8月16日配信のメールマガジン「顧客満足」でブルートゥース・イヤホンの不良について書いた。
割安のブルートゥースイヤホンを購入したが、わずか一週間で壊れてしまった。
その代替え品もブルートゥースペアリングができない、充電ができない状態であり、代替え品を受け取ることなくまた交換となった。2回目の交換品は、ブルートゥースペアリングができ、スマホから音楽も聴くことができた。しかし喜んだのも束の間、翌日にはブルートゥースペアリングも充電もできない状態となった。
ここではたと気がついた。
取扱説明書を再確認すると、「5V1A以下」の充電器を使用する様指示がある。1回目の故障は、販売店で充電せずに持ち帰り自分で充電した。販売店の店員に指示された様に5V1A以下の充電器を使用していた。
一週間後に壊れるが、それまではちゃんと使用できた。
2回目の交換は既に販売店が充電しており、ペアリングも充電もできない状態となっていた。
3回目の交換はちょうど充電が完了したところでペアリングがうまくできたが翌日(内蔵電池が放電し終わった時点)に充電がで出ない状態となっているのに気がついた。
問題点は「5V1A以下」の充電器で充電すること、というマニュアルの記述だ。
自分で初期充電をした時は一週間後に別の症状の故障が発生。
2回目、3回目は販売店の大容量充電器で充電。2回目は充電後時間が経っており、自然放電で電池残量がなかった。3回目は充電完了直後だったので既に充電回路は壊れていたが、電池残量でその日は使用できた。
という経緯の様だ。
充電用の電源に電流容量の上限(1A以下)が設定してあるが、大は小を兼ねるのではないかと思われる方もあるだろう。しかし電池が放電状態の時に電流容量の大きな充電器を接続すると突入電流で内部の保護回路(例えばヒューズ)を壊してしまうことがありうるのだ。電源容量の少ない充電器は大きな突入電力を発生できないので問題は起きない。
今4回目の交換品を待っているところだが、販売店の店員さん(最初の購入時に、電源は1A以下を使用してください、と注意してくれた人)に。次回交換品が届いたら必ず1A以下の電源を使う様お願いをした。
普通に「大は小を兼ねる」と考えてしまうと、こういう事故が発生する。
電池駆動の製品を設計される方は、こういう点に気をつけられたら良いと思う。
内部の保護回路が突入電流で壊れてしまうなどの事例は、性能評価試験では発見できないだろう。妥当性評価試験に定格外の充電器を使用した場合の評価を追加するなどしたほうがよかろう。
消費者、販売店もマニュアルに書いてあることは守るべきだ。
(マニュアルに書いておけばなんでも良いわけではないが、クレームを受けた時に、多少は有利になるだろう)
メーカはただ代替え品を送るだけでなく、故障原因をきちんと調べておけば販売店にきちんとアドバイスができたはずだ。少なくとも品質保証部門に報告を上げていれば、同じ販売店から同じ故障モードの不良返却が続いている事に気がついたはずだ。そして次期製品からはその様な故障が発生しない製品設計ができるだろう。
このコラムは、2021年9月1日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1183号に掲載した記事です。
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