月別アーカイブ: 2019年11月

士たる者は如何に振る舞うべきか

gòngwènyuēwèizhīshì(1)
yuēxíngyǒuchǐ使shǐfāngjūnmìngwèishì
yuēgǎnwèn
yuēzōngchēngxiàoyānxiāngdǎngchēngyān
yuēgǎnwèn其次qícì
yuēyánxìnxíngguǒ(2)kēngkēng(3)ránxiǎorénzāiwéi
yuējīnzhīcóngzhèngzhě
yuēdòushāozhīrén(4)suàn

《论语》子路第十三-20

(1)士:周代の身分制度では士は貴族層の最下層。
(2)果:果断,坚决。断固として
(3)硁硁:石を叩く音、ここでは頭が硬い人を指す。
(4)斗筲之人:筲は竹で作った水桶。ここでは器量の小さい人物を指す。

素読文:
こう問いて曰わく:“何如いかなればこれうべきか。”
子曰わく:“おのれおこなうにはじり。ほう使つかいして君命くんめいはずかしめざるを、士とうべし。”
曰わく:“あえの次を問う。”
曰わく:“宗族そうぞくこうしょうし、きょうとうていを称す。”
曰わく:“敢て其の次を問う。”
曰わく:“言うことかならしんおこなうこと必ず硜硜然こうこうぜんとして小人なるかな。そもそももって次とすべし。”
曰わく:“今のまつりごとしたがう者は何如いかん。”
子曰わく:“ああそうひとなんかぞうるにらんや。”

解釈:
子貢問いて曰く「士たる者どのように振る舞うべきでしょうか?」
孔子曰く「己の行動について恥を知り、外に出ては君主を辱めない。このような人物であれば士といってよかろう。」
子貢曰く「その下はいかがでしょうか?」
孔子曰く「親族から孝行者と褒められ、近隣の者から年長者を敬うと評判されるような者だろう。」
子貢曰く「さらにその下は?」
孔子曰く「口に出したことは必ず守る。行動は断固として成し遂げる。このような者は頭が固く小人と言えるが、その次くらいの価値はある。」
子貢曰く「まつりごとに携わる者はいかがでしょうか?」
孔子曰く「ああ、だめ。小さなますほどの器量しかなく、勘定に入れるほどでもない。」

いつの世も為政者の評価は低いものですね(笑)

知識を行動に

 先週末は、方針管理勉強会に出席した。方針管理勉強会とは東莞和僑会で開催している勉強会だ。1年間かけて経営者・中国人経営幹部と一緒に方針管理・目標管理を勉強している。二期目の今年は6社が参加。メンバー企業を会場とし、相互交流をしながら勉強会を開催している。12月16日開催予定の最終回で次年度の事業計画を開催する事になっている。

勉強会事務局が精力的に運営しくれているので、私の出番は殆どない(笑)
今回は珍しく懇親会の後にスピーチをする事になった。「お疲れ様でした」と簡単に挨拶したら、事務局や参加しているメンバーからもっとしゃべれと叱られてしまった(笑)

そこで勉強会や研修について普段思っている事を短く話した。
30名程の参加者はほとんどが中国人であり、日本人経営者も中国語がわかるので中国語でスピーチをした。

『知識不如能力、能力不如行動、行動才有成果』
研修や勉強会で知識だけを覚えても、頭でっかちになるだけで役には立たない。
知識を実践する事で能力に変換する。ここまでは、研修や勉強会で達成出来る。
そして研修や勉強会の後に能力を活かして行動する事により成果が生まれる。
成果は知識や能力からは生まれない。行動によってのみ成果が生まれる。
と言う事を伝えたかった。

日系企業に勤務する中国人は、日本人が話す中国語に慣れているのだろう、私のいい加減な中国語でも理解出来た様だ(笑)

研修で達成出来るのは、知識を与え実践練習で能力に変換する。そして行動したくなる様に、学習者の意欲を高める所までだ。成果は学習者一人一人の行動によってしか生まれない。

参加者の中に以前私の研修を受けた中国人がおり、彼は他の参加者に『主動一点』(積極的に行動する)だと説明している。実は以前彼に『玉』の意味を尋ねた事が有る。当然何の事か分かるはずはない。これは中国語のなぞなぞだ。『玉』一字で四文字の言葉を推測する。答えは『主動一点』。

