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中国では法律・ルールはしばしば個人の判断で「特別運用」される

 先日は出張先から戻るためにバスターミナルで待っていた.待てど暮らせどバスは来ない.たまたまバスターミナルの外に目をやったら,私が乗りたいバスはバスターミナルに入らずに外で乗客の乗降をしていた.
ターミナルの乗降位置には行き先もきちんと表示されており,朝確認をしたときにはその場所で乗客の乗降をしていた.たぶん運転手が何らかの理由により,バスターミナルをショートカットして乗客を下ろし出発してしまったのだろう.
たとえ苦情を言うことができたとしても,車掌がちゃんと声をかけたとか,ターミナル内が混んでいたとか,100も言い訳が帰ってくるだけである.
工場内も同様である.しばしば決められたことが守られない.叱れば言い訳がどっさり帰ってくる.ほとんどの場合が,決められたことの意味や意義を理解していないからだと考えている.
ある工場で,バッチ生産になっている設備のところに完了時刻を表示しておくように指示をした.この完了時刻までに次のバッチの準備を完了させるよう,作業員に目標を持たせるためであった.
ところが次回訪問時に,完了時刻が過去の時刻のままになっていた.守れない理由を考えて,きちんと守るようにと指示をした.
しかしその次の訪問時には,表示板そのものが撤去されていた.
その職場の責任者が,守れないならばやめてしまえ,と言ったそうだ.製造のトップの人物である.大いに落胆した.
しかしここであきらめてはいけない.もう一度説明をしなおし根気強くルールを守らせる.人を育てるのは情熱と忍耐が必要である.

言い訳

 中国の工場で仕事をしていると「言い訳」が多くてなかなか本質の改善ができない,という経験をもたれた方も多いのではないだろうか.
 以前指導していた中国工場で,梱包変更の情報がきちんと現場まで伝わらず変更前の仕様で製品を梱包してしまったことがある.
この工場は台湾にある設計部隊から設計変更指示(ECN)が出て設計変更が工場に伝達される仕組みになっている.
ここで生産された製品はお客様の中国工場に納入される.梱包仕様に関しては,お客様の中国工場から直接要求が来て工場の生産技術が設計することになっていた.
今回は営業がお客様の要求を受け,それをメールで各部署に配布したが梱包係は従来のまま梱包をしてしまった.
それを出荷検査(OQA)の検査員が見つけて騒ぎとなったわけである.
ここまでは,いきさつをヒアリングして分かった.これをそのまま放置しておけば又同様な問題が発生する.場合によっては出荷してしまい,顧客クレームになる.
しかし現場はもう一度梱包しなおせば大丈夫,という反応である.即関係者を集めて対策会議を開いた.
会議では言い訳合戦.
営業担当はメールで伝達したとメールをプリントアウトして,どうだとばかり見せる.自分は責任をきちんと果たしたというわけだ.メールを出すことと伝達をすることは違う.
製造部は確かにメールは受け取っているが,梱包係の班長までは一人一台PCを持っていない.図面を改訂してもらわなければ対応できないという.
もっともな意見だが,通常現場の梱包作業者は図面など見ずに作業をしている.
生産技術が梱包作業書を改訂しなければならないが,メールをCCで受け取ったから作業をしなかった.
余談だかメールのTOとCCの使い分け方を知らない人が多すぎる.
こういう生産性のない議論を聞いているといい加減腹が立ってくるが,じっと我慢.それぞれが言い訳を言い終わったところで,「じゃ同じ問題が又発生しないように対策を考えよう」と切り出す.
ここからが本来の議論である.
問題は梱包仕様の変更がきちんと正規のECNルールに乗っていないことである.
梱包といえども製品仕様の一部である.
営業はお客様の要求にしたがってECR(設計変更要求)を発行.
生産技術は改定図面を発行.
ドキュメント管理はECNの手続きに従って図面を配布,旧図と差し替え.
この作業が終わったところで営業の仕事は完結したことになる.
各部署の臨機応変な対応で,処理できれば問題はないかもしれない.しかし自分の責任範囲に境界線を引いて仕事をしている人たちには,うまく行かない.
きちんとシステムで対応しないといずれボロが出てしまう.
こんな言い訳もあります:「誰のせい?」

