タグ別アーカイブ: 問題解決

続・因果関係と相関関係

 先週のメルマガ「因果関係と相関関係」では、相関関係を因果関係と間違えてしまうと問題は解決しない、と書いた。当たり前のことだが、ではそうならないためにどうするか、という肝心な部分が抜けていた。

もう一度先週の事例で検証してみよう。

“アイスクリームの売り上げ高と森林火災はどちらも夏に増えるので相関関係 がある。しかしそれは因果関係ではない。”

森林火災が発生する(結果)→アイスクリームの売り上げが高いから(原因)これはどう考えても成立はしない。因果関係を逆から読んでみると分かり易い。“アイスクリームがたくさん売れると森林火災が発生する。”これは論理的に成り立たない。

アイスクリームの売り上げが高い時に森林火災が多い。
森林火災が多い時にアイスクリームの売り上げが高い。
因果関係を逆にしても両者ともに成り立つ。
つまり相関関係はあるが、因果関係はないということだ。

不良発生(結果)→新人が作業したから(原因)
因果関係を逆から読むと、新人が作業をすると不良が発生する。一見因果関係のように見える。しかし新人が作業しても不良が発生しない場合もある。原因と結果を逆から読んだ時に原因→結果として成り立たない。

新人作業と不良発生の因果関係の間に、作業がやりにくい、作業に熟練か必要などの要因が隠れているから、相関関係はあるが直接の因果関係はない。

相関関係と因果関係を見分けるのは、相関関係は逆にしても成り立つ。因果関係は逆にすると矛盾する。と覚えておくと良いだろう。

しかし相関関係があるということは、因果関係が潜んでいる可能性がある。

森林火災とアイスクリームの例で言えば、
夏になると高温になる→アイスクリームが売れる。
夏になると高温低湿度になる→森林火災が起きやすくなる。
気候は制御できないかもしれないが、夏に火災予防活動をすることはできる。

新人作業と不良発生の例で言えば、
作業しにくい→作業不良が発生し易い→不良が発生する
新人→作業に不慣れ→作業不良が発生し易い→不良が発生する
つまり「作業しにくい」「作業に不慣れ」を解決すれば不良を減らせる。


このコラムは、2018年1月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第614号に掲載した記事です。

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因果関係と相関関係

 問題解決のための必須条件は正しい原因分析だ。一時的に問題が解決した様に見えても、正しい原因に対策出来ていなければ、問題は必ず再発する。

例えば「作業ミス発生」という問題の原因を調査した時に、作業ミスをした作業員の勤続年数を調査して見た。明らかに勤続年数と作業ミス件数に負の相関が見られる。特に1年未満の作業員の作業ミス件数が多いことがわかった。
従って作業ミスの原因は新人が作業をしたことにある。
ちゃんとデータにより確認をして、正しい分析をした様に見える。しかしこの調査で明らかになったことは、因果関係ではなく相関関係だ。

原因は「〇〇作業がやりにくい」「〇〇作業に習熟度が必要」となるはずだ。
そして対策は〇〇作業の改善となる。新人作業が原因となれば、新人には作業させない、とか教育訓練という非現実的または効果の期待できない対策となる。「〇〇作業がやりにくい」と原因が特定できれば、作業改善ができなくとも具体的な教育訓練方法を改善案とできるはずだ。

今「ジョブ理論」という書籍を読んでいるが、この書籍にもわかりやすい例で因果関係と相関関係の取り違いが紹介してあった。

アイスクリームの売り上げ高と森林火災はどちらも夏に増えるので相関関係がある。しかしそれは因果関係ではない。「ハーゲンダッツを買ったからといって誰もモンタナ州の森に火をつけたりはしない」

参考:「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」クレイトン・クリステンセン著


このコラムは、2018年1月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第611号に掲載した記事です。

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不良原因分析

 顧客クレームや工程内不良に対する原因分析、再発防止対策検討は日常的に行われていると思う。顧客クレームは無い方が良いが、工程内不良が無いと改善のチャンスが無くなる。工程内不良の処置(修復、やり直し、在庫の全数再検査)に追いまくられ、改善のチャンスを逃してしまってはもったいない。
本当の原因を特定する事により、有効な再発防止が可能になる。原因分析で手を抜くと、有効な再発防止が出来ずに「慢性不具合」となる。

原因分析のコツについて書いてみたい。

我々の様な凡人が天才と同水準の仕事をするためには、一人ではなく複数で智慧を出し合う。そのための手法がQC手法に代表される管理技術だ。
魚骨図が原因分析手法としてよく活用される。
しかし魚骨図は、原因分析手法というより原因となりうる要因を沢山列挙する手法と言った方が良い。何も無い所から要因を列挙するより、中骨として、例えば人、物、設備、方法の4Mで分類すると、要因を発想しやすくなる。
他人の発想を図にまとめて可視化する事により、更に新しい発想が出る。
このようにして列挙した要因が、真の原因かどうか検証する。それが原因分析のプロセスだ。