日本語で言えば以下の様になる。
玉とかけて、主動一点と解く。その心は「玉」の点を動かせば、「主」となる。

こんなくだらない駄洒落を彼は覚えていてくれて、以来自分の信条として部下にも教えている、と言ってくれた。
こういう事を言ってくれる弟子がいると本当に嬉しい。分不相応にも、孔子になった様な気がして有頂天になってしまった(笑)孔子の様な仁者であれば、にこりと微笑むだけであろう。しかし小人の私は、帰宅し床に入るまで嬉しさで心が満たされた。


このコラムは、2017年11月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第591号に掲載した記事に加筆しました。

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心臓手術ミスで4歳死亡 愛知・豊橋市民病院

 愛知県豊橋市の豊橋市民病院は6日、2010年に心臓病の手術を受けた男児(当時4)が、約10日後に死亡する事故があったと発表した。手術の際、血管に空気が入って心筋梗塞(こうそく)を起こしたためで、同病院は手術ミスを認めて謝罪した。
 男児は、心臓の壁に穴が開いたままになる「心房中隔欠損症」と診断され、心臓血管・呼吸器外科などの執刀医3人らが10年11月、穴をふさぐ手術をした。
 手術は、いったん心臓を止め、血管を人工心肺装置につないで行われた。その間、心臓を壊死(えし)させないように冠動脈に「心筋保護液」を流そうとしたが、装置のチューブの接続部が緩み、2回にわたり計32ミリリットルの空気が入ったという。
 このため、心臓に保護液が届かなくなって心筋梗塞を起こして死亡した。
 同病院によると、心臓手術の中では初歩的な手術で、死に至るケースはまれだとして、調査委員会を設置。スタッフが装置のチューブ接続部などをしっかり点検していなかったとして「人為ミスの可能性が高い」と結論づけた。

(asahi.comより)

 この医療事故の原因は,
「スタッフが装置のチューブ接続部などをしっかり点検していなかった」ではなく,
「心筋保護液回路に空気が混入した」ことである.

「点検をしっかりしていなかった」は流出原因であり,根本原因ではない.

「点検をしっかりしていない」という人為ミスに対して対策を考えると

  • 点検をしっかりする様に指導をする
  • 点検チェックリストを作り,点検漏れを防ぐ
  • 臨床技師と看護士のダブルチェックとする

という効果を実感できない対策となる.

根本原因「空気が混入した」に対策を考えると,以下の3分類の対策を考えれば良いはずだ.

  • 空気が混入しない様にする
    チューブ接続部分を,カチッとはまるコネクタ方式にする.中途半端な接続が出来ない様にする.
  • 空気が入っても問題ない様にする
    エアートラップを循環回路の中に入れる.
  • 空気が入ったらすぐに循環を停止する様にする
    気泡検出装置を付けておけば,自動で循環装置を停止させる事は簡単だろう.

人為ミスで解析を停めてしまうと,このような対策は出てこない.
上記の根本原因対策の実施が全て不可能だった場合は「しっかり点検しなかった」流出原因に対策を考えることになる.

  • 空気混入により事故が発生する事を知らなかった(あり得ないと信じたいが)
  • 点検箇所が漏れていた
  • 点検したが見つけられなかった(点検困難,誤判断)

それぞれの対策が変わって来るはずだ.

記事を読むと,今回の事故は術中に空気の混入に気が付いたが,正しく処置出来なかった可能性もある.つまり冠状動脈に入った空気を,迅速に抜く操作が出来なかった.
この場合も,上記同様に更に原因を掘り下げる.

  • やり方を知らなかった
  • やり方は知っていたがやり難かった
  • パニックになった

例えばパニックになる原因を更に考える.
初めての体験でパニックになったとすれば,シミュレーション訓練で防ぐ事が出来るはずだ.
術中に発生する可能性のある潜在事故を洗いざらい上げて,その対処方法をシミュレーションできる実地訓練を準備すれば,予防保全が出来るだろう.

工場でも同じ事だ.
事故や,不良の発生を潜在故障としてリストアップし予め対応方法を決めておく.いわゆるFMEAと同じだ.

勝手なことを書いたが,私は医学に関しては全くの素人だ。工学の専門家としての知見から、我々が遭遇する可能性のある事故に置き換えて思考実験をしてみた。


このコラムは、2012年7月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第265号に掲載した記事に加筆しました。

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失敗しないとダメ

――リチウムイオン電池の開発に入る前に三つの研究をしていた。その三つの失敗が成功につながった?