69歳の青年実業家

 仕事柄,経営者の方にお目にかかりお話を伺うことが多い.
先日は香港で年商150億円の会社を経営されている69歳の青年実業家からお話を聞かせていただいた.
69歳の青年実業家という言い方は矛盾しているが,彼にぴったりの表現だと私には思える.
彼は事業の傍ら,中国中を列車で旅して回っている.硬座(二等車)に乗り中国人に混じっての一人旅である.行く先々で地元の人と仲良くなり,食事に招待されたり自宅に泊めてもらったりしている.まさに青年の心を持った方である.
老若は過ごした年月で決まるものではなく,心のありようで決まるのだと彼の話を聞いて確信した.
彼にはもうひとつ趣味がある.
旅の途中で見た貧しい農村の小学校.窓にはガラスが入っていない.机も椅子もガタが来ている.彼はこの小学校を立て替えることにした.ぽんと私財を出し,建築の作業者には地元農民を採用することだけを条件にした.
完成した小学校と,子供たちの笑顔を見た彼は今5軒目の小学校を建築中だ.
「たいしたお金ではないんです」「私の道楽ですから」とさらりと言ってのける.
こういう日本人が,香港・中国で活躍しているのを知るとわれわれ日本人も誇りが高い.私も仕事を通じて感謝の気持ちを形にしてゆきたいと新たな目標ができた.

中国広州市、大量解雇を禁止・労働新法の施行控え

 【広州=阿部将樹】中国広東省広州市は労働者の権利保護を強化する労働契約法が来年1月に施行されるのに伴い、2007年中は企業や団体による従業員の大量解雇を禁止する通知を出した。新法は雇用の長期化などを促すため事業費の増加が予想されており、施行前の「駆け込み」リストラを防止する考えだ。
 20人以上の従業員を解雇、もしくは合計20人未満の企業や団体が10%以上の従業員を解雇する場合、事前に同市の労働社会保障局に報告することを義務付けた。破産寸前のケースや経営状態が悪化していると同市が認定した場合を除き、労働契約を解除できないとしている。
                                        (NIKKEI NETより)
ウォールマートも中国の買い付け部隊の80%100人を解雇したそうだ.
このブログの記事「新労働契約法(期間限定雇用)」でも書いたが,新労働契約法の施行を前に自衛策を考える経営者が出てきている.
これらの動きに対し広州市労働局がリストラ防止に動いた.
広州市労働局の通知は新労働契約法41条に定めた人員削減に関する条項を先行実施する形となっている.
第四十一条〔人員削減〕
以下の状況により、二十名以上の人員削減もしくは二十名には満たないが企業の総従業員数の十パーセント以上に当たる従業員の人員削減が必要な場合、使用者は三十日前までに労働組合もしくは全従業員に状況を説明しなければならず、労働組合もしくは従業員の意見を聴いた後、人員削減案を労働行政部門に報告しなければならず、その後人員削減を行うことができる。
繰り返しになるが,基本は経営と従業員の「信頼関係」である.
●きちんと信頼関係を構築した上で従業員のパフォーマンスを向上する.
●人員の新陳代謝が行われる仕組みと仕掛けを作りこんでおく.
これができていれば,新労働契約法によってぶれることは無いはずだ.
ところでこの新労働契約法は08年1月1日から施行開始だが,予定されている「細則」があと1週間に迫った今も発表されていない.

