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人は本質的に怠惰か?

米国イリノイ州で発生した竜巻がアマゾンの倉庫を直撃し、従業員6人が死亡したというニュースが出ていた。

 「竜巻直撃のアマゾン倉庫、「命より生産性優先」と遺族が批判」

この記事では従業員はトイレに避難していたという。物流倉庫なので柱を使わない壁構造になっていたのだろう。トイレのエリアは壁で囲まれているので、天井崩落のリスクが小さと判断するのは合理的だ。しかしトイレに避難した従業員から死者が出ている。よぼど激しい竜巻だったと思われる。

しかし別の記事を読むと異なる疑惑が出てくる(疑惑というのは大袈裟かも知れないが)

「竜巻で物流倉庫の従業員少なくとも6人が死亡… 米アマゾン従業員、携帯電話の持ち込み禁止ルールを改めて批判」

1本目の記事と矛盾する(1本目の記事には、心配した母親がAmazonに勤務する息子に電話をかけている)が、Amazonでは、作業員は職場に携帯電話を持ち込んではいけないルールとなっているようだ。

20年ほど前、まだ中国の工場が人海戦術生産だった頃、携帯電話を持っている作業員はいなかった。
10年前、生産ラインで班長を探していると作業員が携帯で班長を呼び出してくれた。時代の変化を感じたものだ。その後作業員に携帯電話の職場持ち込みを制限した工場が多くあった。

Amaonほどの企業がいまだに職場への携帯電話の持ち込みを禁じているとは、驚きだ。なぜその様なルールを作っているか↓
「米アマゾンが倉庫従業員の行動を追跡するのは「人は本質的に怠惰」だから」

「人は本質的に怠惰である」というのは多分正しいだろう。だから改善をし、楽に仕事をする工夫が生まれる。「禁止」は最も安直であり、逆効果を生む管理方法だ。この様な管理方法では、職場の信頼関係、協力関係は生まれないだろう。

管理者が従業員を信じて用いれば、従業員は管理者を信じて頼る。
私はこれを「信用と信頼の法則」と言っている。


このコラムは、2021年12月22日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1231号に掲載した記事です。

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不良の波及範囲特定

 不良が発生した場合その波及範囲をいかにびしっと特定するかが大切である。
波及範囲があいまいであると、処置をする範囲が拡大してしまい、不良損失が増大する。
製造のトレーサビリティをきちんと取っておく事が、波及範囲の特定に役立つ。

トレーサビリティの精度は、万が一不良が発生したときの影響度にあわせれば良いだろう。例えばRoHS規制にかかわるような問題は、不良の影響度はかなり大きくなる。万が一の事があれば出荷済品の回収が必要である。
RoHS禁止物質が混入する可能性のある部材に関しては、メーカまでさかのぼってトレーサビリティを確保しておかなければならない。

以前指導していた工場でシリアル番号のバーコードラベルに重複が見つかった。
製造部は重複しているラベルはすべて発見・隔離したといっているが何も根拠がない。

そこでシリアル番号が重複した原因から調査をした。
ラベルプリンタでバーコードラベルを印刷する時に、ラベル用紙の位置出しをするために試し印字をする。試し印字をしたラベルが正規のラベルに混入したと判明。

ラベルプリンタのインクシートを全部巻き戻して印字の記録を調べ、重複番号をすべて洗い出した。(熱転写型のプリンタなので、インクシートを調べると印字内容が白黒反転して見える)
これで波及範囲はすべて特定でき、該当する番号のラベルを全部工程から回収する事が出来た。

これ以降はラベル印刷作業者は試し印字の記録をとることとなった。
しかしこの不良発生により試し印字のムダが発生している事が判明。
更に対策として、一発位置あわせが出来るようにプリンタに工夫することになった。不具合対策がコストダウンにもつながった例である。


このコラムは、2008年10月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第55号に掲載した記事です。

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品質より優先するモノ

 品質より優先すべきモノは何か?と言う問いがあったとすると、あなたはどう答えるだろうか?