 「今日の講義の中でもその話をしました。失敗しないと絶対に成功はありませんよ、と。企業での基礎研究は、1人で2年くらいやる。見込みがあるかどうかみて、ないとなると次に行く。3番目までは見事に失敗しました。
4番目はリチウムイオン電池。それぞれ失敗した理由はある。失敗を生かした。失敗しないとダメだと思う」

朝日新聞より

 ノーベル賞受賞受賞決定後、名城大学で吉野彰教授が記念講義をされた。
その後の記者会見で上記のように答えておられる。

人は失敗しようとして失敗をしているわけではない。もちろん成功を目指している。当然未知のことに挑戦をしているのだから、失敗はする。しかしその失敗は成功するための失敗だ。失敗の原因を調べ再挑戦する。したがってこの失敗は成功のための失敗となる。つまり成功の過程にある失敗は、ほんとうの失敗ではなく、上手くゆかない方法の発見であり、成功への一歩だ。

本当の失敗とは、挑戦を諦めることである。


このコラムは、2019年11月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第901号に掲載した記事に加筆しました。

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不良原因分析

 先週は「GM~踊れドクター」というTVドラマをまとめて見た.

米国でトップレベルの総合診断医師が,ダンサーとして日本で再デビューする事を夢見て帰国する,というかなり無理な設定のTVドラマだ(笑)

仕事を終えて,ビールを飲みながらドラマを見ている.面白ければそれで良いのだが,一応そのドラマを見る事の意義を考えることにしている.
このドラマの面白さは,患者の容態,行動,言動から可能性のある疾患を上げ一つずつ検証確認し,消去法で真因に迫って行くプロセスに有る.

このプロセスが,我々の不良原因分析に似ている.
不良現品,生産現場を良く観察し,可能性のある不良原因を一つずつ仮説検証する.
ドラマでは仮説検証の過程で,新たな仮説が浮かび上がり更に検証を進め真因を見つけることになっている.

まさに不良原因分析のプロセスそのものだ.
ホワイトボードに,可能性のある不良原因を書き上げる.それぞれに検証方法を考え,検証により原因を一つずつ消し込んで行く.

ドラマの設定では,このミーティングの過程で研修医や問題の有る医師たちが成長して行く.

我々の仕事も同じだ.
不具合原因解析のプロセスを「見える化」することにより,メンバーが解析のアプローチ方法や考え方を身につけることになる.
客先から不良が戻って来た時に,深刻な顔をして考え込まないで,メンバーを集めホワイトボードに解析のプロセスを見える化しながら,解析をしてみよう.メンバーの成長チャンスだと思えば,客先不良にもそんなに落ち込まずにいられるだろう.


このコラムは、2012年7月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第265号に掲載した記事に加筆しました。

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プリント基板の白化不良

 先日オフィスでプリント基板の品質問題に関するご相談を受けた.
プリント基板に電子部品を実装し半田付けをした後に,プリント基板のところどころが白化してしまうという不具合が発生し,どう対策すればよいかと言うご相談だった.

このような不具合現象は,一般に「ミーズリング」「クレイジング」「ボイド」「デラミネーション」と呼ばれている.積層プリント基板の内部に剥離や気泡が発生するために,外観上白化した様に見える.

積層プリント基板は,回路パターンを形成する配線板の間に.プリプレーグと呼ばれる絶縁樹脂をサンドイッチして熱硬化させて作る.プリプレーグはガラス繊維に半硬化樹脂を浸み込ませたシート状になっている.

例えるならば,プリプレーグは生八橋のようなものだ.硬い八橋で生八橋を挟んでもう一度焼くと言うイメージだ.

ミーズリング,クレイジング,ボイド,デラミネーションはプリプレーグ部分に剥離,気泡,空洞が出来てしまう現象だ.

その原因は

  1. プリント基板積層後にプリント基板が吸湿し,その水分が半田槽による加熱で膨張する.
  2. 積層時のプリプレーグ硬化が不十分のため,半田槽の過熱により後硬化する.
  3. プリプレーグの保管状態が悪いため,吸湿しその水分が加熱により膨張する.

などが考えられる.

