「投手の本質」に気が付いた者がプロでも大成する。
投手の本質とは、豪速球で相手打者をねじ伏せる事ではない。相手チームからアウトをとる事だ。
つまり相手チームからアウトをとるために、豪速球に磨きをかける事は、投手の仕事を達成する一つの方法に過ぎない。

野球とは9人でやるスポーツであり、投手と打者の対決ではない。
「打たせて取る」事を考えれば、投手にとってコントロールが重要である事が分かるはずだ。この本質に気が付いた者がプロでも通用する力を手に入れることができる。

イチローも大リーグに移籍し、パワーヒッターとしては通用しない事を知るとすぐに内安打を量産する。これはイチローが、「ボールの芯をバットで捉える」と言う打者の本質を既に体得していたから、レベルの違うステージでも活躍出来たと言えるだろう。

私たちも「改善の本質」を見抜かなければならない。
改善は業績の向上のためにやる。これが本質だ。

業績を上げるために、生産効率を上げる。そのために、
同じ人数で沢山造れる様にする。
少ない人数で作れる様にする。
どちらの方法をとっても生産効率は上がる。

本質を見抜き、経営環境を理解すれば、どう改善すべきか分かるはずだ。

以前にもご紹介したが、完成品倉庫が狭いと言う問題を抱えている工場の本質問題は、出荷量より沢山造ってしまう事だ。ここに焦点を当てない限り、改善は望めない。


このコラムは、2013年8月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第323号に掲載した記事です。

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朋有り遠方より来たる,亦た楽しからずや

 突然の電話だった.
昔生産委託をしていた電源メーカの,技術担当副社長が電話をしてきた.4年ぶりの再会だ.

10年ほど前に,彼が生産委託先を退職すると聞いて,ウチに来ないかと誘った.その時彼はまだ40代半ばだったが,そろそろ後輩の育成をする年齢だからと,日本に来ることを断った.
その彼の言葉に影響を受け,後に私は独立し今の仕事を始めた.私の場合は彼とは逆に,中国人の若者を育てようと中国に来た.

4年前に会った時は台湾のコンピュータメーカのASUSに勤務していたが,今はASUSの子会社の経営をしている.しばしば中国工場に出張に来ていると言う.

人づてに私の電話番号を聞きだし電話をかけてきてくれた.
懐かしい話と共に,電源工場経営の苦労を語り合った.
一昔前とは経営環境がまるで変わってしまっている.人件費の高騰,作業員の採用難,などなど経営環境は逆風だ.しかも電源ユニットの市場価格は,どんどん低下している.しかし安全重要部品として,電源に対する品質,信頼性要求は緩まることは無い.

彼は18年間中国の工場経営をしている工場長を説き伏せて,70人あまりの生産ラインを30人弱にまで減らしたそうだ.しかも時間当たりの生産量は800台が450台.一人当たりの生産能力は,30%以上アップしている.彼も私と同じ考えにいたったようだ.

昔彼がいた生産委託先で,工程内不良率100ppm以下の量産ラインを構築したことがある.今は,多品種少量生産で,高品質,高効率,高フレキシビリティの生産ラインを立ち上げなければならない.

ここ数日,華南地方は冷え込んでいるが,彼が手土産に下げて来たウィスキーで暖かい夜が過ごせそうだ(笑)


このコラムは、2010年12月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第184号に掲載した記事です。

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思いを伝える力

 NHK大河ドラマ「龍馬伝」を,中国のインターネットサイトで一気に見た.元々NHK大河ドラマにはあまり興味が無く,記憶にあるのは「赤穂浪士」「太閤記」くらいだ.
子供のころは,日曜日の夜「シャボン玉ホリデー」「ポパイ」を見たら寝なければならなかったので,大河ドラマを見るようになって,少し大人になった様な気がしたものだ(笑)

坂本龍馬は,日本の大きな変化点で偉業を成し遂げた.
それは犬猿の仲であった薩摩と長州の同盟を実現させた.徳川家に大恩を感じている土佐藩主に,大政奉還の建白書を書かせた.

