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現場伝達ミスで放水5分遅れ 東京消防庁

 東京都北区で3月、住宅など4棟が焼けて女性が焼死した火災で、東京消防庁が現場を間違え、最初に出動した隊の放水開始が5分遅れていたことがわかった。担当消防署の幹部が今月17日、女性の遺族を訪ねてミスを謝罪した。同庁は近く経緯を発表する。

 ■先月の北区火災、100メートル離れた消火栓に到着

 東京消防庁の説明では、火災の通報があったのは3月23日午後1時16分ごろ。王子消防署東十条出張所から約20メートルの距離にある女性(86)宅から煙が出ているのを、近くの住民が気づいて出張所に駆け込んだ。

 50代の男性消防士長が直接、女性宅に行って番地を確認。出動は本庁が指示する仕組みのため、通信担当の20代の男性消防士に本庁へ電話連絡するよう指示。この消防士が誤った番地を本庁に伝えた。

 本庁からの誤った指示を元に最初に出動した消防車は女性宅から約100メートル離れた消火栓に到着し、同1時半に放水開始。規則で使うよう定められている火元に最も近い消火栓は女性宅から約40メートルにあり、ミスがなければ同25分には放水を始められたという。

 後発の消防車が同28分に放水を開始しており、同庁は3月下旬の検証で、先発隊の到着遅れと女性の焼死との因果関係はないと判断した。一方、消防士長が通報を記録していなかった内規違反を確認したという。

 火災で木造2階建ての女性宅約110平方メートルは全焼し、女性が焼死。火は隣接の建物にも燃え移り、住宅1棟が全焼し、マンション2棟の外壁などが焼けた。同庁警防部は「伝達ミスで出動場所を間違うのは管内では前例がない。都民に心からおわびし、再発防止に努める」と説明している。

 全国の消防では救急車が現場を間違えるミスが相次いだため、総務省消防庁が昨年12月、通報内容を複数で確認するなど再発防止策をとるよう都道府県に求めていた。

(朝日新聞電子版より)

 この記事の続報は見当たらない。東京消防庁は既に詳しい経緯を発表したのか不明だ。

この記事だけで判断すると、消防署の目の前で火災が発生。消防士長が現場を確認。20代の消防士に本庁に伝える様に指示。20代消防士は、誤った住所を本庁に電話連絡。本庁から誤った住所に出動命令が下され、消防隊は誤った場所に出動。

新聞記事には「伝達ミス」とあるが、あなたはどのようにお考えだろうか?

伝達ミスが発生する可能性は、以下のケースとなる。

  • 本庁が消防署に誤った住所で出動命令を出した。
  • 20代消防士は正しく伝えたが、本庁職員が住所を聞き違えた。
  • 20代消防士は正しく聞き取ったが、本庁に誤った住所を伝えた。
  • 消防士長は正しく伝えたが、20代消防士が住所を聞き違えた。
  • 消防士長が誤った住所を20代消防士に伝えた。
  • 消防士長が住所を誤認識した。

本庁で情報を受け取った職員と、出動命令を出した職員が別ならば、更にミスの可能性は増える。

この手の問題を「伝達ミス」と片付けてしまうと、再発防止は難しくなる。なぜ「伝達ミス」が発生したのか?と更に原因追及を深めなければならない。

そうすれば、消防署の目の前で火災が発生しているのに、わざわざ本庁に連絡し本庁からの出動命令がなければ消防隊が出動出来ないと言う、硬直した規則に問題が有ると気が付くはずだ。

消防車や救急車の出動は一刻を争うモノだ、いい加減な情報で間違った場所に出動してしまうと取り返しがつかなくなる可能性が高い。しかし「複数で確認」などと管理を増やしてしまうと、迅速性が損なわれる。

あなたの工場では、同じ様な事が行われていないだろうか?
一度全体を見渡すと良かろう。


このコラムは、2014年4月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第359号に掲載した記事です。

