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仕事のやりがい

 年末に不発弾処理隊の話しを、ラジオ番組で聞いた。
ラジオニッポンの「ザ・ボイス そこまでいうか!」(*)と言う番組だが、ポッドキャストで中国でも聴取可能だ。

日本には戦後70年の現在も2,200トンを越える不発弾が残っていると言う。
不発弾処理隊は、設立以来40年間で1,500回緊急出動し、1,700トンの不発弾を処理したそうだ。しかも、危険と隣り合わせの作業にも関わらず40年間一度も事故を起こしていない。なぜ1,500回もの緊急出動で、一度も事故が発生しなかったのか、隊員は危険と隣り合わせの仕事をどう考えているのか、非常に興味を持って番組を聞いた。

40年間毎日の仕事の積み上げの中で、作り上げて来た伝統が、隊員達を支えているのだろう。手順は全て決まっている。チームの役割も決まっている。先輩から教わった通りの作業を進めている間は、恐怖を感じないと言う。怖いと感じるのは、不発弾の構造が分からない時だけだそうだ。分からない時は処理作業をしない。分かるまで調べてから処理を始める。こういう伝統を先輩から代々受け継いでいるのだろう。

一人ひとりが、強く安全を願い、その思いが一人ひとりの技術を磨く。小さな失敗を、教訓として積み上げ仲間と共有する。一人のミスが、チーム全員の命を危険に晒すことになる。

これは伝統と言うよりは、組織文化と言った方がいいかも知れない。

隊員の内の何名かがプロと言う訳ではない。隊員全員が不発弾処理のプロだ。チーム内で議論する時は、上下関係はなくお互いにプロとして尊重し合い議論が進む。

命がかかった危険な任務だ。しかし隊員は全員志願して不発弾処理隊に配属されている。彼らのやりがいは、子供や住民からの感謝だと言う。命がかかっている、かかっていないは、問題ではない。それは自分たちだけが知っていれば良い事だと、少し照れながら隊員が話していた。不発弾処理隊に限らず、災害時に救援に出かける自衛隊員全員の思いも同じだろう。
激しくココロを揺さぶられた。

私たちの製造現場に命がけの作業が有ってはならないが、現場の従業員達が、自らの誇りにかけて、命に換えてでも仕事をやり抜く、そんな組織文化を作ることができたら、最強の製造部隊になるはずだ。

(*):『ザ・ボイス そこまで言うか!』は、ニッポン放送で2012年1月9日から2018年3月29日まで放送されていた報道番組。
飯田浩司(ニッポン放送アナウンサー)の司会で、長谷川幸洋(ジャーナリスト、宮崎哲弥(評論家)、有本香(ジャーナリスト)、高橋洋一(数量政策学者)らが日替わりでコメンテータを務めた。


このコラムは、2015年1月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第406号に掲載した記事です。

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中国南方航空機が滑走路誤進入 中部国際空港

 11日午後1時ごろ、中部国際空港で、瀋陽行きの中国南方航空698便(エアバスA319型機、乗客乗員42人)が管制官の指示に反して滑走路に進入し、この滑走路に着陸を予定していた全日空機が着陸をやり直すトラブルがあった。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は事故につながりかねない
「重大インシデント」と位置づけ、12日に調査官3人を派遣する。

 交信記録などによると、中部国際空港の管制官は午後1時4分、中国機側の求めに応じて滑走路途中からの離陸を許可。その上で、滑走路の手前で待機するよう指示した。中国機は「待機する」と復唱したが、停止線で止まらずに滑走路に進入。管制官は危険を避けるため、8キロ手前まで迫っていた全日空220便(エアバスA320型機、乗客乗員59人)に着陸をいったんやめるよう指示した。

(asahi.comより)

頭が痛い不適合である。

11月5日にご紹介した、
「スカイマーク機、着陸時にカートが動いて客が足を骨折」と同様に、「ついうっかり」事故は再発防止がなかなか難しい。

先回の記事ご紹介したように「ダブルチェック」と「ポカよけ」を仕込んでおく必要がある。

今回の場合「待機する」という復唱がダブルチェック対策として既に組み込まれている。それでもうまく行かなかった。多分復唱そのものが「習慣化」してしまっており、機能していなかったのではなかろうか?