新労働契約法(期間限定雇用)

 中国にて会社を経営されている経営者・経営幹部の方は既にご存知の通り,2008年1月1日から新労働契約法が施行される.
基本的には新労働契約法は労働者保護の法律であり,雇用コストが上がる方向だ.
以前は期間を限定して雇用することが可能であった.
ほとんどの企業は作業員の給与上昇を抑えるため1年間の期間限定雇用としているのではないだろうか.
しかし新労働契約法では期間限定の雇用は2回までしかできず3回目からは無期限雇用契約を結ぶことを義務付けている.今までの方法では作業員の給与上昇を抑えることはできなくなった.
この法律改正をにらみ中国内資企業もいろいろな手を打っているようである.
中国内資の通信機器関連の有力企業は,勤続8年以上の職員に勤続年数に応じた経済保証金を支給することを条件に辞職手続きを要請したそうだ.辞職後,新労働契約法に対応した契約条件で再雇用.
これは新労働契約法に定める勤続10年以上の職員には,期限を限定した労働契約を結んではならないと言う条項をにらんでのものだ.すなわち勤続10年以上の職員に対する労働契約は定年までの物となる.企業側は,雇用コストの上昇を恐れて,このような「奇策」にでたのであろう.
しかし私には「愚策」にしか思えない.
きちんと社内に,職員の「新陳代謝」が行われる仕組みを準備しておけば,こんなことを考える必要はないはずだ.
ハイアールのように,各職場でパフォーマンスが下位10%になった者は翌年自動的に解雇,と言う大胆な人事制度が新労働契約法でも可能かどうかは定かではないが,方法はある.
せっかく職員を育成し10年も働いてくれているのに,なぜ期限限定の契約にこだわる必要があるのだろうか.
今回の新労働雇用法の施行は,「モノ造りは人造り」を基本としている日系企業には追い風なのではなかろうか.

通訳

中国の工場で仕事をしていると,通訳のお世話になることがままあります.
私の場合,簡単なことは自分で話してしまいます.
しかし難しいことのほうが通訳を通すと全然伝わらなくなってしまいます.
以前「チームワーク」について説明しようとしたときに野球の例で説明しようとしました.しかし通訳さんは野球をやっとこともないし見たことすらない.これでは絶対訳せませんよね.
仕方がないのでサッカーの例で説明しました.
厳密に言うと,野球とサッカーではチームワークの形が若干異なります.(これは又別の機会に)
特に専門用語となると,ほとんど期待できません.通訳さんは日本語を勉強しただけであり,品質保証とか統計数学なんてかじったこともない.
通訳さんが固定されている場合は,じっくり教えられます.私と1年半付き合った通訳君は,元々営業職だったのですが,今では一人前の品質保証担当になりました.
普通はそんな時間的な余裕はありません.少なくとも専門用語について,事前に調べておく必要があります.発音できなくても漢字さえ覚えておけば何とかなります.
最近のRoHS規制など,化学物質の名称などは通訳を使っても難しい.
「水銀」をそのまま「水銀(shui3yin2)」と訳したりする.これでも通じないことはないかもしれませんが,「」と訳したほうが良いです.
鉛などはそのまま漢字で書けば通じますが,ではカドミュムは?
ポリ塩化ビフェニルなんて英語のスペルも怪しくなってしまいます(笑)
そんな方のために「RoHS使用禁止物質 日・英・中 対語訳リスト」を作ってみました.
ご希望の方に差し上げます.
こちらまで【RoHS】と言うタイトルでメールをください.折り返しメール添付でPDFファイルを差し上げます.
無料です.

B型肝炎

中国ではB型肝炎(中国語では乙肝といいます)の人がたくさんいます。
中国にある台湾系の工場を指導していた時に、従業員が外で食事をするようになってしまいました。健康診断で肝炎の感染者が見つかったと言う噂が広まり皆食堂で食事をしなくなってしまったのです。皆外の小汚い売店で面や葱油餅などで済ませてしまいます。
会社側は従業員の健康を考えて、栄養バランスや食器の蒸気消毒にも気を使っています。
しかし親の心子知らずで、意味のないメールで不安をあおる輩が出てきたりして手に負えなくなってしまいました。
この時私は、従業員食堂で食事をすることにしました。昼と夜の食事を1週間ほど続けた頃、ほとんどの従業員が戻ってきました。わざと皆に目立つように食堂の真ん中に座ったり、顔を知っている職員がいたら大きな声で挨拶したり、いろいろやってみました。
普通のコンサルタントはここまではやらないと思うのですが、現場主義を標榜しているので(笑)
台湾系の会社を4社指導した経験がありますが、みな台湾人の幹部は自分達専用の宿舎、食堂を用意して中国人従業員と区別しています。日系の企業だと、日本人管理職が一般従業員と同じ食堂で食事していてもおかしくありませんが、台湾系の会社では、そのような光景は見た事がありません。
企業文化の違いを感じさせられます。

元宵節快楽!

