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続・医療事故

 先週のメルマガでは、医療ミスによる事故死について書いた。

「医療事故」

航空機、自動車、医療過誤による死亡件数を調べてみた。

  1. 航空機事故死:約1件/500万フライト
  2. 交通事故死:約1件/1万台・年
  3. 医療事故死:約8.3件/1万病床・年
    (交通事故、医療事故は米国内のみ)

航空機事故による死亡確率が桁違いに小さい。年2回春節休暇と国慶節休暇で帰国する私は年に4回航空機を利用する。多分一生航空機事故に遭遇することはないだろう。
交通事故死、医療事故死は桁違いに高い。

  • 航空機事故
    事故や重大インシデントが発生すると、第三者が徹底的に原因調査を実施し、
    全航空会社に再発防止対策、未然防止対策を勧告する。
  • 自動車事故
    警察が取り締まり・罰金により事故発生を抑止する。
  • 医療過誤
    医療業界は事故を隠蔽する。

この違いが事故の発生確率に大差をつけている。隠蔽は論外だが、取り締まり・罰則も無力だ。工場内の事故も同様だろう。


このコラムは、2020年7月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1003号に掲載した記事です。

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続々・道具に神が宿る

 99号の「道具に神が宿る」に対するS様のメッセージから引き続き話題を広げたいと思う。

私は日本人の勤勉さの根底に「道具に神が宿る」という精神性があると考えている。道具に感謝する、道具を大事にする気持ちが日本人の勤勉さの基本であり、工業立国を支えた精神性だと考えている。

中国の生産現場を見ると残念ながらそういう気質は感じられない。
ペンチをハンマー代わりにする.エアードライバーをリュータの代わりにしてネジ穴周りの塗装を剥がす。こんなことを平気でやる。

仕上がりだけを見ても道具に対する愛情・尊敬の念が感じられない。
私の住んでいるアパートの扉についている蝶番を止めるネジは2/3がネジ頭のプラス溝が潰れてしまっている。

同じようにNC加工機を使っても、日本のように機械に名前をつけて可愛がるという発想は世界的に見てもまれなのではないだろうか?愛情を持った扱いが、徹底的なメインテナンスや加工機を自らの工夫で進化させようという意欲につながると考えている。

欧米では「一神教」をベースとした宗教観により機械を擬人化する事が宗教的忌避となる。中国にも道具に対する愛着は長い歴史の中にあったはずだと思う。しかし現代中国は職人の腕を育てるよりは新しい加工機を買うと言う即効性重視に陥っている。

私はNC加工機などの設備も「道具」と位置づけている。定義の違いを考えると、実はS様の考えと私の考えには共通性があるのではないだろうか。

☆S様のメッセージ

ちなみに、上記のマシニング加工機などマザーマシンと呼ばれる加工機も日本は物真似から始めました。弊社の自動旋盤も、今は日本製が世界の主流ですが、50年前はスイスのトルノス社のコピーでした。
 自動車も然り。その他の家電製品類も舶来と呼んで輸入品が最高だといわれた時代もありました。でも工作機械でも自動車産業でも、コピーから創めた産業が、世界一と呼ばれるまでになった。
 そこにあるものは、職人気質ではなく、「先生に追いつきたい!」との日本人の勤勉性だったと思います。
その日本人の特性が裏目に出た産業が時計産業ではないでしょうか?
生産数量は世界一!機能だって、時を刻むという性能だって世界一です。SEIKO,CITIZEN,CASIO…これらのメーカーに勝る海外企業はありません。
でも、クォーツでもなく、時を刻む精度もそれほどでもないスイス製のほうが、今でも相変わらず高級品です。
 安くて良いものを大量に生産する。そんな「効率的モノづくり」を成熟させすぎた結果でしょうか…
今の時代は半導体産業と民生商品では携帯電話が、そんな道を歩んでいるように小生には見えます。

  • 安くするために、大量生産を続ける
  • 不良品を防ぐために、標準化された生産ライン=誰でも同じ品質=職人の排除
  • ハードウエアではなくソフトウエアで機能を構成する。=簡単なモノ造り

そんな構成の産業は、いずれ中国に持って行かれるでしょう。そうなった時に、時計産業のように高付加価値のモノづくりをどのように見出すか?
日本企業の命題は非常に大きいと思います。

「効率的モノ造り」の功罪

セイコーは世界で初のクウォーツ腕時計を商品化している。
これも物真似と揶揄されるかもしれないが、他の発明品を1/1000の大きさにするのも一つの発明だ。
 ところがS様がおっしゃるとおり、廉価品を大量生産したところに今日本が弱体化してしまった遠因がある。もちろん当時はモノが行き渡ってなく、廉価なモノを大量に要求している市場があったので、当時の考え方が間違っていたとは思わない。
 生産の効率と品質を上げどんどんコストダウンをしてモノ造りをした。その結果モノと一緒に「貧乏」も量産してしまった。