問題の要因を発生原因と流出原因に分けて、再発防止対策を考えるとよい。
発生原因が根本的な原因であり、流出原因は根本問題を見逃してしまう原因だ。

例えば、製品内に金属異物があり絶縁不良発生、という問題を考えてみよう。
金属異物が発生する、というのが根本問題だ。絶縁検査で不良を発見しているので流出問題は無い、と考えてはいけない。
発生した金属異物を自工程で発見出来ない、除去出来ない、というのが流出だ。

根本原因、流出原因に対してそれぞれ再発防止対策を考える。
この時に重要な事は、根本原因を根絶させる事が出来れば、流出対策は不要だという事だ。流出対策に重きを置いている再発防止対策をしばしば見かける。

流出防止対策は製品に付加価値を与えない。前出の例で言えば、加工時に発生した金属異物を除去するという作業や、耐圧検査は付加価値を生んでいない。品質を保証するための付帯作業だ。可能であれば削除、出来る限り短縮したい作業だ。しかし全数検査を2度やる等という対策をしばしば見る。
根本原因対策に重きを置けば、従来行っていた付加価値を生まない検査作業を削減出来る事すらある。


このコラムは、2016年12月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第507号に掲載した記事に加筆したものです。

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問題解決の第一歩・認識

 先週のコラムでは、問題解決の第一歩は問題を正しく定義する事だ、と書かせていただいた。

完成品倉庫が狭いのが問題ではない。問題を正しく定義すれば、出荷量より多く生産する事である。

完成品倉庫が狭いという「現象」は簡単に認識出来る。
従って、完成品倉庫が狭いという解決課題を定義しがちだ。解決課題が間違っていれば、問題は解決しない。

しかし実際の生産現場では、問題を認識出来ていない事が多い。
認識は出来ていても、「こんなモノだ」という現実受け入れ型の「諦め」が改善のチャンスをつぶすことになる。

例えば、エンジンのクランクシャフトを鍛造加工して、要求精度に仕上げる。
この方法では歩留まりは70%ほどだそうだ。従って後工程で切削加工をする。これが「諦め」だ。

歩留まり70%を受け入れてしまうと、削り代(けずりしろ)をみこんで鍛造加工し切削加工を追加することになる。材料も追加加工もムダだ。

歩留まり70%を諦めなければ、方法を考えることになる。
鍛造加工前に、たたいてあらかた形を作る。これだけで歩留まりは90%になったそうだ。

ダイキャスト成形をする時は、金型を交換して数ショットはきちんとした製品が出来ない。これを「試し打ち」として諦めてしまえば、改善はない。
試し打ちがムダであるという認識を持つことにより、改善が出来る。

試し打ちがムダだという認識を持てば、なぜ金型交換後のショットがうまく行かないか考える。金型の温度が上がっていないから、材料が金型の隅まで回らない。では金型の温度を上げれば良いだけだ。
金型の温度を上げる方法はいくらでも思いつくはずだ。


このコラムは、2012年8月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第270号に掲載した記事に加筆したものです。

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問題解決の第一歩

 問題解決の手法は沢山ある。
問題解決の一番重要なステップは、まず始めに課題を正しく定義する事だ。

例えば、
「受注が多くて出荷が間に合わない」というのは課題ではなく、現象だ。
正しい課題は「生産能力がなりない」ということだ。

同様な例を挙げると、
「製品倉庫が狭い」というのは課題ではなく「出荷より沢山生産してしまう」
ことが課題だ。

出荷不良を「検査をしているのに不良が顧客に流出する」と課題定義してしまうと「検査を強化する」という不毛な解決案が出て来る。
正しい課題は「工程内で不良が発生する」という事であり、これに対策をすれば「工程内不良をなくす」という本質解決を目指すことになる。
もちろん一足飛びに、工程内不良をなくす事はなかなか難しい。暫定的に検査強化をする事もあるだろう。しかしあくまでも「暫定対策」であることを明確にしておかなければならない。

問題の表層を見入るのではなく、本質を見て課題を定義しなければならない。

もう一つ重要なのは、課題を「自責」で定義する事だ。

上述の「出荷が間に合わない」を、顧客の注文が多い(他責)とすれば自分たちでは解決が出来ない。生産能力不足(自責)と課題を定義するから改善が出来る。

極端な例を挙げたが、意外とこの落とし穴にはまっている例を良く見る。

従業員の能力が足りないから、単純作業だけさせる。というのは、課題を従業員の問題(他責)として定義しているから、効果的な問題解決が出来ない。
従業員の育成が不足している(自責)と課題を定義すれば、いくつも解決案が出て来るはずだ。

「他責」は愚痴やあきらめしか生まない。
「自責」が工夫と改善を生む。


このコラムは、2012年8月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第269号に掲載した記事に加筆したものです。

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