多分このメールマガジンの読者様は「安全」と答えるだろう。
どういう答えが正解だと言う事は無いかもしれない。しかし日本人の経営者の内大部分は、品質より優先すべきモノがあるとすれば、それは安全だと答えるのではないだろうか。

製品を購入してくださったお客様の安全、自社従業員の安全を無視して企業が成り立つはずは無い。私も、優先順位は安全、品質、効率の順番だと考えている。

しかし今まで付合って来た中華系の経営者と話をしていると、微妙に違う事がある。日系企業に勤務し、そこから独立した中華系経営者ならば「品質第一」「顧客第一」と答えるかもしれない。

ある台湾人経営者は、顧客の信頼がまず大事だと言う。
自社の中国工場に生産能力に余裕があるのに、すぐそばに新工場を建設した。しかもすごく立派な外観の工場を建ててしまった。
新規受注の当てがあるの?と聞くと「当ては無いが、工場が立派でなければ顧客が信用してくれない」と言う。

高品質や納期遵守で実績を築けば顧客から信頼を得られる、と私は考えていた。しかし台湾人経営者の言う様に、受注しなければ実績は築けない。「見かけ」が第一なのかもしれない。

先日会った香港人経営者は、生産能力が第一だと言う。
顧客が必要とする物量を生産できなければ、受注はできない。品質は後から改善すれば良い、と考えているようだ。

それぞれに道理はあるのだろうが、私から見れば原因と結果が入れ替わっている様に見える。

本当に優秀なバイヤーは工場建屋の見かけではなく、生産現場の実質を重視する。もちろん財務体質が弱く、供給ができなくなるようでは困る。大量受注があれば、材料を発注しなければならない。資金を回収できるのは材料調達、加工が終わってからだ。しかし財務体質を確認するのに、工場の外観を見る者はいないだろう。

顧客が要求する物を作れる、と言うのは最低条件だ。生産量に関しては、稼働率に余裕さえあれば、何とかなるはずだ。稼働率がいっぱいでも、スペースがあれば短期間で生産能力が上がる。
しかし品質レベルをあげるのは、短期間では難しい。

以前3ヶ月で直行率98.4%の工程を、99.5%に改善した事がある。実質改善活動は生産をしながらの3週間だけだ。しかし事前に改善リーダーや班長、組長の指導ができていたから短期間で改善できた。

別の事例では、顧客クレームを1/2にした事があるが、この時は毎朝工程内不良の原因確認と、再発防止の徹底を行って半年かかった。

品質改善には一定の時間が必要だ。設備を増やせば明日から生産量が増える、と言う訳には行かない。
生産量の向上に注力し,ある程度の品質不良を放置すると,じわじわと体力を失う事になる。癌と同じだ、痛みを感じないうちに癌が進行し、気がついたら余命0ヶ月と言う事になる。

例えば、顧客で不良が発生しても、代替え品を納めていれば大きなクレームにならない。顧客が中国企業の場合こういう事例は多い。
しかし不良対応で選別のために検査人員を顧客に派遣する。
不良代替え品の生産のために小口ロットの生産をしなければならない。
これらの損失も考えれば、工程内不良の損失の10倍はコストがかかっていると考えた方が良いだろう。
しかも、不良発生により顧客の信頼は徐々に失われて行く。あるとき突然営業が呼ばれ、転注が伝えられる事になる。

従って「品質第一」は揺らぐ事があってはならない。
安全は,品質を保証する前提なので、最優先となる。


このコラムは、2015年10月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第447号に掲載した記事です。

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干されて味が出る

 「干されて味が出る」どこで見かけたか忘れてしまったが(ひょっとすると落語の演目かも)なかなか味のある言葉だ(笑)
仕事や仲間から干されると、腐ってしまう。当然モチベーションは下がるし、下手をすれば鬱状態になる。

この言葉はこんな具合に使う。
「椎茸も干物も干されて味が出る。干されている間に味が出る」

干し椎茸も干物も腐りにくい。
人も干されて腐ることはない。干されている間に自己鍛錬をして味を出したいものだ。


このコラムは、2022年2月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1250号に掲載した記事です。

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「日本、核弾頭作れる」 中国、国連委で突然批判

  核軍縮を審議する国連総会の第1委員会で20日、核保有国の中国が「日本はプルトニウムを大量保有し、それは1350発の核弾頭の製造に十分な量だ」と日本を批判した。突然の「自説」の展開に日本は反論。議論の応酬になった。