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失敗する人が成功する

 以前何度か、成功の反対は失敗ではない、という趣旨のコラムをメルマガに書いた。

成功の反対語は何?
続・成功の反対語

成功の反対語は失敗ではなく、むしろ失敗は成功の秘訣だと思う。
優秀な経営者の失敗例を見てみよう。

  • スティーブ・ジョブズ(Apple)
    LisaやNewtonの開発などの失敗例は多くあるが、ジョブズの最大の失敗は自ら招聘したジョン・スカリーにApple社を追い出されたことだろう。
  • ビル・ゲイツ(Microsoft)
    マイクロソフトの最大の失敗はモバイルOSの覇権争いに敗れたことだろう。
  • マーク・ザッカーバーグ(Facebook)
    彼は「長年にわたり、私は皆さんが想像できる限りほぼすべての失敗を経験してきた。多くの技術的なミスや割に合わない取り引きをした。信用すべきでない人たちを信用し、才能ある人たちをふさわしくないポストに就けた。重要なトレンドを見落としたり、乗り遅れたりすることもあった。相次いで製品を送り出しては、失敗を重ねた」と言っている。
  • ジェフ・ベゾス(Amazon)
    彼はイーベイのオークションビジネスを真似しようとして見事に失敗。Amazonのプラットホームを他社に貸し出すサービスを始めて失敗している。

 優秀な経営者ほどたくさん失敗しているのではなかろうか。失敗経験がカンを育てる。それが成功につながる。

スティーブ・ジョブズはAppleを追い出されたおかげで、ピクサーを起業し、Appleに復帰後iPhoneを世に送り出している。
ビル・ゲイツはモバイルOSは取れなかったが、マイクロソフト帝国は健在だ。
マーク・ザッカーバーグのFacebookはアクティブユーザが20億人、売り上げ1兆円規模。Facebookは世界一の人口を有し、FacebookよりGDPが小さい国はいくらでもある。
ジェフ・ベゾスの失敗は、アマゾンマーケットプレイスとしてリベンジした。

失敗をしない経営者は成長しない。失敗しないように消極策ばかり選ぶので成長しない。


このコラムは、2020年7月22日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1009号の編集後記に掲載した記事です。

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不審物は「見る・かぐ・問う」 北京のバスに警戒要員

 【北京=坂尻信義】 北京では路線バスを標的としたテロを警戒し、8月1日からバス会社が特別要員を車内やバス停に配置、乗車拒否も辞さない姿勢で臨む。

 北京公共交通グループの馮幸福副総経理が中国メディアに明らかにしたところでは、訓練した乗務員5千~7千人に携帯型の安全検査器を持たせて警戒させる。ただ、乗客の手荷物を強引に検査する権限がないため、「一に見る。二にかぐ。三に問う」の構えで警戒にあたらせる。

(asahi.comより)

北京だけではなく深センでも安全強化が進んでいる。
香港がオリンピック馬術会場となっているため、テロ警戒が必要なのだろう。

しばしば利用する深セン羅湖のバスターミナルにも新たにX線検査装置が追加され、バス利用者の荷物を検査している。

今までは二階にある切符売り場からエスカレータを降りたところに1台だけX線検査装置が設置されており、時々気が向くと検査、という状況であった。このエスカレータ以外にもバスターミナルに入る事が可能であり「ザル状態」であった。

最近は厳格に検査をし始めている。地方に向かう乗客などは大きな荷物を二つも三つも持っており、大変な混雑である。
今のところエスカレータを下りたところのX線検査はそれほど人が並んでおらず、一度2階に上がってからバスターミナルに入るのがすばやく荷物検査をクリアする「裏技」である。

しかしエスカレータを降りてすぐの場所にX線検査装置が設置されており、この「裏技」を多くの人が気が付いてしまうと危険なことになる。検査待ちの人の列がエスカレータまで伸びてしまうと、上から降りてくる人たちが将棋倒しになりかねない。

