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君子は学を好む

yuē:“jūnshíqiúbǎoqiúānmǐn(1)shì(2)érshènyánjiù(3)yǒudào(4)érzhèng(5)yānwèihàoxué。”

《论语》学而第一-14

(1)敏:素早く行う
(2)事:なすべき事
(3)就:ついて
(4)有道:学識、道徳のある人
(5)正:正してもらう

素読文:
子曰わく:“君子はしょくくことをもとむる無く、きょやすきを求むる無し。ことびんにしてげんつつしみ、有道ゆうどういてただす。がくこのむとうべきのみ。”

解釈:
君子たるもの飽食を求めず、安住を求めない。行動は俊敏だが、巧言を慎む。
有徳者の指導を得て、自らの言動を正す。こういう者が学を好むといえる。

過ちては改むるに憚ること勿れ

yuējūnzhòng(1)wēi(2)xué(3)zhǔzhōngxìnyǒuzhě(4)guòdàn(5)gǎi

《论语》学而第一-8

(1)重:重々しい
(2)威:威厳
(3)固:頑固、かたくな
(4)不如己者:自分より劣る者
(5)惮:はばかる

素読文:
子曰く:“君子おもからざればすなわちあらず。まなべばすなわならず。忠信ちゅうしんしゅとし、おのれかざる者を友とすること無かれ。あやまちてはすなわあらたむるにはばかることなかれ。”

解釈:
子曰わく:“君子たるもの軽々しくては威厳が保てない。学べば物事に捕らわれることはない。忠義を第一とし、自分より劣る者を友とすべきではない。過ちを自ら正すことに躊躇してはならない。”

小人はこれと反対。軽々しい振る舞いからは威厳は感じられない。学ばないから世間の流言飛語、噂話に捕らわれ右往左往する。小人同士群れ集い、自らの過ちは隠蔽する。

君子は器にあらず

yuē:“jūn 。”

《论语》为政第二-12

素読文:
わく:“くんならず。”

解釈:
器はそれぞれ入れるものによって用途が決まってしまう。花瓶には食べ物を入れられないし、飯茶碗には花を飾れない。君子たるもの単機能人材であってはならない。

子貢は孔子が後輩の子賤を褒めるのを聞いて、自分の評価を訪ねた。
孔子から「お前はれんの器だ」と言われる。琥璉の器は宗廟を祭る時に、供物を盛る器だ。玉などをちりばめた豪華なもので、あらゆる器の中で、最も貴重なものとされている。しかし器は器。孔子の子貢に対する厳しい評価だった。

小人過ちをかざ

xiàyuē:“iǎorénzhīguòwén(1) 。”

《论语》子张第十九-8

(1)文:かざる。うわべを繕う。

素読文:
子夏しかわく:「しょうじんあやまちやかならかざる。」

解釈:
小人は過ちを犯すと、それをごまかし取り繕う。

政官財各界にかざる小人の多いこと。嘆かわしいことです。

近づければ不遜、遠ざければ怨む

yuē:“wéi(1)xiǎorénwéinányǎngjìnzhīxùnyuǎnzhīyuàn。”

《论语》阳货第十七-25

(1)女子:教養のない女性

素読文:
わく:“じょしょうじんとは、やしながたしとす。これちかづくればすなわそんなり。これとおざくればすなわうらむ。”

解釈:
子曰く「女子と小人は付き合い方に困る。近づければのさばり、遠ざければ恨む」

孔子は《论语》为政第二-14でこう言っています。
わく、くんしゅうしてせず。しょうじんしてしゅうせず。

女子とは女性全般ではなく、教養のない女性のことです。念のため。

君子は義を以って上とす

yuē:“jūnshàngyǒng(1)?”
yuē:“jūn(2)wéishàngjūnyǒuyǒngérwéiluànxiǎorényǒuyǒngérwéidào。”

《论语》阳货第十七-23

(1)勇:勇気
(2)义:正義

素読文:
子路しろわく:“くんゆうたっとぶか。”
わく:“くんもっじょうす。くんゆうりてければらんす。しょうじんゆうありければとうす。”

解釈:
子路が「君子は『勇』を尊ぶか?」と孔子に問う。
孔子は答えて曰く「君子は『義』を重視する。君子に『勇』があり『義』がなければ、反乱を起こす。小人に『勇』があり『義』がなければ盗賊になる」

君子たるもの『義』がなければならない。その上で『義』を貫く『勇』が必要。

いろれいにしてうちじん

yuē(1)(2)érnèi(3)rěn(4)zhūxiǎorényóu穿chuānzhīdào(5)