プリント基板アッセイの組み立てでも、電気検査できない部品の極性を目視検査する場合がある。この場合検査漏れを防ぐために、検査済みの部品にマーキングをしたりする。これが一種のダブルチェックの役割を果たすが、マーキングそのものが習慣化してしまい極性が逆の部品にもしっかりマーキングしてある事がある。

今回の事故も「待機する」と復唱しながら滑走路に進入してしまったわけである。復唱そのものが条件反射的に行われ、頭の中は別のことを考えていたのであろう。

この復唱は自分自身によるダブルチェックである。当然自分自身によるダブルチェックよりは、他人によるダブルチェックのほうが効果が高い。

機長以外にも副操縦士がいるわけだから、管制塔の指示に対する復唱は機長、副操縦士の二名で行うようにする。と改善すれば、若干は改善できよう。

しかしこれだけでは不十分だ。
この手の不適合によって人命にかかわる事故が発生する可能性があるわけであるから、発生確率を減らすだけでは不十分である。ゼロディフェクトでなければならない。

「ダブルチェック」以外にきちんと「ポカよけ」を仕込んでおく必要がある。

いずれにせよ、機長が機長としての機能を果たせる健康状態、精神状態である事が前提である。一昔前になるが、日航羽田沖墜落事故の「逆噴射」のように故意に操作されてはどんな対策を仕込んでおいても効果は期待できない。

作業員、職員の健康状態、精神状態が品質に重大な影響を与えるにもかかわらず、意外とお座成りにされていないだろうか。

皆さんの組織では職員の健康状態、精神状態をどのように管理しておられるでしょうか?


このコラムは、2007年11月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第8号に掲載した記事です。

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活動の定着

 先週はカイゼン活動について書いた。
カイゼン活動もトップが指導して始めると、最初の頃は成果が出始めるのだが、なかなか継続して成果を出し続けるのが難しい。

特に5S活動のように継続そのものに意味があるような活動では、尻すぼみ現象は痛い。

ではなぜ活動が継続しないのであろうか?

それは活動の「目的」と「目標」をきちんと明示していないからだと考えている。
例えば「清掃」の目的、目標はきちんと従業員が理解しているだろうか。
どのくらい綺麗になるまで清掃をしなければならないか基準は明確だろうか?

何をしなければならないか(What)だけを伝えても不十分だ。
何故しなければならないか(Why)と何処までしなければならないか(Goal)を同時に伝えなければならない。

「Why」と「Goal」を共有することにより、メンバーの取り組む意欲がわいてくる。何事もメンバーを「その気」にさせないとうまくは行かない。


このコラムは、2008年6月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第40号に掲載した記事です。

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新技術には新ルール

 私が幼少の頃、母方の祖父が亡くなった時は電報で連絡が来た。今の若者で「ウナ電」という言葉の意味を知っている人はいないだろう。
電報どころか葉書を出す機会もほとんどなくなった。

私が学生の頃はコンピュータといえば工学部の計算機室に控えており、利用者はパンチカードを持って利用しに行った。

学会に参加した時に京都大学(だったと思う)の人が、インテル8080を使って実験データを実験中にその場で処理した、という発表を聞いた。

東京の企業に転職し、DECのミニコンで開発しているのを目の当たりにした。
地方都市の零細企業との差を実感したが、ミニコンのプログラム開発がラインエディタで行われているのに驚いた。当時からAPPLEはスクリーンエディタが使えた。

技術が進歩すれば、ルールも変わる。
通信技術の進歩により、電報は電話になり、手紙はメールとなる。
さらにコンピュータ処理はオンデマンドが当たり前となり、電車の乗車券は電子決済となった。

新しい技術には新しいルールを適用しなければならない。
コンピュータの活用は、バッチ処理からオンデマンドになった。つい最近まで発注伝票の処理が毎週末にバッチ処理するルールになっている企業があった。この企業に納品する会社は、週末に納品しに行ったら発注キャンセルと知らされ翌週月曜日に納期変更の伝票が届く、と愚痴をこぼしていた。

またMRPシステムを導入したが、一向に部品欠品や余剰が解決しない。原因を調べてみると、MRP導入後在庫管理を従来と同様に月に一回しか実施していないことが原因と判明した。MRPがあれば、棚卸しをしなくても在庫数量は正確に分かる。入出庫のたびに在庫確認ができるはずだ。


このコラムは、2021年3月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1107号に掲載した記事です。

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シンプルに考える

 「物事はシンプルである」エリヤフ・ゴールドラット博士の「ザ・チョイス」の根底にある考え方だ。

例えばパン屋さんは閉店時間が近づいて、売れ残りそうなパンばあれば値引きして売り切ろうと考える。逆に閉店前に売り切れてしまえば、販売チャンスを失う。
したがってパン屋の経営者は、「売れ残りがない」「売り切れがない」と、相反する目標を達成するために知恵を絞る。

顧客の需要が正確にわかれば、それに合わせて仕入れをすれば良い。
例えば地域全体のパンの需要動向が日々わかっていれば、連動させ仕入れ数を決めればいい。しかしそのような統計データはないだろう。日本全体の需要量、季節変動、曜日ごとの変動などがわかれば、予測はできるかもしれない。しかしそのデータは、明日自分のパン屋で売れるパンの数ではない。