安全強化がアダにならない事を祈るばかりである。


このコラムは、2008年8月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第45号に掲載した記事です。

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那覇空港ヒヤリハット事故

 先週のニュースからで、自衛隊ヘリ、日本トランスオーシャン航空機、全日空機、のヒヤリハット事故を紹介した。
続報によると、
全日空機に対する管制官の「速やかに離陸せよ」と言う指示を、自衛隊副操縦士が自分への指示と勘違いした。
管制塔との通信の間に機長は、乗組員への指示や機内の点検にあたっていた。
そのため副操縦士の勘違いに、機長も気が付かなかった。
その結果離陸助走中の全日空機の前を横切ってしまった。
と言う顛末の様だ。

続報で新たに分かったのは、自衛隊のCH47ヘリは、操縦席から後方確認がしづらい構造になっていると言うことだ。

自衛隊那覇基地の幹部は、11日に記者会見で経緯を説明し再発防止対策を発表している。

各紙の報道によると、その再発防止対策は
朝日新聞

  • 乗組員への指示と管制のやりとりを同時に行わない
  • 離陸前に後方の安全を確認するために機首を向ける
  • 管制の指示の確実な聞き取り

日本経済新聞

  • パイロットが管制官の指示を確実に聞き取る
  • 離陸時には他機の状況を把握する

読売新聞

  • 重要な交信などを決して聞き逃すことがないよう運用を見直した

毎日新聞

  • 飛行量の多い那覇空港などについては、飛行前の点検などで機内のクルー間のやりとりが終了した後に、管制に離陸許可を得るよう運航手順を見直した

同じ記者会見からこうも幅のある記事が出て来るとは(苦笑)
取材記者の問題意識と理解度により同じ再発防止でも違う内容に理解される。

朝日新聞の「管制の指示の確実な聞き取り」日経新聞の「パイロットが管制官の指示を確実に聞き取る」これらは対策とは言わない。どうすれば「確実な聞き取り」となるのかもっと踏み込まねばならない。

読売新聞の記事では、運用をどう見直したか不明だ。毎日新聞の記事を読んで初めてどう運用を見直したかが判明した。

今回のヒヤリハットの原因は、

  1. 管制官の離陸許可を聞き間違えた。
  2. 離陸助走中のANA機を見落としていた。

の2点だと思う。これを更に真因まで原因分析を深める。

1.に関して、

出発前の準備完了後管制塔とのコミュニケーションをすると言う再発防止対策は、流出防止対策だ。
機長が出発前の確認、乗務員への指示に忙しく、ダブルチェック出来なかった、と言う「流出原因」の防止対策でしかない。
本来、なぜ他機に対する離陸許可を自機のモノと勘違いしたか?と言う原因を追求しなければならない。
記事には公開されていないが、管制官の指示「ANA○○便、速やかに離陸せよ」の前半がなければ、勘違いしてもムリはない。また管制官は、自衛隊機の復唱を聞いていないと言っているが、なぜ聞こえなかったのか?この原因を追及しなければ、形を変えて事故が発生する。
また「飛行量の多い那覇空港では」と再発防止対策に曖昧な制限を付けると、潜在要因に対する「未然防止対策」とはならない。

2.に関して、

自衛隊のヘリコプターは、昔の黒電話の受話器様な形をしており、操縦席から後方確認が出来ないのは、素人目にも理解出来る。そして災害救出の為に出動する自衛隊のヘリコプターは、管制設備が整った飛行場以外でも離着陸をしているはずだ。離陸時に一気に上昇しないで、ホバリングで前後左右を確認した後に上昇すると言うのは常識のはずだ。
何かまだ隠れている原因が有るはずだ。

大事故と言うのは、水面に浮かぶ氷山と同じだ。
大事故として見えているのは水面上の部分だけであり、水面下には大事故の何倍ものヒヤリハットが有る。
原因も水面下の氷と同じく、表面には見えていない。原因究明を表面的にやって、対策をしても水面上の氷は以前として存在し、また浮上して来る(事故は再発する)