この偉業を成し遂げた力は,龍馬の「思いを伝える力」だった.

脱藩浪士で構成された組織・亀山社中,海援隊を統率したリーダーシップも「思いを伝える力」が源になっていたのだろう.

経営者も組織のリーダーとして,従業員に思いを伝えなければならない.
それが,経営理念であり,経営ビジョンである.そして中期経営計画,年度経営計画へとブレークダウンされる.

経営理念は,創業者が考えるモノ,社長が考えるモノ,などという遠慮は要らない.あなたも自分の組織のリーダとして,メンバーに思いを伝えよう.

ところで,今まで歴史小説にはあまり興味は無かったが,龍馬伝を見てから興味が沸いてきた.
友人に薦められた「小説・上杉鷹山」を,今読んでいる.
歴史小説ではあるが,ビジネス書として読んでも多くの啓発を得られる書だ.


このコラムは、2010年12月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第183号に掲載した記事です。

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抵抗勢力

 改革には抵抗勢力がつきものだ.
本当に切羽詰った状態に追い込まれないと,改革に対する不安が,期待より大きくなってしまう.

先週ご紹介した鄭社長は,改革に付いて来れない幹部を退職させている.長年自分を支えた,副総経理クラスの幹部も例外はなかったそうだ.改革に伴う最大の痛みだったと言っておられた.痛みを伴っても改革をしなければならないという強い信念があったからだろう.
我々のような,外部コンサルには出来ないことだ.

私はまず改善チームのメンバーを集め,改革後の夢を決めてもらっている.
「華南地区で日系顧客から検品免除をもらった家具メーカになる」とか「中国で一番生産効率の高い自動車部品工場になる」といった具合に,大きな目標を自分たちで決めてもらう.

人から与えられた目標ではなく,自分たちで決めた目標の方が達成に対するコミットメントが強くなるはずだ.

しかしここまでしても,実際の現場改善で「出来ない理由」をたくさん並べて腰が重くなってしまうことがままある.従来と違うことを始めようとすると,関連部署が各々に自分たちへの影響を恐れ出来ない理由が山ほど出てくる.当然変化をさせれば,色々な所で歪が発生する.歪が出ることは想定内だ.出てくる歪をその都度改善してゆくことにより,全体が改善される.

まずは初めの一歩を踏み出すことだ.

まずはやってみる.どうしてもだめなら元に戻す.元に戻しても改善を諦めなければ,必ず改善は出来る.

あのトヨタでさえ,「一個流し.不良が出たらラインを止める」という当事効率が悪いと思われていたモノ造りに挑戦し,何度か元に戻している.それでも諦めなかったから今のトヨタ生産方式が出来上がったのだ.

まずは現場のリーダに改善の勇気を持たせることが重要だ.


このコラムは、2010年12月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第185号に掲載した記事です。

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不可能がチャンス

 改善の指導をしていると,先方のリーダから「それはムリだ」「これこれの理由で出来ない」と言う反対意見が散々出る.

考えて欲しい,昔人類は馬のように早く走ることは不可能だと思っていた.しかし馬を飼いならし,馬に乗ることを覚えた.そして馬より早く走ることは不可能だと思った.しかし蒸気機関を発明し,自動車を発明した.
今道がなければ,自動車は走れないと思っている.しかしその内道がなくても自由に移動することが出来るモノを発明するだろう.

つまり人類の歴史は,不可能を可能にしてきた歴史だ.

「不可能な事」などこの世の中にはない.ただ「不可能だと思っている事」があるだけだ.

皆が不可能だと思っていることを可能にすれば,革命になる.
そんなに難しいことではない.不可能だと思っていることも,業界が変われば常識だったりする.

作業員が集まらない,生産が出来ないと嘆くことはない.少ない人数で生産する方法を考えれば良いのだ.設備投資をする余裕が無い,工場が狭いなど制約条件が多ければ多いほど,チャンスが大きい.

