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経営者の姿勢

 先週開催した「中国華南モノ造り交流会」に参加いただいた経営者様から、大変含蓄のあるお話を聞いた。

経営者として、利益を追求する事は当然だ。しかしずっと利益の追求だけに終始している経営者は、大成出来ない。経営者として一皮剥けるのは、企業経営はお客様の感謝を集める事、従業員を幸せにする事と悟った時だ。
これに気が付いた経営者はより多くの利益を手にすることができ、企業は永続する。

利益を得るために、顧客満足、従業員満足を追求する。利益があるから、株主、従業員、社会にも貢献が出来る。
こういう考え方をしている経営者は「並」の経営者であり、その企業は短命だ。

顧客満足、従業員満足を追求する。その結果利益が得られる。顧客に必要とされ、従業員に必要とされる企業は、必然的に社会に必要な存在となる。こういう考え方で経営されている企業は、永続する企業となる。

私はこのような経営姿勢を「21世紀型企業経営」と呼んでいる。

2008年に、牛乳にメラミンを添加するという事件が中国で発生した。
メラミン生産業者は、メラミンを添加すると淡白質量が高まるから、水で希釈した牛乳でも売れる、と酪農家をそそのかす。その結果、今までにない販路・マーケットを手に入れることができる、

酪農家は、生産量を上げるためにメラミンを添加する。その結果投資も労力もかけずに、利益を向上出来る。

小売店は、「メラミン非検出」というラベルを勝手に作り、商品に貼って売る。その結果、倉庫にあるメラミン汚染在庫品を売り払うことができる。

こういう経営は、お客様の安全・健康より自分の利益を優先させた経営だ。この様な経営をすれば、日本ならば即座に市場から退場させられる。

従業員の幸せを願って、本気で育成をする。こういう企業は、人材の流動性が低い。かつ、必要な人材しか残らない。経営者と従業員は愛情と感謝で結ばれた信頼関係を築く事が出来る。金銭よりも価値のある自己成長が得られると理解出来る従業員は、転職する事がなくなる。

売り上げを上げる事より、顧客に貢献する事を第一に考える。こういう企業は顧客から愛され、事業が継続する。顧客から必要とされる企業は、社会からも必要とされる。

利益第一主義の企業は、ビルド&スクラップを繰り返すことになる。こういう企業の経営者を、時代の変化を先取りし、次々と業態を変えて行く機敏な経営判断が出来る経営者と評価するか、利益しか見えない「並」の経営者とみるか。答えは時間が出してくれるはずだ。


このコラムは、2012年9月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第273号に掲載した記事です。

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中国小売り流通業の実力

 中国の流通業は、組織化のレベル、流通効率、物流コスト、ロスプリベンション及び人員体制の方面で、先進国との間の差が明らかである。
 欧米先進国の商業流通業は既にチェーン経営の時代に入っており、チェーン経営販売額は全ての販売額の60%以上を占め、アメリカでは80%に達している。これに対し、中国の2010年チェーン小売企業売り上げは社会消費品小売総額の17.2%にすぎない。
 流通効率の面から見ると、違いが明らかである。中国の一定額以上の卸売小売企業の在庫商品総額は年間販売額の7.38%を占めるが、アメリカ、日本、フランス等の非製造業の同様の指数の最高はわずか1.29%である。
 中国の物流コストは、2010年は対GDP比17.8%、2011年は18%へ上昇した。
これに対し、アメリカ等の物流コストは多年にわたり対GDP比10%前後である。

西部商報2011年4月5日より

 私は小売り流通業には門外漢だが、中国流通業の効率の悪さを感じる。
中小の小売業者ではなく、ウォールマートやカルフールなどの大手の業者だ。ウォールマートは、衛星通信技術を駆使して全世界4,000余りの店舗管理をしていると聞く。
その先進的な管理は、中国には行き届いていないようだ。