このコラムは、2015年6月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第428号に掲載した記事に追記しました。

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タカタ、納入価格の引き下げ見送り要請 車各社に

 エアバッグの品質問題を抱えるタカタが、製品納入先であるホンダ、トヨタ自動車などの完成車メーカーに価格引き下げを見送るよう要請したことが分かった。年間で100億円規模の収益改善効果を見込み、リコール(回収・無償
修理)拡大による損失を一部穴埋めできるとみている。各社が応じれば取引先による本格的なタカタ支援の第1弾となる。

全文はこちら

(日本経済新聞電子版より)

リコールの対象となっているタカタのエアバッグは、作動時に異常に強い爆発が起きることで内部の金属片が飛散。運転手らを死傷させる事故が発生した。

この問題が、ここまで長期化し、リコール対象が拡大している原因は、異常爆発が起きる原因を特定で来ていないからだ。

ガス発生剤の「硝酸アンモニウム」が湿気に弱いようだ、と言う曖昧な推測が提示されているだけで、真因が分かっていない。少なくとも公表されていない。

硝酸アンモニウム+湿気が原因と推定したのならば、それを確認する実証実験をすれば良いはずだ。既に実証実験が済んでおり、硝酸アンモニウムの吸湿が原因ではないと特定出来ているのであれば、実験結果とともに公表すべきだ。
それがないから、リコール交換品にまで不安が発生する。

原因究明に一生懸命頑張っておられるであろうタカタのエンジニアの方々には敬意を表したい。しかし失礼を承知で、あえてネガティブな想像を申し上げる。これはタカタを非難するのが目的ではなく、貴重な経験として共有したいと考えている。製造業に携わっている方々も同様なリスクを背負っているはずだ。

第一:真実を隠さないこと。

リコール問題が発生し、真実を隠し通せたことはない。異常爆発のメカニズムを判明したが、これを公表すると更に自社に取って不利益となる、などの理由で秘匿しても絶対にうまくいかない。一時的に隠せても、必ずその報いは来る。

第二:全社を挙げて自主的に関わること。

タカタは異業種からシートベルトで自動車部品業界に参入している。シートベルトは自社技術が応用出来る商品だ。しかしエアバックは、新規技術が必要となる。新聞記事によると、完成車メーカからの強い要請が有り、自動車部品業界に参入したそうだ。これをイクスキューズとしてはならない。商品化したからには、自社に責任がある。購入原材料に関しても同じだ。

第三:新規、珍奇は慎重に評価すること。

ガス発生剤に硝酸アンモニウムを使っている大手エアバッグメーカーはタカタだけという。他社が使っていない優れた物を採用すれば、それが優位性を確保する要因になる。しかし同時に技術的な問題、調達性の問題が発生するリスクが存在していることを認識しなければならない。


このコラムは、2015年7月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第432号に掲載した記事です。

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京急脱線事故

 9月5日横浜市神奈川区の踏切内で京急電鉄の電車とトラックが衝突、死者1名、重軽傷30名の大事故が発生した。

本日は踏切事故の未然防止について考えてみたい。

事故を起こした13tトラックは道に迷っていたようで、狭い道から踏切に入るために3分以上も切り返しをし、踏切に入った途端に遮断機が降りてしまったようだ。

列車運転士は直前の赤信号を視認。ブレーキをかけたが間に合わなかった。

踏切事故を防ぐ最善の対策は、踏切をなくすことだ。しかしコストも時間も必要だ。日経新聞の記事には、踏切を立体交差にするには約9年、40億円かかるとあった。現場の航空写真を見ると、踏切をなくし列車を高架上を通すのは現実的ではなさそうだ。

