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活動の定着

 先週はカイゼン活動について書いた。
カイゼン活動もトップが指導して始めると、最初の頃は成果が出始めるのだが、なかなか継続して成果を出し続けるのが難しい。

特に5S活動のように継続そのものに意味があるような活動では、尻すぼみ現象は痛い。

ではなぜ活動が継続しないのであろうか?

それは活動の「目的」と「目標」をきちんと明示していないからだと考えている。
例えば「清掃」の目的、目標はきちんと従業員が理解しているだろうか。
どのくらい綺麗になるまで清掃をしなければならないか基準は明確だろうか?

何をしなければならないか(What)だけを伝えても不十分だ。
何故しなければならないか(Why)と何処までしなければならないか(Goal)を同時に伝えなければならない。

「Why」と「Goal」を共有することにより、メンバーの取り組む意欲がわいてくる。何事もメンバーを「その気」にさせないとうまくは行かない。


このコラムは、2008年6月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第40号に掲載した記事です。

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2021年度QCC道場発表会

先週8月5日木曜日に2021年度第一回のQCC道場発表会を開催した。

今回のQCC道場は、コロナ禍により何度かZOOM開催となった。発表会もサークルを送り出した上司様が日本から参加ということでZOOMを準備した。QCC道場も何度かオンライン開催しているので大丈夫だと思っていたが、会場にいるサークルが、持参のPCで発表する場合、PCがZOOMにログインしていないので画面共有ができない、というトラブルもあった。同じ場所にいてもZOOMにログインしないとダメだと学習できた。(後から考えれば当たり前の話だが、問題が発生するまで気がつかなかった)

5チームのうち2チームが活動当初に立てた目標を達成できなかった。
1チームは多工程かつ多品種にわたる製品の品質改善を目指したが、さすがに1回の活動では全ての製品で改善目標は達成できなかった。

もう1チームは初めてQCC活動を体験した中国企業のサークルだ。彼らは顧客と一緒に参加した。目標が達成できず、何度か対策を再検討して再チャレンジ、結果的に活動期間内には目標を達成できなかった。しかし彼らの熱意に対し、他のチームからアドバイス、激励を受け、目標達成するまで頑張ると決意表明をされた。
このサークルは活動を通してQC手法の活用ばかりではなく、不良現象の観察、原因の特定など実践し成果を体験することで、改善活動への意欲が増したと思う。

プレス加工のサークルは、コンマ数%の不良を見事に根絶した。
プラスチック成形のサークルは、段取り替えを劇的に短縮し、コストダウンだけでなく設備の可動率を上げることで、売り上げ増加の可能性を広げることができた。
商品企画・販売のサークルは、不良現品を解体することで原因を特定。その原因を抽象化し不良が発生する可能性のある工程・部位に対して生産委託工場とともに未然防止対策を実施した。

それぞれの成果は、社内で共有され改善活動が活性化・進化するはずだ。
この時のポイントは、上述のサークルのように不良原因を抽象化・形式智に置き換えることにより組織の知恵(暗黙知)に変換することだ。そして社内で活動体験を共有することで、改善活動のモチベーションも向上する。

9月に今年度第二回目のQCC道場を開催する予定だ。


このコラムは、2021年8月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1173号に掲載した記事です。

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見せかけの改善

 改善活動・QCC活動などを指導していると「見せかけの改善」を見かける事がある。見せかけの改善とは、確かに改善にはなっているが利益には貢献しない改善をいう。

例えば、作業改善や不良改善を実施し年間〇〇万元の効果が出たと試算しても、生産が打ち切りになってしまった。

この様な「見せかけの改善」が発生するのは、改善計画に問題があるからだ。
経営に貢献しない改善活動は「お遊び」だ。改善活動のテーマを選択する時に経営に貢献するかどうかをきちんと見極めなければならない。

利益貢献は無くとも、その他で経営に貢献するのであれば意義はある。
例えば、活動を通して現場メンバーの改善能力向上を狙っているのであれば「お遊び」とは言い過ぎだろう。

