9月18日に第一回TWI成果発表交流会を開催した。
今年3月から、TWI-JI導入サポート、TWI-JI公開研修を開催して来た。
半年間の活動成果を発表し交流するのが狙いだ。
TWI-JIとは作業員に対する仕事の教え方を定型化した現場監督者技能のことだ。
教える内容、教え方を定型化することにより、人に依存せずに、いつでも再現可能になる。
以前生産委託先を指導していた時にこんなことがあった。
検査工程がネックになっており、製品が停滞する。このまま放置すれば、未検査品が下流工程に流出しかねないと考え、検査作業を観察した。その結果ムダな作業動作が多い事に気が付いた。作業方法を変更すれば、サイクルタイムが短縮できる。
班長を呼んで変更した作業方法を検査員に教える様にお願いした。班長は一生懸命教えてくれたのだが、作業員が教えられた通りに作業が出来ない。ついに班長が怒り出し、作業員が泣いてしまうと言う最悪の事態となった(苦笑)
この状況に気が付いた組長が教え直し、検査工程はスムーズになった。
この時の経験で、人に教えると言うのは個人のスキルに依存する技能だと感じた。誰でもが教えられる様に、教える方法を標準化する事の重要性に気が付いた。
当時は山本五十六の教授法を参考にし、我流の8ステップの教授法を考えた。
その後TWI-JIでは四段階教授法を使っている事を知り、8ステップよりずっとスマートだと感じた。
そんな経緯があり、TWIを勉強した。直接中国人監督者に教えられる様に、助手に日本産業訓練協会の公認トレーナーの資格を取得してもらった。
第一回目のTWI成果発表交流会では、3社から成果発表をしていただいた。
成果発表の一部をご紹介したい。
- 3台の設備を使う多工程持ち作業への適用
それぞれの設備のサイクルタイムが異なっており、手待ちになるのを恐れる作業員は、毎回違う作業手順で作業をしていた。この工程の作業分解をして標準作業を決めTWI-JIにより作業指導をした。その結果手待ち時間が見える化され、改善の対象が明確になった。現在手待ち時間を減らす活動を実践している。
そして、サイクルタイムが明確になった事により安全在庫の削減にまで活動が拡大している。 - 切断作業の効率向上
従来2台の切断設備を2人で作業していた。作業分解を実施する事により、2台の設備を1人で作業出来る様になった。しかも作業に習熟する期間を30日から7日に短縮出来た。
今後はTWI-JIによる指導の機会を増やしたい。新入社員研修、職場異動研修、多能工化研修ばかりでなく、作業効率が平均より20%下回ったときも再研修することにした。 - 導入してから6年目の活動報告
中国にTWIが持ち込まれたのが2008年、公認トレーナの教育プログラムが開始されたのが2009年なので、中国でもっとも古株のTWI活用企業の活動経緯は参加者に大きな感銘を与えた。
現在はTWI-JIは間接部門にも展開され、全社で活用している。
活動の結果2010年との対比で、生産性は1.6倍、工程内不良は1/3以下になっている。離職率も半減した。
これからTWIを導入しようと考えている参加者からは、
- 教え方を標準化しただけで生産性や品質がよくなると分かっていなかったので、違う活動の報告発表を聞いているのではないかと思ってしまった。
- 自分たちの改善活動は10%、20%の改善を目標にしているのに、今日の発表では50%、80%の改善が当たり前の様に報告されているのに驚いた。
- 発表の中に、外観検査員へのTWI-JI指導による教育訓練期間の事例があったが、自社も外観検査工程があり、参考になった。
等の感想が上がった。
- 導入時に社員の抵抗はなかったか?それをどう克服したか?
- 資料作成に時間がかかるが,どう克服したか?
- 導入後長く継続しているコツは何か?
等々、実際に苦労している実践者同士の交流は意義があったと思う。
この様な交流会により、活動推進者のモチベーションを上げる、同じ様に努力している他社の事例からヒントが得られる、など仲間同士で切磋琢磨して成長することができるだろう。
今後も半年に1回交流会を開催し、TWI導入成果をより上げるお手伝いをしたいと考えている。