今はマーケットのあり方が変わってしまった。
規格大量生産品は作れば作るほど「貧乏」になる。
顧客が欲しがるモノを少しだけ造る時代だ。
スイスの高級時計路線はこれを頑なに守っているのではないだろうか。

コストダウンばかり考えるのではなく、顧客が価値を感じるところには思い切ってコストをかけてゆく、という発想の転換が必要だと考えている。


このコラムは、2009年6月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第101号に掲載した記事です。

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続・道具に神が宿る

 メルマガ99号の「道具に神が宿る」に読者様からメッセージをいただいた。

S様のメッセージ

今回の「道具に神が宿る」という理念があるから「モノを造る道具が作れる」と、つなげるのはいささかの論理の飛躍を感じますね。
「手にする道具」だからこそ道具に対しての愛着も沸くし、それを捨てるにも供養のひとつもしたくなるものです。しかし、近年のモノづくりは数値制御で成り立っている側面があります。そこには、道具にこだわった昔の職人気質は存在しません。
 当社も事業部単位で仕事をしており、その事業部のひとつに自動旋盤部門がありますが、過去のすべてがカム等のメカで構成されていたものと、近年のNC化された機械とでは、現場における機械に対する愛着がまったく違います。
旋盤のバイト研磨方法や取り付け方ひとつでまったく品質の違うものが出来上がった時代と、機外のツールセッターでセットすれば、機械がATCでツールチェンジして加工する。現場のオペレーターに求められるのは「刃物を取り付けるコツ」などではなく、NCプログラムを短時間で組める能力です。
「俺の若い頃は…」という時代です。そこには、機械装置に愛着が生まれる。道具を愛する概念は存在しません。

本当はS様からいただいたメッセージはもっと長文であり、一回ではご紹介しきれない。一部を抜き出した。

S様のおっしゃるとおり、加工機のNC化により一定レベルのモノ造り能力は「大衆化」してしまったといって良いだろう。機械を買えば一定レベルのモノは作れる。これが今の中国工場のレベルではないだろうか?
 私が申し上げたかったのは、更にその上を行くモノ造りだ。NC加工機を使っても、最後は刃具を研げる職人の腕で決まる。
 例えば砲丸投げのタマ。オリンピック砲丸投げ選手が使っているタマはほぼ100%北関東の町工場で造られたものだそうだ。TVで見たが、町工場の親方が旋盤を使って手で削りだしてる。
「ほらここでちょっと手ごたえが変わるでしょ」と言いながら旋盤のハンドルを回していた。
 オリンピックアスリートには、ただの鉄のタマから職人の手肌のぬくもりが伝わるのではないだろうか。それがアスリートの絶大なる支持を得ている理由だと思う。

 こういうモノ造りのことを皆さんにお伝えしたかった。

もちろん規格大量生産製品でこんなことはできない。一つずつ手作りできる製品だからできることだ。しかし規格大量生産品がどんどん売れる時代はもう過去のものだ。世の中にはすでにモノがあふれている。規格大量生産品は安い値段でしか売れない。大量に生産しても売れ残るのが落ちだ。
 規格品から顧客の価値観に重点を置いたモノ造りに方向転換をしなければなるまい。それにはNC加工ではなく高品質・高付加価値のモノ造りが必要だ。その基本となるものが「道具に神が宿る」という日本的精神なのではないだろうか。

どうも今回も飛躍しすぎたようだ(笑)


このコラムは、2009年6月1日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第100号に掲載した記事です。

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道具に神が宿る

 以前「道具」というテーマで記事を書いた。今読み返してみると、随分そっけない書き方だ。今回はもう少しこってり書いてみようと思う。

モノに魂を見る、というのは日本人特有の民族性ではないだろうか。針供養など使い古した道具が供養され神になる、という精神性を他の国では寡聞にして聞いた事がない。
日本の文化というのは民族の均一性を土台としている。したがって神が複数あることを恐れない。実際日本には「八百万(やおよろず)の神」がおわす。仏教に「山川草木悉皆仏性」という言葉があるが、自然やモノに神が宿るという考え方をしている。

一方一神教の世界では神が複数存在することそのものが脅威である。繰り返し行われている宗教戦争を見れば一目瞭然だ。ロボットが神を冒涜する存在だと言う議論は我々日本人には理解できない。創造主以外が人間的な物を創り出すことに宗教的忌避を感じるのだろう。
彼らにとっては神は唯一無二の絶対なるものだ。したがって道具に神性など見出すはずはない。