パン業界という大きな塊で考えれば、需要予測はつくだろう。しかしその中の小さなパン屋では、変動要因が複雑でバラツキが大きくなる。実用的な予測は不可能だろう。

この問題はパン屋一軒ごとの問題ではない。パン屋は売れ残りを嫌って仕入れを少なめにする。多くのパン屋に出荷している製パン工場にとってみれば、大きな販売機会の損失となる。

売れ残った商品を割り引いて引き取る。という対策を製パン工場は考えた。
同業者も真似をし、割引率の引き上げという不毛な競争に陥った。

ここで「需要の予測は不可能である」とシンプルに考える。
製パン工場は1日一回だった出荷を、朝と昼の二回に変更した。
パン屋は午前中の売れ行きを見て午後の注文を確定する。午前中に売れ切れた場合は「お昼に用意しておきます」と顧客に言うことができる。顧客は親切なパン屋だと誤解(笑)するだろう。

顧客満足→パン屋の繁盛→製パン工場の業績向上の連鎖が完成する。

「顧客需要の予測」という恐ろしく複雑なことを「顧客需要は予測不可能だ。ではどうすればいいか」とシンプルに考える。

障害は時として、競合他社との競争に打ち勝つ障壁となる。


このコラムは、2021年3月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1115号に掲載した記事です。

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サマースカート販売目標、9倍増を計画 ユニクロ

 ユニクロは18日、発売中の女性用「サマースカート」の販売目標を、昨年の9倍に増やす計画を打ち出した。女性向けの衣料販売を強化する取り組みの一環という。

 すそが波打つ形の「フレア」や段重ねの「ティアード」、ワンピースとしても着られる「2WAY」などデザインは昨年の倍の6種類。レーヨンや綿など柔らかい素材を使って、肌触りの良さにも配慮した。

(asahi.comより)

 不況と言われる中でもユニクロは元気が良い。
このご時勢に9倍の売り上げ計画を立てられる経営者はいるだろうか?

業績不振を「世界不況」「消費者の購買行動」「不景気」に原因を求めても解決することはできない。一社の経営努力で世界経済を動かすことは不可能だ。自分達が制御不可能なところに原因を持ってきても改善することはできない。それはたんなる言い訳になるだけだ。

自分達が制御可能な領域で改善するしか方法はない。

ユニクロと言うと「フリース素材」「カラフルな色ぞろえ」で消費者の心をつかんだという印象を持っている。
今までユニクロのボトムと言えばパンツが定番だった。そこへスカートと言うユニクロにとって新しいサブマーケットに出るから9倍増の売り上げ計画を立てられるのではないだろうか。

では商品開発やマーケティング機能を持たない工場はこのような計画を立てられないのだろうか?

儲かる工場になるためには、生産工場も独自の開発・マーケティングをすべきだと考えている。市場動向をしっかり読み研究開発をすべきだ。

研究開発といっても商品開発だけではない。工場には工場の研究開発がある。
新しい加工技術の検討。既存の加工技術のパフォーマンス(生産性、加工精度)を一桁上げる。顧客の使い方を研究し、顧客満足が得られる納入方法を検討する。

これらを総称して製造工場の研究開発といっても良いだろう。

顧客から貰った仕様でモノ造りをするだけではなく、こちらから仕様が提案できれば顧客との関係は主従関係からパートナーになりうる。


このコラムは、2009年5月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第99号に掲載した記事です。

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高コンテキストと低コンテキスト

 私は「深セン和僑会」という勉強会にほぼ毎月参加している。
3月はJ&G HRアドバイザリー社長の篠崎正芳氏から『グローバル人材は、「違い」を「覚える」のではなく「違い」に「ピン!」と来て行動する!』というテーマで講演をいただいた。

その中で高コンテキストと低コンテキストという話をいただいた。コンテキストというのは「文脈」と訳される事があるが、「共通認識」という意味で捉えて良いだろう。

日本の常識は、高コンテキスト社会に支えられた常識であり、世界の非常識だ。
日本は単一民族の国家であり(正確に言えば、アイヌ民族や沖縄民族を数えるべきかもしれないが)「均一」な社会だ。そのため「阿吽の呼吸」が通じ、多くを語らないのが美徳とされてきた。

一方世界の他の国家は「多様性」に基づいた社会でありコミュニケーションがうまく行われないことを前提としている。そのため低コンテキストな社会になっている。

例えば中国の工場でローカルリーダに指導をすると、必ず言われたことを反復してくる。

まだ中国語が良く分からなかったころは、教えたことに色々いちゃもんをつけているのだと感じていた。何故教えたことを素直に受け入れないのか不思議だった。良く聞いてみるとただこちらの言っていることを反復していただけなのだ。