踏切の非常ボタンを押せばATS(自動列車停止装置)が働き列車は非常停止するはずだ。しかし昼近くの住宅街だ。踏切の付近に人がいるとは限らない。

列車が自動で停止する仕組みを考えなければならない。

監視カメラで踏切内に障害物を検出したらATSが起動する仕組みであれば、ほとんどコストをかけずに対策できるのではなかろうか?
人の命は金には換えられない。しかし1箇所で40億ものコストをかけたのでは会社そのものが存続できないかもしれない。現実的な対策を考えなければ意味はない。


このコラムは、2019年9月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第874号に掲載した記事です。

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救命胴衣着てエア遊具、危険

東京都練馬区の遊園地「としまえん」のプールで昨年8月、ライフジャケットを着た8歳の女児が水面に浮かべた遊具の下で溺れて死亡した事故を受けて、ライフジャケット着用時の遊具のリスクを調べていた消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は19日、転落状況によっては体が真上に浮上せず、遊具の下に潜り込んで自力脱出できなくなる危険があるとする報告書をまとめた。

(全文)

(朝日新聞電子版)

昨年8月15日に発生した豊島園プールでの女児死亡事故の続報だ。

(注)エア遊具とはとは子供を対象とした、空気で膨らませた大型遊具の総称。本事例ではプールなどの水面に浮かべその上で遊ぶ大型遊具のこと。

この記事は消費者安全委員会が6月19日に発表したとしまえんプールで発生した8歳女児の溺死事故調査報告が元になっている。女児はライフジャケットを着用、プール水面に設置されたエア遊具から転落。エア遊具の下に潜り込んでしまい、ライフジャケットの浮力でエア遊具底面に押しけられ、脱出できず溺死している。

消費者安全調査委員会報告書

事故原因を特定し、再発防止を提案するための調査・再現実験を含む報告書だ。
事故発生から10ヶ月かかっている。公共性の高い報告書だ。何層もの上位者の査読・修正指示があったことは想像にかたくない。としまえんプールでの事故後、同業施設では自主的に再発防止が取られていたと思う。幸い事故後同類の事故はなかったようだが、もう少し早く報告書が公開されても良いのではないかと思う。

死亡事故といえば、我々製造業にとっては「重大不適合」である。再発防止対策を含む原因調査報告書は1週間以内に提出されねばならないだろう。少なくとも即日再検査などの暫定処置を取らねばならない。

ISO/IECガイド51「安全側面-規格への導入指針」では、リスクア セスメントによりリスクを明らかにし、以下の優先順位に基づきリスク低減を行うことを、リスク低減の 基本原則としている。

  1. 設計における本質的安全設計方策(危険源の除去等)
  2. 設計における安全防護及び付加保護方策(ガードの設置等)
  3. 設計における使用上の情報(警告の表示等)
  4. 使用における各種保護方策(監視、保護具の使用、訓練等)

この指針は製品安全の大元締めとなる規格だ。
製品ばかりではなく、オフィス・工場の安全に適用すれば以下のようになる。

  1. 作業方法・工程設計、製品設計時点で安全阻害要因を除去する。
  2. 作業方法・工程設計、製品設計時点で安全阻害要因を緩和する。
  3. 作業方法・工程設計、製品設計時点で安全阻害要因を可視化する。
  4. 作業従事者に注意喚起・教育訓練する。

より上位の対策が有効度は高くなる。


このコラムは、2020年6月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第997号に掲載した記事です。

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子供の遊具事故

 15日午後2時10分ごろ、東京都練馬区向山3丁目の遊園地「としまえん」にあるプールで、水面に浮かべられた遊具の下の水中に女児がいるのを監視員が見つけた。女児は病院に搬送されたが、午後4時ごろ死亡が確認された。
警視庁は女児がおぼれたとみて、詳しい経緯を調べている。

 全文

(朝日新聞ディジタルより)

 夏休みに家族でプールに来ていたのだろう。父親が娘がいないことに気づき監視員に通報している。その時には発見できず、1時間後の一斉点検時に心肺停止状態で発見されている。通報時に全員プールから上げて探していれば、と思ってしまう。幼い子供を亡くした家族のことを思うと心が痛む。