最後の3.が原因の場合,メーカで積層プリント基板が出来上がった時点で白化不良が発生しているはずだ.

メーカにおける材料・完成品管理,積層工程以降で吸湿しないかなどを確認する.自社での保管条件を確認する.などにより原因を特定し対策を立てなければならない.

納入直後のもの,自社で保管後のものを同一条件で半田槽に流して比較する.
白化不良する場所に偏りがないか調べる.
など現場・現物で確認をすればよいだろう.

プリント基板をベーキング(高温放置)すれば,改善するかもしれない.
しかしベーキングは銅パターン酸化のリスクがある.銅パターンが酸化すれば、半田付け不良が多発する.
ベーキングは真の原因をつぶさずに対処療法をするだけだ.一時的に改善しても,根本原因に対策ができていないので再発の可能性が高い.


このコラムは、2011年3月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第196号に掲載した記事に加筆しました。

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樊遅 農を学ばんと請う

fánchí(1)qǐngxuéjià(2)
yuē:“lǎonóng
qǐngxuéwéi(3)
yuē:“lǎo。”
fánchíchū
yuē:“xiǎorénzāifánshànghàomíngǎnjìngshànghàomíngǎnshànghàoxìnmíngǎnyòngqíngshìfāngzhīmínqiǎng(4)érzhìyānyòngjià。”

《论语》子路第十三-4

(1)樊迟:孔子の弟子。姓ははん、名はしゅあざなは子遅
(2)稼:穀物を植える
(3)圃:畑
(4)襁:子供を背負うカゴ

素読文:
はんまなばんとう。
子曰わく:“われ老農ろうのうかず。
つくることをまなばんとう。
曰わく:“吾はろうに如かず。
樊遅ず。
子曰わく:“しょうじんなるかなはんしゅや。かみれいこのめば、すなわたみあえけいせざるし。かみこのめば、すなわたみあえふくせざるし。かみしんこのめば、すなわたみあえじょうもちいざるし。くのごとくならば、すなわほうたみの子を襁負きょうふしていたらん。いずくんぞもちいん。

解釈:
樊遅は穀物栽培について教えを請うた。
子曰く「私は穀物農家にはかなわない」
樊遅は野菜の栽培について教えを請うた。
子曰く「私は野菜農家にはかなわない」
樊遅は退出する。
孔子曰く「樊遅は小人だ。上に立つ者が礼を重んずれば、民は上に立つ者を敬する。上に立つ者が義を重んじれば、民は上に立つ者に服する。上に立つ者が信を重んすれば、民は情を重んずる。もしそうなれば、民は四方から子を背負って集まってくるだろう。為政者に農業の知識など必要ない。

国を治める者にとって重要なのは、殖産興業の知識や技術よりも「礼」「義」「信」だ、ということです。

信頼性不良問題

 工程内の検査では不良が見つからず,市場で使用中に不良が発生するものを信頼性不良と呼んでいる.

寿命モードの不良,例えば
金属疲労,プラスチックの油脂クレージング割れ,金属のマイグレーション,半田クリープなどさまざまな信頼性不良がある。

本サイトのコラムで「信頼性不良」の事例を紹介している。

工程内検査では不良が見つからず.エンドユーザが使用中に1,2年経って不良が発生する.厄介な不良モードである.
信頼性不良が発生した場合原因の解析・対策をするのは当然だが,更に厄介なのはすでに市場に出荷してしまったものに対してどのような処置をするかということだ.

処置の仕方によっては,莫大な損失金額が発生する.

当然事業として生産活動をしているので,損失金額を最小限にするよう検討することは必要だ.しかし基本はエンドユーザを第一に考えることである.

直接顧客がセットメーカであっても,エンドユーザの立場で検討しなければならない.製品を供給した顧客は,エンドユーザに対して品質責任を持っているので,エンドユーザの立場に立っていない処置は受け入れてもらえない.

例えば銀行ATMのトランザクリョンを処理するノンストップコンピュータで信頼性不良が発生すると,エンドユーザである銀行に迷惑をかける.場合によっては新聞沙汰になり銀行の信頼が低下する.
しかしこのような製品の場合,一般的には保守体制が確立されており予防保全で不良が発生する前に部品を順次交換してしまうことができる.