在庫商品の割合を見ると、中国の大手小売業者は約28日分の在庫を持っている。一方米国、日本、フランスなどでは5日分余りしかない。

どういう仕入れ管理をしているのかわからないが、牛乳など鮮度が問題になる商品をまとめて仕入れており、運が悪いと数日前の商品ばかり売り場に並んでいる。期限切れ間近の商品を「買1送1」で投げ売りする。仕入れコストをケチって、より大きな損失を出している。

そして店員が大量にいる。
売り場ごとに専門の店員がいて、何を探しているか聞いてくる。そしてお勧め商品を紹介してくれる。考えようによっては、スーパーでもハイタッチ接客サービスを提供しているようにも思える。しかし中国人の友人に聞くと、店員が勧める商品は絶対買わないという。早く売り切りたいから客に勧めているのだそうだ。

2008年にメラミン入り牛乳が問題になった時に、「当店の牛乳は安全」というポップとともに、「メラミン検査済み」のシールを貼付けて販売していた。商品をみると、メラミン混入が報道される以前の生産品だ。在庫品に問題があろうがなかろうが、早く売り切りたいという意図にしか見えなかった。

また大量にいる店員が、通路を閉鎖し棚卸しや、品出しをしている。
顧客の少ない時間帯ではない。週末の夕刻などのピーク時間帯でも顧客を通路から閉め出して作業をしている。

棚の上に積まれた商品を、ヘルメット姿の店員が脚立に乗っておろしている。作業の安全を確保する意味では、ヘルメットの着用は良いことだろう。しかし棚からドサドサと落とされた商品がそのまま陳列棚に並ぶ。客は粉々になったインスタントラーメンを買うことになる。

「顧客目線」を持たないビジネスは、うまく行くはずがない。
しかし、ウォールマートもカルフールも、連日多くの客が来店しており、レジで10分待たされるのは当たり前だ。「当たり前のサービス」を提供できる業者が出てくれば、即淘汰されるだろう。

中国生活者としては、早くその日が来ることを願うばかりだ(苦笑)


このコラムは、2012年5月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第257号に掲載した記事です。

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生産委託先の指導について

 中国の工場に生産委託をしているが、なかなかうまくゆかない。資本関係もなく言う事を聞いてもらえず苦労をしている。こういう方が多いのではないだろうか?

私も前職勤務時代中国の生産委託先の指導で苦労した事がある。

当時は出張ベースで生産委託先を指導していた。
まずは現場に張り付かなくても良いように作戦を立てた。

  • 毎日生産の結果を報告してもらう。
  • 報告には生産量、各検査ステーションでの不良数、不良原因を入れてもらう。
  • 想定される工程内不良率の上限を決めておき、毎日のレポートでアラームが出たらすぐ出張指導に行く。

こんなスタイルで生産を開始した。当初はかなりすったもんだがあった。同じ内容の不良が続き、緊急出張した。当初は1週間で帰るつもりが1ヶ月になった事もあった。

それでもすぐにすばらしい成果を出してくれるようになった。
自社の海外工場で作っていたプリンター用電源装置を生産移管した時は、いきなり工程内不良率100ppm台を初月から達成した。自社工場ではここまで持ってくるのに半年かかった。

この時に自分たちで、どうしてうまく行ったのか分析をしてみた。
結論は、経営者の信頼をうまく取り付けたことだ。経営者に我々の言う事を聞いていれば、自分の工場の品質がよくなると信じさせる事が大切だ。

実はこの経営者をお客様の前で叱った事がある。

お客様が非常に高い品質要求を言ってきた時に、経営者は「品質をよくするためにはコストがかかる」と反論した。
即座にそれを否定して「品質とコストがトレードオフ関係になるような状況を作るべき ではない」と諭した。当然お客さんは私の味方になる。

経営者の面子をつぶしてしまい、まずいことをしたと当初思ったが、これが逆に経営者が我々を信頼するきっかけになったようだ。

資本関係のない委託先でうまくやるのは経営者にこちらを信頼させるのが第一だと考えている。これができていると現場の指導もすごくやりやすくなる。


このコラムは、2008年6月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第37号に掲載した記事です。