実はこれは外国人対中国人のコミュニケーションだけではない。
中国人同士の会話に聞き耳を立てていても、同じように相手の言っていることをお互いに確認しあいながら会話が進んでいる。

例えば、日本人同士なら食後「アレ取って」「ハイ」と爪楊枝が出てくる。
中国人同士なら「アレ取って」「アレって爪楊枝のことね。ハイ」となる。

これは中国語という言語がそうできているわけではなく、多様性社会の中に生きている人たちが必然的に身につけなければいけない処世術なのだろう。

世界の主流は「多様性」である。我々日本人がちょっと気を利かせるべきなのだと思う。今時日本国内でも若い人を「宇宙人」と呼んだりして、何を考えているのか分からないと嘆いているので尚更だ。

しかしこの低コンテキスト性は、考えようによっては非常に便利だ。
きちんと時間をかけて意思疎通を図る。中国人たちは元々それができている。我々日本人が、変わらなければいけない。

今日から「○○君。アレどうなっている?」というのは禁句にしよう。


このコラムは、2009年3月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第89号に掲載した記事です。

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合言葉は「絶好調!」 

 どのニュースも暗いものばかりだ。それをわざわざここで紹介することもないだろう。

苦しいときに苦しい顔をしていてはだめだ。
部下はいつもあなたの顔を見ている。いつの間にかあなたの沈んだ気持ちが全社に伝播してしまう。

経営者やリーダはネアカでなければならない。

今、目の前に困難が立ちはだかっているだけだ。まだ死んだわけではない。この困難を乗り越えれば、その向こうには必ずチャンスが待っている。

笑ってこう言おう「絶好調!」
これで自分自身と部下に困難に立ち向かう勇気が与えられる。
ネアカに笑い飛ばそう。笑いは最高の強壮剤であり、開運剤だ。


このコラムは、2008年12月22日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第72号に掲載した記事です。世界金融危機が発生し暗い世相だった頃に書いた記事です。

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失敗は成功の母

 エジソンは実験に失敗しても「うまく行かない方法を一つ発見した」と考えたそうだ。まさに99回の失敗から導かれた1回のひらめきで大発明は生まれるのだろう。

出来るまでやる。諦めないでやる。という姿勢があれば失敗はありえない。成功していなくても「その時点で」まだうまく行っていないというだけの話だ。

しかし99回も失敗を続けていると、モチベーションを維持するのが困難になってくる。そこで小さなマイルストーンをいくつもおく。マイルストーンごとの小さな成功体験が、モチベーションの維持に役に立つ。

小さな成功が大きな成功を目指すモチベーションになる。
そして長いスパンで自己成長を実感できるようにする。

しかしこれは時として諸刃の剣となる。過去の成功体験が邪魔をして新しいことに挑戦できなくなる。大会社にありがちだが経営判断をする経営トップ層が皆自身の成功体験を持っている。しかし経営環境は急速に変化している。過去の成功体験が判断を誤らせる事がある。

一方中小企業の経営者はどちらかといえば過去の失敗体験をバネに成長している人が多い。こういう人の方が経営環境の変化に対応が出来ると思える。

また自己成長も同様だ。
自己成長に満足した時点で成長は止まる。謙虚でなければならない。
大きな目標を見据えて、小さな目標を達成する。
次々と仕事のチャンスを与え、成長を実感させる仕組みをOJT計画の中に入れ込んでおく事が重要だ。

失敗は成功の母であると同時に成功は失敗の父でもある。


このコラムは、2008年11月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第64号に掲載した記事です。

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人財の育成

先週の記事「工場見学会」にメルマガ読者Z様からこんなメールをいただいた。

今週の雑感も、まったくその通りです。以前僕は中国で和服の縫製指導をしている女性から、「ものづくりを突き詰めていくと、結局は人づくりに辿り着く。だから私は、目指せ人事部長なのよ。」と聞かされたことがあります。また人材も設備と同じように広義のハードです。ソフトは買ってくることは出来ないのですね。それは美しい草木も、それにあった気候風土の中でなければ枯れてしまうのと同じですよね。
これは林様の工場指導そのものですよね。つまり、工場の改善方法を指導するのではなく、改善方法を自ら生み出せる体質への転換を指導するということです。本当に素晴らしいことです。

あまり褒めすぎなので、ちょっと居心地が悪い。おっしゃることはその通りだと思う。品質改善も生産性改善も最後は人だ。

人は学ぶ能力、努力する能力を持っている。これをきちんと引き出してあげるのが指導者の役割だ。
機械や設備は買ってきたその日から減価償却が始まり価値が下がる。しかし人は適切な指導をすれば雇ったその日から成長し価値が上がる。


このコラムは、2009年1月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第78号に掲載した記事です。

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