子之(1)武城(2),闻弦歌(3)之声。夫子(4)莞尔(5)而笑曰:“割鸡焉用牛刀?”
子游(6)对(7)曰:“昔者偃(8)也闻诸(9)夫子曰:‘君子学道则爱人,小人学道则易使也(10)。’”
子曰:“二三子(11),偃之言是也,前言戏之(12)耳(13)。”
《论语》阳货第十七-4
(1)之:行く。
(2)武城:魯国の小さな町。子游が武城の宰相を務めていた。
(3)弦歌:琴の音に合わせて歌う。
(4)夫子:孔子に対する尊称。
(5)莞尔:微笑する。
(6)子游:孔門十哲のひとり。姓は言、名は偃、呉の人。
(7)对:(目上の人に対して)答える。
(8)偃:子游の名。
(9)诸:これ。後ろの“君子学道则爱人,小人学道则易使也”を指す。
(10)易使也:従順になりやすい。
(11)二三子:弟子たちに呼びかける言葉。
(12)戏之:冗談を言う。
(13)耳:〜しただけ。
素読文:
子、武城に之き、絃歌の声を聞く。夫子莞尓として笑いて曰わく、鶏を割くに、焉んぞ牛刀を用いん。
子游対えて曰わく、昔者偃や、諸を夫子に聞く。曰わく、君子道を学べば則ち人を愛し、小人道を学べば則ち使い易し、と。
子曰わく、二三子、偃の言是なり。前言は之に戯れしのみ。
解釈:
武城を歩くと弦歌の声が聞こえる。孔子は、微笑みながら「鶏を割くのに牛刀を使うまでもなかろう」と言われた。
子游は「以前私は、師から「為政者が道を学び民を愛し、民が道を学べば、治めやすい」と学びました」と孔子にいう。
孔子は、門人たちに向かって「子游のいう通りだ。今私が言ったのは冗談だ」と言った。
門人の子游が治めていた武城の街を歩くと、人々の文化の高さや治安の良さを感じた孔子は、嬉しくなり思わず「牛刀割鶏」と言ってしまったのでしょう。