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行列のできるカリン糖屋

先週香港まで畠中一郎さんというコンサルタントのセミナーを聞きに出かけた。
経営者が知らず知らずのうちに、周りが見えなくなり経営が危なくなる状態のことを「不知の病」と形容されていた。

そのときこんなエピソードを紹介された。

駅舎内にカリン糖を売っている商店がある。ここは大変人気店であり、四六時中行列ができている。

畠中氏は、こういう状態を消費者がどう感じているかをスタッフや知人を動員してその店の前を往来する人100名に聞いてみた。実はこういう行列が出来ているお店では、買い物をしたくないと答えた人が半分を超えたそうだ。

たくさん行列ができている商店の店主は、順調に商売が繁盛していると慢心していると、実は半数以上の顧客を逃していることに気がついていないのかもしれない。
これが「不知の病」の第一歩となり、あっという間に足元をすくわれてしまうということにもなりかねない。

順調の時は繁盛に目を細めるのではなく、ビジネス上の仮説と検証を繰り返し、常に目を見開いていなくてはならない。


このコラムは、2008年6月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第39号に掲載した記事です。

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タイヤ直撃事故 ボルトすべて破断、一部は以前から?

 東名高速の吉田インターチェンジ付近で11日午前に起きたタイヤ脱落事故。トラックにタイヤを固定するボルト8本はすべて破断し、うち2本の破断面にはさびが付いていた。専門家は、2本は事故以前から折れていて、残ったボルトに過大な力がかかった可能性があるとみている。

(asahi.comより)

脱落したタイヤが対向車線に飛び出してバスの運転台に激突し運転手さんが亡くなっている。大変気の毒な事件である。

トラックの運転手は始業点検をきちんとしていたのだろうか?
そして運送会社はどのように始業点検を指導していたのだろうか?

タイヤを固定するボルト2本は破断面に錆が発生していたというのであれば、始業時、休憩時の点検で見つかったはずである。ナットの頭をハンマーでたたいてみれば異変に気が付いていたはずだ。

運転手は、顧客と会社の財産を安全に運行する義務、自分自身と社会に対して身体人命の安全を図る義務がある。
また会社も同様に、顧客の財産を守る義務、従業員とその家族の生活を守る義務、社会に対する安全義務がある。
日常点検という作業がこれらの義務から発生しており、重要な予防保全活動であることをきちんと認知をする必要がある。

あなたの工場でも日常点検作業が確実に行われなかったときのリスクをきちんと評価して、従業員に再度徹底してみてはいかがだろうか。

ところで金属破断はそのメカニズムによって破断面が大きく異なる。
最初に折れていた2本のボルトは、長期間にわたって「疲労破壊」をしたものと推定できる。この場合破断表面は滑らかな表面になる。
一方最後に折れたボルトは、本来8本に分散していた荷重が1本に集中したため、過大な荷重に耐えられず破断したはずである。この場合のは断面は荒れたものになる。


このコラムは、2008年4月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第29号に掲載した記事です。

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会員制ビジネス

 中国で通っているジムを紹介しよう。
私が住んでいるアパートの2階にジムがある。狭いのと料金が高いのか難点だが、同じ棟の中にあり便利である。設備もまぁまぁである。

しかしここのジムの経営者は、「会員制ビジネス」のメリットをあまり認識していないようだ。
いまだに大量の営業員を街中に送り出して、新規顧客の勧誘に精を出している。
「会員制ビジネス」の大きなメリットは、会員の紹介で会員が集まる、と言う営業いらずの部分にあると思う。