日本のモノ造りを支えてきたのが、この「道具に神が宿る」という精神性ではなかろうか。日本のモノ造りががまだまだ優位性を保っているのは、「モノを造る道具が作れる」というところにあると考えている。
生産設備が作れる、生産設備を作るための設備が作れる。という競争優位点はまだ日本国内に残っていると考えている。これらのモノ造りの現場力は日本の文化が背景となって育て上げられたモノだと思う。

日本的モノ造りの心が外国に伝わってもその国の文化に沿って独自の形で進化定着することになるだろう。今我々が見ている中国の生産現場はまだまだ物真似の段階である。日本的モノ造りの心が中国でどのように進化するかを知るには、あと10年20年の時間が必要だろう。

その間日本国内に残っているモノ造り、残さなければならないモノ造りを更に進化させなければならない。日本が忘れかけているモノを進化させなければならない。


このコラムは、2009年5月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第99号に掲載した記事です。

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続・若手中国人リーダ

 先週紹介したC君と同じ工場で働く製造部長さんを紹介したい。彼も30代の有望な若手中国人リーダだ.

彼の職場の改善指導をした時に、物のおき方を変えるともっと効率よく作業できますよ。という話をした。

次の回に訪問した時に、彼から加工前の部材置き場を変えたら生産性が17%上がったと報告を受けた。きちんと作業員の歩行時間を評価して立派な報告であった。

自分でちゃんと考え実行に移す。それを相手に分かるようにプレゼンする。簡単そうだが、これがきちんとできる人はそうは多くはない。

しかし私にはちょっと物足りない。
実はこの歩行時間は「外段取り」にできるはずなのだ。彼は私のヒントだけで改善はできたのだが、改善効果は明らかに「机上計算」だけだ。そして歩行時間を「外段取り」にすることに気がつかなかった。

彼にはもっと現場でモノを考えるように指導する必要がある。


このコラムは、2009年4月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第94号に掲載した記事です。

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若手中国人リーダ

 大手日本企業の中国工場で働くC君は、会社の現地化政策によりこの4月から副工場長に昇格した。

初めて彼と会ったとき生産現場の指導で「ここはこうしたらどう?」と質問をしたら「実は同じことを上司に提案しました」と切り替えされた。よくいる口先だけは立派な事が言えるが、行動が伴わないタイプかなと思ってしまったが、どうも違ったようだ。その後彼と一緒に現場で指導をしていて分かった。

訪問指導日の朝、ミーティングの時に「今日の課題」を彼から言って来る。簡単なことのようだが、これができる中国人若手リーダはそうはいない。与えられた課題をこなす事が出来る人はいくらでもいるがいつも物足りなく感じていた。

自ら課題が提起できるのはリーダとして重要な資質だ。

またC君は全く遠慮なく私をこき使ってくれる(笑)
今まで指導した工場で中国人リーダから直接質問や依頼のメールを受けることはなかった。彼は「○○をコストダウンしたいが、良い方法(材料)はないか」とどんどん私に仕事をくれる。

他部署の力をうまく借りる人間性も備えているようだ。

職場では部下の作業員を集めてしょっちゅうミーティングをしている。面白いのはミーティングが終わるときに、自分がポンと一つ手を叩くと参加者が「了解」の合図のように全員でポンと手を叩くようにしている。まるで決起集会のあとの一本締めのようだ。

C君は自分の部下ではないが、このような人材と一緒に仕事が出来て彼の成長の手助けができれば、こんな光栄なことはない。


このコラムは、2009年4月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第93号に掲載した記事です。

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見る

 見るという行為は、視覚で外界を知覚することをいう。その他に看る、観る、視る、診ると使い分けることがある。

看る:見守る。世話をする。
(例)新人の面倒を看る。病人を看る。
観る:対照を眺めて見る。
(例)映画を観る。観光地を観る。
視る:注意して見る。
(例)不良品を詳細に視る。熟練工の手の動きを視る。
診る:調べて判断する。
(例)脈を診る。医者に診てもらう。

生産現場での「見る」行為は漠然と見るのではなく、注意して「視る」判断を伴う「診」である必要がある。

ところで見るという行為は、個人の思考に依存する。したがって見えないはずのモノが見えたり、実際にあるものが見えなかったりする。

例えはこの動画は6人の男女が2個のボールを動きながらパスをしている。
動画を見て、何回パスをしているかを数えるよう指示される。
その結果が正解であろうと不正解であろうと、重大なことを見逃してしまう。

生産現場で「視る」にせよ「診る」にせよ、虚心坦懐、既成概念を捨てて見る必要がある。そのためには「現場百度」何度も見ることだ。生産現場で見ようとしているモノは、そこにあるから見えるのではない。見ようという意思があるから見えるのだ。