今日は農暦1月15日。中国では元宵節といいます。
「吃湯圓好団圓」と言うことで、湯圓を食べます。
湯圓と言うのは上新粉で作った団子の中に甘い餡が入ったものです。
餡はゴマ、緑豆、ピーナッツ、小豆、里芋の餡など色々です。
お湯に紅片糖(赤砂糖の塊)と生姜を入れスーパーで買ってきた冷凍の湯圓を入れれば出来上がり。
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今日は元宵節なので、皆家族や恋人と一緒に過しているのでしょう。
誰も遊びに来ないので、1人で湯圓を食べました。

休日の朝食

休日の朝はゆっくり起きて飲茶をしています。
今住んでいるマンションの2階に朝から飲茶をやっているレストランがあり、重宝していました。しかし最近店を閉じてしまいました。朝はすごい流行っていたのですが、夜はあまりお客さんがないようでした。
やむなく、少し離れたレストランまで出かけます。ここは朝行くと毎回不愉快な思いをしてしまいます。服務員の態度がなっていません。皆不機嫌そうで、頼んだ物がなかなか出てこない。間違ったものを持ってきてもお前の頼み方が悪いみたいなことを言います(これには驚きました)。
きっと服務員達は朝早く起きて、朝食もとらずに仕事をしているので10時近くになると機嫌が悪くなるのでしょう(笑)私が経営者ならば、服務員達に仕事前に朝食を食べさせるのですが。きっとこれだけで随分改善されると思います。夜はまあまあですからね。
いつも二度と来るかと思うのですが、忘れた頃にまた行ってしまいます(笑)
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この日は友人が朝食(ブランチ?)に付き合ってくれたのでいつもより品数多く注文することができました。
この日も菜芯、皮蛋痩肉粥は最後まで出てこず食べるのをあきらめて出てきました。

鍋料理

12月に入って肌寒くなってきました。2週間連続で鍋料理を食べました。
「山天」と言う野山菌(野生きのこ)の鍋を食べさせる店です。”野山菌湯鍋”といって美容と健康に良いとうたっています。全て野生のきのこと言うふれこみですが、ちょっと?
日本では見たこともないようなきのこがいろいろありました。
黒虎掌菌:日本にも有るが極端に少ないとあります。
紅乳牛肝菌:見た目は本当に牛レバーのようです。
鮮松茸菌:日本の松茸とはちょっと違っています。
老人頭金:スライスして鮑の様にして食べるきのこです。
蔵霊菌:西蔵の方で採れるそうです。
青崗松口蘑:ビタミンA、D豊富。
黄羅傘菌:シメジに似ています。
玉皇菌:俗称「平茹王」だそうです。
珊瑚菌:舞茸のようです。
鶏樅菌:味が鶏肉に似ているそうです。ん~
杏鮑茹:イッポンシメジに似ています。
鶏腿茹:鶏の腿に似ているからこういう名前だそうです。
それぞれのきのこの薬効説明がパンフレットに出ています。
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鶏一羽煮込んだスープにきのこ類や野菜を入れて食べます。「鮮松茸炖全鶏」スープだけで88元、これに好きな材料を発注し、次々と投入し食するわけです。

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この日のスープは「菌湯鍋」10元
この店の売りは一人当たりの単価が20-40元ということです。少人数のときは「菌湯鍋」、大人数のときは「鮮松茸炖全鶏」を注文しなさいとパンフレットに書いてあります。しかし2人だけでも服務員はしっかり「鮮松茸炖全鶏」を勧めます。