従ってビジネス拡大に一番重要なことは「既存顧客の満足」であるはずだ。残念ながらこのジムはこの点に関して二流以下である。

まず第一に経営者が顧客に何も挨拶をしない。私がジムに行く時間帯にはよく経営者が顔を出している。しかし経営者は私と目が合っても会釈すらしたことが一度もない。

シャワールームの工事中、工事のための資材がロッカールームに山積みされてロッカールームに入ることできなかった。シャワーが使えないだけでも不満なのに、ロッカールームにすら入れない。

スタッフに工事に今不要な資材を撤去してロッカールームに入れるようにしてほしいと何度も提言したが、話を聞くだけである。顧客の利便性よりは工事業者の利便性を優先している。

経営者に私から話をする、と言っても一向に取り次がない。
顧客の声を殺してしまい、成長のチャンスを見逃しているとしかいえない。

不届きな会員が共有のロッカーに自分の鍵をかけて占拠しているのも「没方法」と言いまったく改善しない。

これでは友人にこのジムを勧める気にもなれない。
従っていまだに新規顧客獲得のために大量の営業員を雇用し続けている状態である。

日本にいたときのジムも、東莞の田舎町のジムでも営業員などほとんどいなかった。たまにキャンペーンをやるときにトレーナなどの職員を動員する程度である。

営業員を雇うお金を顧客満足に回せばもっと経営は楽になるはずだ。
少なくとも費用のかからない顧客満足作戦はいくらでもある。


このコラムは、2008年6月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第39号に掲載した記事です。

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教育

 「モノ造りは人造り」とよく言うが、品質改善・生産性改善を極めてゆくと必ず人事制度、人材育成問題に突き当たる。

人の能力にはIQ、EQ、SQがある。
IQ、EQはご存知の通り、Intterigent Quotient。Emotional Quotientの略である。
SQは私の勝手な造語でSkill Quotientの意味。

すなわちIQは頭、SQは体、EQは心を鍛えるという図式である。

まずは知識を教え込みそれを現場教育(OJT)を通して技能として体に叩き込む。
更にこれらの成長が加速継続するように行動開発を通してモチベーションを上げる、というわけだ。この行動開発がEQを高める教育に当たる。

知識や技能は教育訓練するのは比較的易しい。またその効果を確認する方法も比較的簡単である。

一方道徳研修、リーダシップ育成などの行動教育はその教育効果を計測するのが困難である。教育後のテストでは知識面の評価しかできない。EQを高める教育の効果は、やはり現場での行動発揮で評価するしかなかろう。

あなたの工場ではどんな教育・訓練を実施しておられるだろうか?


このコラムは、2008年4月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第30号に掲載した記事です。

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“扎根”制造業的真義:従一个日本螺絲想到的

 初めて中文のニュースを紹介する。
【“扎根”制造业的真义:从一个日本螺丝想到的】『土巴兎新聞』にあった記事だ。
タイトルを日本語に直訳すると“深く根をおろした製造業の真の意義:1本の日本製ねじから考えること”となるだろうか。記事は日本の高度なモノ造りは、日本中小企業が支えており、そののひたむきなモノ造りに対する姿勢を賞賛している。

(注)残念ながら『土巴兎新聞』の当該記事はすでに削除されている。

 記事は竹中製作所の錆びないネジ、ハードロック工業の緩まないナットを紹介している。

中国の企業は往々にして、すぐに儲かる仕事に飛びついている様に見える。
LED照明が儲かると聞くと、あっという間に雨後の筍の様にLED電球を作る工場がそこいら中にできる。生産設備の設計製造をしている知人(中国人)も自社工場の横に工場を借りてLED電球を生産し始めたが、量産技術も、製品の梱包技術もなく、製品を出荷したはよいが、顧客からクレームを食らっていた。

市場性があり、投資対費用効果が高ければあっという間に工場を立ち上げてしまう。日本の製造業の様に、こつこつと技術や技能を磨いて、納得のいく製品に仕上げると言う姿勢は感じられない。ある意味企業経営としては、中国企業の方が正しいのかもしれない。