 中国の傅聡・軍縮大使は演説の前半では「核開発競争に関与しない」と自国の姿勢をアピール。ところが後半になって、「(原子力発電所から出る)分離プルトニウムを国内で大量保管している」「一部の政治勢力に核武装論がある」と日本を名指しして批判した。

 日本の佐野利男・軍縮大使は、すべての物質は国際原子力機関(IAEA)の査察を受け、平和利用と結論づけられている点などを強調。「日本の努力は国際社会に認識されている」と冷静に反論した。

 すると、中国は「ひとたび政策決定されれば、日本は核保有国になる。世界が記憶にとどめることを期待する」とまくしたてた。

 同委員会ではこの日、日本が世界の指導者らに被爆地訪問などを呼び掛ける核廃絶決議案を提出していた。中国は今春の核不拡散条約(NPT)再検討会議でも、各国指導者らに広島・長崎訪問を促す日本の提案に歴史問題を持ち出して猛反発した。

(朝日新聞電子版より)

 面白い難癖を付ける人がいるモノだと感心した。
ここは反論などせずに、「そうだよ」と肯定してしまった方が面白かろう。日本はプルトニウムも持っているし、核弾頭を作る技術もある。周辺の核保有国が無茶な行為をすれば、すぐに生産しますよ。こう言っておけば、抑止力になるだろう(笑)

戦後70年間自国の軍事力を平和維持の抑止力にしたり、外交交渉の後ろ盾に
する事を日本は放棄して来た。このくらいの「口先抑止力」を行使しても
良かろう。

多分、委員会に参加されている良識ある国々の大使は,このジョークを受け
入れてくれるのではないだろうか(笑)


このコラムは、2015年10月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第447号に掲載した記事です。

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巧妙な手口、中国模倣品 政府と業者「いたちごっこ」

 長年、模倣品大国と言われ続けてきた中国。「世界の工場」で磨き上げた製造技術は、今や本物と区別がつかないほど精巧な模倣品を生み出す。価格は正規品より圧倒的に安く、海外にも流れ出る。中国政府は摘発を強化するが、模倣品業者の手口は巧妙化、いたちごっ
探偵に同行、最前線を歩いた。

日本経済新聞電子版より

 友人に中国で知財権の仕事をしている人がいる。その内一人は女性ながら、ニセモノ工場に摘発のために乗り込んだりすると言っていた。さすがに前面に出て摘発するのは、商工局の職員だが。

中国のニセモノには「ただのニセモノ」と「ホンモノのニセモノ」がある。

ただのニセモノは、いわゆるニセモノだ。例えば、中国の文具店で売っているホワイトボードマーカは「ゼブラ」を書いてあっても、ほとんどがニセモノだ。一見ホンモノそっくりに出来ているが、仔細に見てみるとペン軸に書いてある説明文がおかしかったりする。
ホワイトボードマーカは本体がプラスチック成型で出来ているので、模倣が比較的簡単だ。同じくゼブラの製品でも、銀色や白色の油性マジックは本体がアルミの絞り加工で出来ている。これは簡単には真似できないらしく、ペン軸の途中に段が付いていたりする(笑)

もう一方のホンモノのニセモノとは、OEMでホンモノを委託生産している工場が同じ材料で生産したモノを裏口から出荷する製品だ。支給材料をちょろまかし、余分に生産した製品を横流しする。
アパレルメーカーなどは、ブランド名が入ったタグを支給し、その数量を厳格に管理している。アパレルメーカで、タグの出庫作業を人手で員数確認しているのを見て、これが委託先工場からのニセモノ流出防止だと理解した(笑)
ちょっと頭の良い経営者ならば、製品を横流しして得る利益よりも。顧客の信頼を失なう損失の方が大きい事を知っている。しかし現場の人間が、目先の金欲しさに悪さをする事はあり得る。

金儲けだけが目的の人達には、手っ取り早くニセモノを作るのが近道に見えるのだろう。生産委託工場でなくても、3Dスキャナーがあれば設計図は手に入る。
普通の技術では加工できない、機能を実現するメカニズムがブラックボックスになっている、などの工夫をしておかなければ真似をされてしまう。

