企業経営において方針管理・目標管理が重要であることには誰も異論はないと思う。方針管理・目標管理と方針と目標を対であげている。目標を上意下達で一方的に下ろすのではなく、方針を共有しそれに合わせた目標を現場の管理職・監督職で決定するという意味だ。
目標そのものを上意下達すればそれはノルマにしか見えない。しかし方針を上位下達し、現場で目標を設定すれば、現場の必達使命となる。使命とは文字通り命をかけたコミットメントだ。
それほど大袈裟なことではないかもしれないが、社長が鉛筆を舐めた目標よりは、自分たちで議論した目標の方が達成モチベーションは高くなる。
しかしこれだけでは弱い。
目標は期限内に達成したか、達成できなかったは明確に判断できる。
前職時に事業部長が業界ナンバーワンになるために年間売上500億という目標をぶちあげたことがある。500億円という数字には実感が湧かなかったが(笑)業界ナンバーワンという目標には心躍った。しかし上期が終了した時点で、
年間500億円は到底無理だと判明してしまった。メンバーのモチベーションは急降下、下期の成績も振るわなかった。
当時金額で目標を設定するから、達成不可能と判明するとモチベーションが維持できないのだと考えていた。
しかし目標は具体的な数値でなければ評価しにくい。後に自分たちで設定した目標を必達目標とするための「ココロ」が欠けていたと気が付いた。「ココロ」とは抽象的な言い方だが、組織の存在意義と理解していただきたい。自分たちが仕事をする目的が目標につながっていなかったということだ。
企業には経営目的とか経営理念がある。それが「ココロ」だ。経営目的や経営理念は、今期達成する・しないというモノではない。企業が存続する限り持ち続けるモノだ。
組織のメンバーが「ココロ」を共有し、それに反していない限り目標を達成できなくても、来年頑張ればいい、ということになるはずだ。
残念ながら、業界ナンバーワンという目標は1年で終わった。
このコラムは、2019年9月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第876号に掲載した記事です。
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