この様な事故を防ぐために、ライフジャケットなど安全用具はどうあるべきかなどの議論がされている。しかしプールに浮かべられた遊具の下に潜り込んでしまえばどんなライフジャケットを装着しても助からなかっただろう。

もっと根本から考えなければならない。

私が少年だった頃は、外遊びで怪我をした。しかし命に関わる様な危険な目にあったことはない。豊島園ではないが、都営プールで溺れかかったこともある。大人用の競泳プールだ。小学生だった私の身長より水深の方が深かった。足がつかなくてもがいている私を、隣にいた大人がひょいと持ち上げてくれた。

当時と比べれば今の方が確実に危険度が増している様に思う。
公園には鉄棒とブランコぐらいしかなかった。プールはただ「プール」だった。遊具はせいぜいが浮き輪だ。

当時の子供たちは、広場で夕日に向かってただ走るだけで楽しかった。ビー玉やメンコで駆け引きを学んだ(笑)当然子供の遊びは子供だけだ。親の監視など考えられなかった。

親や多くの大人の目があっても事故が起きてしまう。生活の水準は上がっても子供の安全は下がってしまったのではなかろうか?

一度あらゆる子供の遊具をリセットしてはどうだろう。過去に何度も子供の遊具事故が発生している。

「スピード出すぎる滑り台」
(こちらの遊具は大人が怪我をしている)

今の子供たちはゲームなどの仮想世界での刺激が強すぎて、メンコやビー玉で遊ぶ楽しさが理解できないのだろうか?そういう刺激を与え続けているのは大人自身だということを考えるべきだ。


このコラムは、2019年8月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第865号に掲載した記事です。

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ポカ避け

東北新幹線ドア、280キロ走行中開く ドアコック戻し忘れ

 21日午前10時17分ごろ、東北新幹線仙台発東京行き「はやぶさ46号」(10両編成)が仙台―白石蔵王駅間を時速約280キロで走行中、運転台に9号車のドアが開いたことを知らせる警告表示が出たため、緊急停止した。
車掌が確認したところ、ドアがほぼ全開となっていた。非常時に手動でドアを開けるための「ドアコック」のレバーが引いた状態になっていたという。けが人はいなかった。

 ドアコックはドアの上部に設置され、ふたを開いて内部のレバーを引くとドアを手動で開閉できる。非常時のほか、清掃の際にも利用されている。JR東日本がデッキにある防犯カメラの映像を確認したところ、仙台駅を出発する前の車内清掃で作業員がホームとは反対側のドアコックのレバーを引いたが、ドアを開けずにレバーも戻し忘れていた。出発前の最終チェックでも見落とされたという。

(朝日新聞ディジタルより)

 時速280キロで走行中の列車の扉が開けば相当の恐怖だろう。扉近辺に人が立っていれば、風圧で転落事故が発生したかもしれない。

清掃作業員がドアコックレバーを戻し忘れたという、典型的な人為ミスだ。

JRは「はやぶさ46号はE5系の10両編成。JR東の最新車両E7系はコックのふたが開けば通知するシステムがあるがE5系にはないことも、盲点になった。今後、改修する方針」と発表している。

しかしコックレバーのふたが開いているのが検知できていても、今回の事故が防げたのだろうか?「コックレバーを戻し忘れた」と記事にあるが、フタが開いていた、とは書いてない。

列車内のコックレバーふたにセンサーを付けて新たな配線工事をする。費用も時間もかかるだろう。もっと簡単に「ポカ避け」の方法を考えた方がよかろう。

コックレバーが引かれていてもフタが閉まっていれば、外から確認できない。コックレバーを改造してとフタと干渉するようにする。コックレバーが引かれている状態(手で扉が開けられる状態)の時はフタが閉まらないようにする。この改造により、コックレバーのふたが開いていれば一目でわかるはずだ。