このコラムは、2020年5月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第984号に掲載した記事です。

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グローバリズムの功罪

 私が子供の頃は、日本は資源のない国なので資源を輸入して加工した製品を輸出することにより国を豊かにする、と習った。勤勉な日本国民はその教えにしたがって懸命に働き、世界の工場といわれる国になった。一方農業は食料安全保障の名の下に、農家が過剰に保護され産業化が進まなかった。

そして世界がグローバリズムに走り出した。製造業は一斉にローコスト労務費を目指して海外に工場を移設。国内の空洞化が始まる。ローコスト生産国だった中国の生活水準が上がり、高消費国になる。力を付けた中国の製造業が開発途上国市場のシェアを伸ばし始める。

そして今回の新型コロナウィルス禍によって日本の国力の脆弱化が露呈した。国内ではマスク一つ作れない状態になっているのに気付かされた。
最近のニュースではアイリスオーヤマがマスク生産に乗り出し、中国から生産設備を導入した。激しく落胆した。生産設備まで中国に頼るようではモノ造り日本の誇りはどこに行ったのだと言いたい。

マスクが作れないのは大きな問題ではないかもしれない。しかし生産設備まで中国に依存するようでは、モノ造り日本の威信は失われたといわざるを得ない。

グローバリズムといっても市場が一つになったわけではない。ボールペン1本100円では売れない国はまだまだある。10円のボールペン市場は中国にくれてやれば良い。我々が守らねばならない市場は別にある。

新型コロナ禍によって世界は自国優先主義に傾いた。本来のグローバリズムは世界の協調主義に依存しているのではないだろうか。


このコラムは、2020年5月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第985号に掲載した記事です。

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トヨタの強み

 トヨタ生産方式(TPS)は中国では『精益生産系統』と呼ばれ、有難がれている。トヨタ系の自動車工場(中国企業)を指導したことがある。トヨタの指導が入っているのだろう、現場のレイアウトや物の流し方は他の中国企業と比較すると優れているように思う。しかし見かけだけであり、これがTPSであるとは言い難い。TPSの外形を真似ただけであり、TPSのココロが宿っていないと言えばいいだろうか。

ではTPSのココロとは何か。
「問題を顕在化し解決を繰り返すうちに、問題がなくなってしまい不安になり、皆で一生懸命問題を探し始める」という組織の心理状態だ。

カンバン方式、リーン生産方式は表層の技術的な競争優位性であり、その気になれば簡単に真似ができる。しかしTPSの深層にあるココロがなければ、表層的な競争優位は維持できない。

本当の競争優位は、従業員全員の改善能力向上意欲、改善を渇望する組織文化だ。この組織文化がTPSのココロであり、競争力の深層を支える組織力だ。

多くの中国企業が『人本主義』という言葉を使ってる。資本ではなく人財が企業にとって重要な資産である、と言いたいのだろう。

本当の人本主義はこんな会社だと思う。
「リストラなしの年輪経営」塚越寛著
「末広がりのいい会社をつくる」塚越寛著


このコラムは、2020年6月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第998号に掲載した記事です。

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違いに着目する

 以前のメールマガジンで、均一性国家・日本が多様性国家とどう付き合うかと言うテーマで考えた。

「違いを認識する」

「出る杭は打たれる」「雉も鳴かずば撃たれまい」が常識の均一社会日本では、極力「違い」を隠し、他者の「違い」には目を向けないのが処世術の基本だ。

しかし中国を含む世界の大半は多様性社会だ。
横並び断固反対、出る杭は伸ばせ、が自己成長、多様性社会の成長原動力だ。
多様性社会に適応するためには、「違いに目を瞑る」のではなく「違いに着目」することだ。違いを無視したり抑圧しても、対立が発生するだけで何も改善しない。違いの原因、違いを活用する方法に着目すれば、調和と改善が得られる。

均一社会では違いは差別となる。
多様性社会では違いは気づきとなる。

設備の稼働点検は「いつもと同じ」ではなく「いつもと違う」を探す方が感度が高くなる。設備の稼働は正常・異常・故障の状態がある。いつもと同じは、故障していない。いつもと違うは正常ではない。異常はいつもと違うに含まれる。故障する前に異常を発見するためには「いつもと違う」を探すことだ。

ベテラン作業員と新人作業員の生産性の違いは簡単に測定できる。同じ基準を使えば評価は簡単・正確になる。しかし生産性を数値評価しても、何もわからない。動作の違いに着目すれば、改善方法が見つかる。

参考:「ポカミス」


このコラムは、2020年7月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1002号に掲載した記事です。

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