絶対に不可能だと思っていることは,今までの方法で出来ないだけだ.
ならば方法を変えれば良いだけだ.失敗を恐れることはない,失敗を繰り返せばそれだけ成功は近づく.
不可能を可能にする信念と,失敗を恐れない心があれば必ずうまく行く.


このコラムは、2011年1月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第第189号に掲載した記事に修正・加筆しました。

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ハードパワーとソフトパワー

 中国の拡大政策が止まらない。『一路一帯』と称してアジアから欧州まで、アフリカ大陸、ニュージーランド、北極圏まで手を伸ばしている。それらの国々は中国からの資金に期待しているように見える。しかし借入金を返済できなければ、領土を取られる。チベット、香港の人々は相当抑圧されているように見える。

一方で、日本は米国に原子力爆弾を投下され国中を焦土にされ占領された。
しかし現代の日本国民の大方は「鬼畜米英」などとはいわない。むしろ米英に親近感さえ抱いている。この違いはどこから来るのだろうか。

少年期を「ALWAYS三丁目の夕日」の時代で過ごし、高度成長とともに成長した世代の私にとって、アメリカは憧れだった。「名犬リンチンチン」「名犬ラッシー」「ライフルマン」「ザ・ルーシー・ショウ」「パパは何でも知っている」などのテレビドラマが世界に開いた窓だった。

今思えば占領国である米国は、それらTVドラマのソフトパワーで戦後の新世代を「洗脳」し親米国家を育て上げた。さらに占領軍が派遣したデミング博士の教えにより、日本は米国と比肩しうる工業国家に成長した。

その後もロカビリー、ポップス、映画などのソフトパワーで親米日本人を育成し続けている。

70年安保の頃、毛沢東語録を胸のポケットに持った学生が多くいた。しかし中共も毛沢東も日本人に何ら夢を与えなかった。夢を失った革命闘士は内ゲバに走り、自ら消滅していった。

第二次世界大戦後の覇権国家・米国はソフトパワーで世界を制し、その後中国が、金と軍事力のハードパワーで世界覇権を狙っているように思える。

2500年前中国は老子、孔子などの偉大な思想家を持つソフトパワー国家だった。
残念ながらそのソフトパワーは引き継がれていないようだ。
孔子は政治家を「ああそうひとなんかぞうるにらんや。」と嘆いている。(《論語》子路編第十三-20

孔子には現在の中国が見えていたのだろうか。


このコラムは、2019年11月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第906号に掲載した記事を改題・加筆しました。

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行政文書流出

 神奈川県庁のサーバーから取り外されたハードディスク(HDD)がネットオークションを通じて転売され、大量の行政文書が流出した問題で、神奈川県は6日、「データ消去やHDDの廃棄を請け負った企業の社員が18個転売していた」と明らかにした。うち9個は回収済みだが、9個は行方がわからず回収できていない。

(朝日新聞より)

 3TBのHDD18個で1800万件の納税情報になるという。9個のHDDは回収済みなので、900万件の納税情報が行方不明となっている。

報道によると、神奈川県庁のサーバーをリース会社に返却。県庁はリース会社にHDDのデータを復元不可能な状態とすることを契約条項に入れていた。リース会社は、廃棄処理会社にHDDのデータ完全消去(データを完全消去するか、HDDを物理的に破壊)するよう指示。廃棄処理会社の従業員が、HDD18個をネットオークションで転売。

実行犯である従業員はHDD内のデータが何であるか、完全消去が契約条件であることを知らなければ、横領の罪にしかならないだろう。

廃棄処理会社は、HDDを完全消去しなければならないこと、消去作業の完了・未完了を現物に表示しておかねば「事故」が起こることを予測できたはずだ。当然データ流出の責任を問われるだろう。

しかしデータの守秘義務は県庁にあるはずだ。サーバ返却時にリース会社との契約にデータを復元不可能な状態とすることを入れておいても免責となるわけではないと思う。

HDDの再フォーマットは時間はかかるが、手間はかからない。
県庁はHDD再フォーマット後にリース会社に返却すべきだったのではないだろうか。


このコラムは、2019年12月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第913号に掲載した記事に加筆修正しました。

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