生産能力以上に受注があり、会社の収益にも貢献する製品の生産性改善は至急取り組むべき改善活動になる。
しかしこの様な改善活動であっても、ボトルネック工程以外の生産性改善は「見せかけの改善」だ。ボトルネック工程以外の生産性を改善しても、製品の生産性は変わらない。むしろ中間在庫が増えて悪影響を及ぼす。

こちらの「見せかけの改善」は改善すべき製品の選択は間違っていないが、改善すべき工程が間違っている。改善活動を開始する時に、正しく工程分析をしなければならない。


このコラムは、2019年4月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第806号に掲載した記事です。

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亢竜の悔い

 「亢竜(こうりょう)の悔い」とは、天に昇りつめた竜は後は下がるだけなので悔いを感じる、という意味だ。栄える者は必ず衰える、盛者必衰の理だ。

では悔いを持たぬ様に天に昇りつめる努力を放棄すれば良いのだろうか?
あるがままの今を受け入れる。そんな禅的な世界観を持てば悔いはないだろう。
しかし現代の企業経営とは相容れないモノがある。年度目標を毎年達成し続ける。毎年増収・増益を継続する。変化する経営環境の中で、達成し続けるのは困難だ。達成出来る目標にすり替えれば、悔いの代わりに後ろめたさを感じるだろう。

目標だけを追求する限りこのようなジレンマを感じるだろう。
目標の手前にあるべき目的を明確にすることが解決策だと思っている。目的とは何か。自社の存在意義と言い換えると分かりやすいかも知れない。

例えば企業経営の目的が「従業員の物心両面の幸せを追求する」であるとする。
この場合「給与」「福利厚生」「労働時間」などに具体的な目標が発生するかも知れない。しかしこの目標を達成しても、「従業員の物心両面の幸せを追求する」という目的は存在可能だ。こう考えれば、亢竜の悔いはない。

違う例を考えよう。
改善活動は不具合が存在する事により成り立つ、というパラドックスを内在している。つまり改善活動を継続すれば亢竜の悔いが発生することになる。不具合がないのだから、皆で楽しく暮らせば良いではないか、このような考えが、盛者必衰の理を招く(笑)

QCC活動でも、あらかた問題点を解決してしまうと、亢竜の悔いが発生する。
それでも活動を継続しようとすると、どんどんつまらないテーマを考え、活動が形骸化する。QCC推進事務局から年間活動件数のノルマなどが課せられると、この傾向は加速する。

QCC活動の本来の目的「メンバーの成長を通して業績に貢献する」にフォーカスすれば、問題点の解決だけでは無くなる。新しい業務への挑戦、飛躍的な品質レベルの達成など、ありたい姿の実現がテーマになりうる。企業が成長する限りテーマは無くならない。従来の問題解決型の活動とは違い、ありたい姿を実現すると言う課題達成型の
活動となる。

また市場や顧客の要求が変化すれば、製品・サービスも変化せねばならない。
何を、どのように変化するかが活動のテーマとなる。

改善活動には「亢竜の悔い」はない。


このコラムは、2017年3月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第519号に掲載した記事です。

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カイゼン活動

5月22日のasani.comニュースによるとトヨタ自動車が、カイゼン活動に残業代を払うことになった。以下はニュースの抜粋。

トヨタ、「カイゼン」に残業代 業務と認定、来月から

 トヨタ自動車は21日、生産現場の従業員が勤務時間外にグループで取り組む「カイゼン」活動について、残業代を全額支払うことを決めた。月2時間までとする残業代の上限を撤廃する。「自主的な活動」としてきたカイゼン活動を「業務」と認定する。
労働組合も了承しており、6月1日から実施する。

 長時間労働による健康被害や過労死が深刻化する一方、「名ばかり管理職」への批判を受け、日本マクドナルドが直営店の店長に対する残業代の支払いを決めたばかり。
サービス残業と指摘されたカイゼン活動を残業と認めるトヨタの方針転換で、製造業でも「働き方」と「報い方」のバランスを見直す動きが広がりそうだ。

 カイゼン活動は業務であるからその報酬が支払われるのは当然だ。
しかしトヨタの中で、何かが変わり始めているのを感じる。

従業員が自らの成長のために「業務以外の仕事」を会社に残ってやる。
それが会社にとって生産性のカイゼン活動になっている。
という黄金の労使関係がトヨタには存在していたのではないだろうか?
もちろん部外者の私には知る由もないのだが、私にはそのように見えていた。