中国で科学玩具を作っている友人は、部品ごとに違う工場に発注する、一つの部品でも工程ごとに工場を変える、組み立て工場には部品の発注をさせない、等徹底的にニセモノ対策をしていた。彼によると日本の国内企業にも裏切られた経験が有るそうだ。

いずれにせよ、日本も先進国の製品を模倣するところから始めている。
中国も同じ様な道を進んでいるだけかもしれない。日本と違うところが有るとすれば、ディジタル技術で模倣の閾値が下がっているところだろう。日本が模倣していた時代は、模倣する事で技術に磨きがかかった。


このコラムは、2015年2月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第412号に掲載した記事です。

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田んぼでも証明されたトヨタ式、「豊作計画」の実力

 暑い日も寒い日も田んぼで農作業の助手をしながら、現場で親睦を深め、現地現物で農業を体感。やがて「カイゼン」の勘所をつかんでいった――。
農業と製造業。一見、共通点がなさそうな二つの産業だが、必要な作業を複数の工程としてきちんと定義すれば、トヨタ自動車のカイゼン手法を農業にも施し、作業の無駄を省くことができる。本記事は、このことを実証してみせた一人のトヨタマンの奮闘記である。

日本経済新聞電子版より)

 水田でトヨタ生産方式?と思われた方も多いだろう。しかしこの記事で紹介しているのは、モノ造りそのものではなく、モノ造りを支援するITシステムの話しだ。

トヨタには「マル書いてたってろ」と言う言葉が有る。生産現場の床にマルを書いて、そのマルの中に立って一日現場の作業を観察しろ、と言う意味だ。
田んぼにマルを書いたかどうかは分からないが(笑)まずは、現場を理解する事から改善は始まる。当然と言えば当然だが、往々にして過去のデータなどの分析を現場より優先したりする。

システム開発は、開発仕様を決定する際に顧客とミーティングを重ね、仕様を固めて行く。会議室で仕様が決まって行く訳だ。現場、現物、現実主義の観点から言えば、これでは駄目だ。

大雑把に言えば、システムとはデータを取り込み、そのデータを加工し、現場に有益なデータを出力する仕組みだ。この様な仕組みを作るのに、現場を見ずに仕様を決定して良いシステムになるとは思えない。

現場のどこでどんなデータが発生し、そのデータはどういう意味を持っており、そのデータをどう加工すれば、作業が改善出来るか考える。こういう工程は、現場でやらねば駄目だ。

顧客のシステム担当者から情報を聴取しても、担当者の理解以上の情報は手に入らない。改善は出来ても改革は不可能だ。なぜなら、社内や業界の人間の考えが及ばない改善をして初めて、改革と言えるからだ。

一見効率が悪い様にも見えるが、現場を理解する事に時間を割く事が重要と考えている。

現場で改善をしている人間にとって、現場から学ぶ事は多い。

もう一つトヨタのシステム屋さんから教わったことがある。
業務用のシステムを作る際に、その業務の「本質」を見極める事が重要だ。なぜならば、今の業務をそのままシステムにしてしまうと、すぐにシステムが陳腐化してしまうからだ。システムを作り込む時には、変わらない「本質」を作り込み、改善により変化してしまう手順などは柔軟性を残しておく。この様に考えると、システムのメンテナンスが容易になる。


このコラムは、2015年3月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第413号に掲載した記事です。

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副操縦士「皆が私の名を記憶することになる」 独機墜落

 フランス南東部での旅客機墜落で、独紙ビルトは28日、意図的に墜落させたとみられる副操縦士と以前交際していた女性のインタビューを報じた。それによると、アンドレアス・ルビッツ副操縦士(27)は「自分はいつかシステムを大きく変え、皆が私の名を記憶することになるだろう」と述べていた。仕事の待遇への不満や将来への不安ももらしていたという。

 副操縦士のかかりつけの医師が精神疾患で長期の治療を勧めていたとの報道もある。独検察当局は家宅捜索で診断書を押収しているが、病名は明らかにしていない。

全文はこちら

(日本経済新聞電子版より)

 山腹に向って一直線で降下して行った異常な飛行に多くの疑問を持った。副操縦士が故意に墜落させたのではないかとの疑念が高まっている。報道により徐々に事故の概要が見えて来た段階で、1982年に発生した「羽田空港逆噴射事故」を、多くの方が想起されただろう。機長が着陸時に逆噴射により、羽田沖に機体を墜落させた事故だ。