《论语》阳货第十七-12

(1)色:うわべ
(2)厲(厉):威厳がある
(3)内:内心
(4)荏:意志が弱い
(5)穿窬之盜:壁に穴を開け、塀を登る盗賊

素読文:
わく、いろはげしくしてうちやわらかなるは、これしょうじんたとうれば、それ穿せんとうのごときか。

解釈:
見かけは威厳があっても内心軟弱な人間は、小人に例えればコソ泥のようなものだ。

小人の反対が君子だとすれば、君子はいろじんにしてうちれい「人当たりは良くても、心の中では自己の理想を貫く人」となるでしょうか。

牛刀割鶏

zhī(1)chéng(2)wénxián(3)zhīshēng(4)wǎněr(5)érxiàoyuē:“yānyòngniúdāo?”
yóu(6)duì(7)yuē:“zhěyǎn(8)wénzhū(9)yuē:‘jūnxuédàoàirénxiǎorénxuédào使shǐ(10)。’”
yuē:“èrsān(11)yǎnzhīyánshìqiányánzhī(12)ěr(13)。”

《论语》阳货第十七-4

(1)之:行く。
(2)武城:魯国の小さな町。子游が武城の宰相を務めていた。
(3)弦歌:琴の音に合わせて歌う。
(4)夫子:孔子に対する尊称。
(5)莞尔:微笑する。
(6)子游:孔門十哲のひとり。姓は言、名は偃、呉の人。
(7)对:(目上の人に対して)答える。
(8)偃:子游の名。
(9)诸:これ。後ろの“君子学道则爱人,小人学道则易使也”を指す。
(10)易使也:従順になりやすい。
(11)二三子:弟子たちに呼びかける言葉。
(12)戏之:冗談を言う。
(13)耳:〜しただけ。

素読文:
子、じょうき、げんこえく。ふうかんとしてわらいてわく、にわとりくに、いずくんぞぎゅうとうもちいん。
ゆうこたえてわく、昔者むかしえんや、これふうく。わく、くんみちまなべばすなわひとあいし、しょうじんみちまなべばすなわ使つかやすし、と。
わく、さんえんげんなり。前言ぜんげんこれたわむれしのみ。

解釈:
武城を歩くと弦歌の声が聞こえる。孔子は、微笑みながら「鶏を割くのに牛刀を使うまでもなかろう」と言われた。
子游は「以前私は、師から「為政者が道を学び民を愛し、民が道を学べば、治めやすい」と学びました」と孔子にいう。
孔子は、門人たちに向かって「子游のいう通りだ。今私が言ったのは冗談だ」と言った。

門人の子游が治めていた武城の街を歩くと、人々の文化の高さや治安の良さを感じた孔子は、嬉しくなり思わず「牛刀割鶏」と言ってしまったのでしょう。

君子に三畏あり 天命、大人、聖者の言

kǒngyuē:“jūnyǒusānwèi(1)wèitiānmìng(2)wèirén(3)wèishèngrénzhīyán(4)xiǎorénzhītiānmìngérwèixiá(5)rén(6)shèngrénzhīyán。”

《论语》季氏第十六章-8

(1)畏:おそれ敬う
(2)天命:天から与えられた使命
(3)大人:高い地位にある人、徳のある人
(4)圣人之言:聖人の言葉
(5)狎:なれなれしくする
(6)侮:あなどる

素読文:
こうわく:“くんさんあり。天命てんめいおそれ、大人たいじんおそれ、聖人せいじんげんおそる。しょうじん天命てんめいらずしておそれざるなり。大人たいじんれ、聖人せいじんげんあなどる。

解釈:
子曰く:“君子には三つのおそれがある。天命を畏れ、目上の者を畏れ、聖人の言葉を畏れる。小人は天命を知らずそれを畏れない。そして目上の者になれなれしくし、聖人の言葉をあなどる。

「畏れる」というのは恐怖により消極的になる、という意味ではないと思っています。「おそれ尊ぶ」という意味と考えれば、天命にも、大人にも、聖人の言葉にも積極的に考えることができるはずです。

小知と大受

yuē:“jūnxiǎozhī(1)érshòu(2)xiǎorénshòuérxiǎozhī。”

《论语》卫灵公篇第十五-34

(1)小知:小事を行う。
(2)大受:責任ある仕事を任せる。

素読文:
わく:“くんしょうせしむべからずして、大受たいじゅせしむべきなり。しょうじん大受たいじゅせしむべからずして、しょうせしむべきなり。”

解釈:
子曰く:“君子には細々した小事を任せるべきではない。責任ある大事を任せるべきだ。小人には大事を任せてはいけない。小事を任せるべきだ。”

君子ならば小事もそつなくこなすことができるだろう。しかし君子に小事を任せてはいけない。
小人には責任ある大事をこなすことはできないかもしれない。しかし小人でも小事をそつなくこなすことはできる。

孔子が言っているのは「君子たる部下に責任ある仕事を任せ、小人の部下には細々した仕事を任せよ」ということではないと思う。
組織内で、職位の低い者に小事ばかり任していれば、いつまで経っても成長しない。上司たる者、失敗の責任を取る覚悟で、大事を任せ部下の成長を促すべきだろう。肝心なことは、君子を目指す部下に大事を与えて育てる、小人のままでいる部下に成長を目指す心を持たせることだ。