しかしそのような姿勢でモノ造りに取り組んでみても、市場のおこぼれを取る程度にしかビジネスにはならないだろう。すぐに安かろう悪かろうの本質が露呈してしまい、顧客が離れて行く。

竹中製作所やハードロック工業の様に、ニッチ市場ではあっても圧倒的なシェアと顧客の信頼を得る事はむつかしい。

日本の中小企業に、NASAからAPPLEまで、世界的な大企業が指名で注文が入る。
そして日本の中小企業が、世界の大企業の製品を支えているのだ。
記事には「このねじが日本を支えとんのや」と言う台詞と共にドラマ「半沢直樹」の一シーンの写真が添えられていた。

一方で多くの日本中小企業が、下請けとして苦しい経営をしているのも確かだ。
ただ技術を磨くのではなく、用途開発にもっと目を向ける事が必要だと考えている。竹中製作所やハードロック工業が、大多数の中小企業と一線を画している所は「用途開発」だろう。

絶対にゆるまないネジ―小さな会社が「世界一」になる方法

1社では無理でも、同じ志を持った中小企業が集まれば、人工衛星だって打ち
上げられる。

まいど! ~宇宙を呼びよせた町工場のおっちゃんの物語

我々も、青木社長の様に面白い事をやってみたい。
中国に進出した日系企業で、力を合わせ世界をあっと言わせる様な製品を
作ってみたい。当然日本の本社からは協力は得られないだろう。
中国でこっそり開発してしまうのだ(笑)


このコラムは、2015年11月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第449号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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経済成長

 日本の名目GDPは米国、中国に大きく水を開けられているが、世界第3位だ。一方、国民の購買力を示す1人当たりのGDPは30位。

米国から日本バッシングを受けるほど、経済成長をしていた当時とは比較にならない閉塞感がある。上記のデータは2020年のIMFの予測データなので、必ずしもコロナの影響だけとはいえないと思う。

学習院大学の滝沢美穂教授はラジオ番組で、米国並みの資源分配ができていれば、7%の生産性向上が可能だ、と言っていた。

資源とは生産リソースばかりでなく、人的リソースも含まれる。儲からない製造業にリソースを割くのではなく、成長産業にリソースを配分しなければならない。という意味と理解した。

正論だと思うが、果たしてそれで良いのだろうか?
米国流の経営スタイルをまね、株主を優先し、現場の労務費を変動経費化した。そのために、日本の強みであった現場力が失われてしまったのではないか?

我々製造業に関わる者の使命は、7%程度の生産性向上ならば、それぞれの現場努力で達成するべきだろう。


このコラムは、2021年10月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1203号に掲載した記事です。

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正解とは

 学校の試験は、問題に対して基本的には正解は一つしかない。
しかし現実の問題には、複数の答えがあるはずだ。

たとえば工場で製品の不良をなくす、と言う課題があったとする。
この課題に対して一番確実な解は「生産しない」だろう。
これを正解とするかどうかは、それぞれに事情が違う。しかし造らなければ生産不良は発生しない。

あらゆる問題に「制約条件」があるわけだから、「造らない」を解として採用するかどうかは別の話だ。ブレーンストーミングでアイディアがなかなか出てこないのは、「正解」にこだわりすぎているからではなかろうか?

論理的に考えても1+1が2にならないことはいくらでもある。
たとえば、白米1合と小麦粉1合を混ぜても2合にはならない。
水は100℃で沸騰するというが、それは1気圧環境下での話だ。

本来、問題解決時に求めるのは「正解」ではなく「最適解」と考えるべきだ。
従って垂直にナゼナゼを繰り返すのではなく。水平にもナゼを広げる方が多くの答えが見つかり、その中から最適解を選択することができるはずだ。
こういう発想を「水平思考」とか「ラテラルシンキング」という。

先週取り上げた、日本政府の「儲かる産業にシフトする」という方針が唯一の正解ではないと思う。


このコラムは、2021年10月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1206号に掲載した記事です。

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