本当に厄介なのは,民生品である.
例えば,一昔前はTVに使っている高圧トランス(フライバックトランス)の焼損事故がしばしば発生した.当事使用していたフライバックトランスは赤燐系の難燃材料を使用しており,赤燐が信頼性不良の原因となることがままあった.

民生品なのでエンドユーザでの使用環境は千差万別だ.前出のコンピュータの場合は空調の効いた電算室に設置される.したがって使用環境が一定しており,不良が発生する期間も読みやすい.

TVなどはラーメン屋の麺をゆでる釜の上に設置されている場合もあり,電気製品にとっては湿度・温度ともに劣悪な環境となる.

しかし民生品だからといって,許されない故障モードはある.
ただ画像が出なくなるだけならば大きなクレームにならない可能性が高いが,発煙事故となると話は違う.この場合は事故が1件2件発生しただけで,新聞告知で回収するなど莫大な費用がかかる.

他社の事例,異業種の事例などから自社製品への影響を読み取り事前に対策をしておくことが必要だ.このメールマガジンでもしばしば品質問題を取り上げているが,自社製品に当てはめて読んでいただきたいと考えている.


このコラムは、2009年10月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第119号に掲載した記事に加筆しました。

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電源コンセントの不良

 独立行政法人・製品評価技術基盤機構・NITEのホームページに2008年9月24日から9月30日までの事故速報が紹介されていた.事故速報79件中の3件が電源コンセントの不良と思われる事故である.

AC電源コンセント部分から火花が出て火災に至る事故だ.
現象だけから推定すると,ACコードのプラグを受ける金具の部分がゆるくプラグをくわえる接触圧力が不足したため接触が不安定になり火花がパチパチと発生したのであろう.

以上は日本での事故であるが,中国で販売している電源テーブルタップや,壁コンセントはすぐにユルユルになってしまう.事故統計データのようなものは見た事がないが,きっと多くの火災事故の原因になっているのではないだろうか.

特にソファーの裏側にある壁コンセントなど気をつけないと危ない.
ソファーに座るたびにコンセントに振動がかかる.ソファーの材質が燃えやすい.条件がそろっている.
NITEの事故情報を見てソファーの裏にある壁コンセントから電源ケーブルを早速引き抜いた(笑)

皆さんのオフィス,工場などの電源コンセントも一度点検をされてはいかがだろうか.火災に至らないまでも接触不良で電源が瞬断,PCのデータが飛んでしまった,などという悲しいことになりかねない.

ところで事故速報でもっと気になるのは複写機の背面から黒い煙が出たという事故報告が8件も発生していることだ.いずれも原因調査中になっているが,早く手を打たないと大きな事故につながりかねない.特に複写機は機械の周り,内部に紙が置かれているので容易に類焼してしまうだろう.


このコラムは、2008年10月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第46号に掲載した記事に加筆しました。

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不良データの取り方

 不良データはパレート図などで整理して,上位の不良から対策をする.というのが定石である.

しかしこの方法がうまく行かないと考えている方があった.
「現場が生産するときに支障となるような不良項目と集計上件数の多い不良項目とが一致するとは限らない。」という主張である.
そのため,「現場が優先して解消してもらいたいと思っている不良項目を確かめることが大事だ。」と言っておられる.

この方は不良データが役に立たないので,もっと現場の声を聞いて対応しようという主張をもっておられる.この考え方を否定するつもりは全くないが,別の考え方ができないであろうか.

現場の改善に役に立たないデータは集めても無意味である.品質管理部などの自己満足にしかならない.改善の役に立って始めてデータが活きてくる.

例えば,パレート図で不良数量が多い供給メーカを上位から順に品質改善をしても,現場の改善につながらないと彼は主張する.当然であろう.購入数量の多い供給メーカは,分母が大きいので不良数量でデータを整理すれば,上位に位置づけられることになる.

これはデータが役に立たないのではなく、テータの取り方が適切ではない.不良数量ではなく不良率でデータを整理すれば,購入量に左右されないデータが得られるはずである.

また工程が困る度合いと,不良率が一致しないと言う彼の主張もありうるだろう.
この場合は不良率でデータを整理しないで,不良による工程の停止時間、修理にかかる時間などの不良による損失でデータを評価すべきである.

データが役に立たないのではなく、データを取る目的をはっきりさせ,それにあわせたデータの評価をすべきだと考えている.


このコラムは、2008年8月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第46号に掲載した記事に加筆しました。

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