清掃作業員は清掃終了後必ずコックレバーのふたを確認する、自分が作業した車両以外から下車する。こうすればコックレバー閉め忘れをダブルチェック出来るはずだ。

このようなポカ避けの仕組みは、コピー機に応用されている。紙詰まり修復作業後レバーをすべて元の位置に戻さないと扉が閉まらないようになっている。他社事例は改善案、再発防止案の宝庫だ。

■■ 編集後記 ■■

日本の新幹線の清掃作業員の質の高さ、礼儀正しさを中国の乗務員と比較して中国の列車に乗るたびにがっかりしています。
今回の事故は、短時間で完璧な清掃を目指している彼らだけの責任ではないと思っています。人の注意力や努力によらず、仕組みから変えるのが本当の改善です。


このコラムは、2019年8月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第868号に掲載した記事です。

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英ヴァージンの宇宙船墜落、1人死亡 米で試験飛行中

 英ヴァージングループの宇宙旅行会社ヴァージンギャラクティックの宇宙船が10月31日、試験飛行中に米カリフォルニア州のモハーベ砂漠に墜落した。テストパイロットの1人が死亡、1人が重体となった。事故の原因は不明。米国では宇宙関連の事故が1週間で2件起きた形で、安全性への懸念が高まっている。宇宙旅行ビジネスの先行きに暗雲が漂い始めた。

全文はこちら

(日本経済新聞電子版より)

 米露冷戦時代に国家の威信をかけて宇宙開発を行って来た。そのため十分な予算が配分されていた。しかし宇宙ビジネスが民間ベンチャー主体となり、コストと安全の両立が困難になって来た、そんな論調の記事が目につく。

直前に、米オービタル・サイエンシズ社のロケットが爆発事故を起こしている。オービタル社は国際宇宙ステーションに物資を輸送するビジネスを請け負っており、約2千億円で8回の輸送を行う受注をしていた。
従って1回の打ち上げを、総経費250億円以下でまかなわねば、経営は赤字となる。当然コストダウンをすることになるが、安全とコストがトレードオフになる様なコストダウンは有ってはならない。

ギャラクティック社の場合は、まだ「開発要素」が相当残っているはずだ。事故機は、新燃料の試験をしていたと言う。当然検証・実験実証の上での実地実正だったと思うが、コスト優先で、十分な検証・実証をせずに打ち上げ確認などしてはならない。
例えば、運用コストを減らすために完璧に引力圏から離脱するのではなく、弾道落下の放物線を描きながら、無重力を短時間味わってもらう。これで宇宙旅行客の満足が得られるのであれば、このコストダウンは問題ない。むしろ、安全の余裕度が増えるかもしれない。2泊3日の宇宙旅行ならば20億円、日帰りならば2,000万円と言うのはあり得る。

日経の記事によると、民間航空機での重大事故は平均で数百万回に1回だが、有人宇宙飛行では数十回に1回のレベルで宇宙飛行士が死亡しているそうだ。

事故の回数だけでなく、損失/回数と言うリスク関数を考えると、旅客機の事故は1回の事故で100人単位の死者が出る。1/数万回のリスクだ。一方有人宇宙飛行の場合は、一回の事故で1、2人の死者なので、1/数十回となり、桁違いに大きなリスクを持っていることになる。宇宙旅行ならば、乗務員を合わせて10人程度となり、リスクは更に一桁上がる。

民間旅客機並みのリスクを実現するためには、事故回数は数十万回に1回程度でなくてはならない。現状を数万倍改善しなければならない。まだ宇宙旅行を産業にするためには時間が必要だ。

ギャラクティック社のCEOは、記者会見で「宇宙は厳しい。だが前に進むしかない」と語っている。新しい時代を迎えるためには、誰かが相当の覚悟を決める必要がある。

宇宙航空産業などと言う壮大な未来は、私には無縁だが、自分なりに覚悟を決めて日々仕事をして行きたい。


このコラムは、2014年11月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第396号に掲載した記事です。

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