旅客機事故を詳しくウォッチしている訳ではないが、「逆噴射事故」以来乗務員の精神状態異常による事故は、今回が初めてではないだろうか?
旅客機事故による影響は、自動車事故の100倍以上となる。従って航空会社は他社の事故であっても、再発防止に真剣に取り組んでいるはずだ。別の記事によると、JALもANAも定期健康診断で乗務員のメンタル面を把握しているそうだ。

ボイスレコーダーの記録によれば、コックピットから閉め出された機長が扉を蹴破ろうとしている。当然前列に着席している乗客にはこの光景が目に入っていたはずだ。想像を絶する恐怖の中で、機体は山腹に激突したのだろう。

度重なるハイジャックにより、コックピットの扉は外からは開かなくしている。今回はこれが裏目に出た。しかも新しい機材は、航空機関士の乗務が不要だ。コックピットは機長と副操縦士の二名のみになる。どちらかに異常が発生した時に、一人で対処しなければならない。異常行動を制圧し、危険回避をする事になる。

この事故の後、航空会社各社は新たな再発防止をすることになるだろう。

工場の経営も同様に、他社の事例から学び事前に再発防止を実施しておかねばならない。業種、業界を越えて学ぶ事はあるはずだ。例えば、他社で発生した労働争議の原因を知れば、予防対策が出来るはずだ。


このコラムは、2015年3月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第417号に掲載した記事です。

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「ご迷惑をかけて、申し訳ない」読者様の声から

先週も読者様からコメントをいただいた。
いつもアンケートメールを送っていただいているS様からだ。

私は中国の企業の方と仕事上のつきあいがありますが、個人主張(私は悪くない)という反応が多々あります。
ご迷惑をかけて、申し訳ないというような回答はなかなか引き出せません。
これは、どこも同じでしょうか?

中国の工場や中国人と一緒に仕事をした事がある方は、S様のご意見に今深くうなずいておられるのではないだろうか(笑)
このメルマガでも「言い訳」について取り上げた事がある。

まずは自分が悪くないということを主張する、というのが中国人たちの習性のようである。

ところで翻って「ご迷惑をおかけして、申し訳ない」というメンタリティについて考えてみよう。こういう気持ちがすっと自然に出てしまうのは、日本人特有のモノではなかろうか?
単一民族の国であるからこそ、相互の信頼関係が前提としてあり、先に申し訳ないといってしまうメンタリティが出来上がっているのだろう。

米国では「I’m Sorry」というと自分に責任があると認めたことになるので、あまり謝らないと聞いた事がある。多民族の国家であるがゆえに、まずは良い悪い、どこに責任があるのかということを明確にする必要があるのであろう。異質社会ではまずは「ルール」が優先する。

中国も同様に多民族国家である。同じ漢族同士でも出身の省が違うとまるで違うと思ったほうが良い。更に優先すべき「ルール(法律)」が未整備であったり、未成熟なのでなおさら「自分は悪くない」ということを主張しなければならなくなる。

日本では先に良い悪いを議論してしまうと角が立つ、均一な社会なのでまずは調和を重んずる。

こんな考察をしてみると、日本人のメンタリティの方が特殊なのかもしれない。


このコラムは、2008年4月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第30号に掲載した記事です。

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生産ラインの構築・改善

先週は友人のコンサル会社オフィスにお邪魔した。
自分たちが中国で工場を設立・操業しており、そのノウハウを提供するコンサル業務をしている。

予定外ではあったが、車で移動しその工場を見せていただいた。板金加工工場で、メタルフレームの組み立てまで取り込んでおられた。

工程を見ただけで、経験のある日本人が指導した工程だとわかった。
聞くところによると顧客の生産技術者の指導を受けたそうだ。顧客の指導で組み立てラインを立ち上げ、応用できるところは板金加工工程にも展開したと言う。

物を流す方向を変えるだけで組立作業が改善できますよ。と指摘したら「あっ!」と即座に理解された。

外部の人間だと何も思い入れがないので一瞬で見えることが、意外にも自分たちで改善を重ねたラインでも毎日見慣れてしまうと気がつかない事があるものだ。


このコラムは、2008年7月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第41号に掲載した記事です。

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