従業員が、自らの成長のために喜んで仕事をする。
仕事を通して成長する、その成長によって豊かな暮らしを実現する、という単純な図式は、豊かになってしまった日本ではもう通用しないのかもしれない。

仕事以外に自己実現、自己表現の手段がいくらでもある日本の環境では、若者のワークスタイルも変わってしまったのだろう。

しかし中国の若者には「自己成長」「豊かさの実現」に対する強い渇望がまだある。これらを求心力として会社経営をすれば、成長し続ける組織を作る事が出来ると考えている。

私がお手伝いしている工場では、カイゼン活動に参加した「選ばれたメンバー」には活動期間僅かな奨励金が出ている。しかしそれ以上にカイゼン活動に参加すること自体が、自己成長に大きく寄与し、「プライスレスの価値」がある事を理解してもらいようにしている。
これがカイゼン活動に対するモチベーションを上げ、その後の彼らの仕事への意欲にも影響を与えていると考えている。


このコラムは、2008年6月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第39号に掲載した記事です。

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ボトムアップ

 ボトムアップの意味を調べてみると「組織の下位・下層が意見や案を出し、上位・上層が吸い上げて合意(コンセンサス)や決定に至る形式。」とある。工場の現場職員が改善を提案し、上位職の承認を得て改善を実施するのが、ボトムアップ。その逆に上位職からの指示で現場が動くのがトップダウンだ。

「トップダウン改善」

5S活動やQCC活動はボトムアップ活動と理解されている方が多いと思う。

確かに5S活動もQCC活動も現場一線のメンバーが活動する。
現場の整理・整頓・清掃は現場のメンバーが実践する。
QCC活動も現場のメンバーがサークルを作って問題解決や課題達成の活動をする。

しかしこれらの活動がボトムアップだけでうまくいくだろうか?
5Sの第一歩は整理だ。整理とは「必要なモノと不要なものを区別して不要なモノを捨てる」ことだ。一線の現場職員が倉庫に長年眠る不動材料や完成品を廃棄することができるだろうか?これは経営者の決断が必要だ。

QCC活動もサークルメンバーに放任していると、就業時間を使って「本棚の整理を行い書類を探す時間を短縮する」などという成果を実感できない活動が横行することになる。

5S活動もQCC活動も上意下達のトップダウン活動ではない。現場の創意工夫を活かしたボトムアップ活動だ。上位職の役割は、方針や課題をメンバーと共有して権限を委譲することだ。

権限移譲を伴わないボトムアップは「丸投げ」という。


このコラムは、2018年11月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第744号に掲載したコラムです。

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失敗を推奨

 メルマガ609号で製造業は創造業にシフトにするのではないだろうか、と書いた。その後たまたまテレビ東京・カンブリア宮殿のアーカイブにバルミューダの番組があるのを発見した。

バルミューダ・寺尾玄社長は自社のグリーンファンを、3万円の扇風機ではなく「3万円でひと夏の涼しさを買っていただく」と言っている。モノではなくコト(体験)を提供する。これが創造業だと思う。

寺尾社長は「開発とは予定通りいかないのが予定通り」とも言っている。
新しいモノ、世の中にないモノを開発しているのだ。当然失敗はつきものだ。失敗を恐れていれば、凡庸なモノしか開発できない。番組ではバルミューダの朝礼風景を紹介していた。寺尾社長はどんどん失敗をせよ、と言っている。

失敗をしない最善の方法は、何もしない事だ。挑戦的な失敗を繰り返す事によってしか革新は生まれない。失敗を叱責するのではなくどんどん失敗せよと推奨する。失敗した当事者は新たな方法を考え挑戦を続ける。失敗と挑戦の繰り返しによって成長する。

多くの大企業では、失敗した者に「出世」という梯子が外される。失敗しないように仕事をする、失敗は他人に押し付ける、そんな企業文化しか生まれない。

失敗を推奨すると言っても、凡庸な失敗を繰り返す者を賞賛せよ、という意味ではない。挑戦的な失敗を許容し推奨するという意味だ。

QCC活動を指導しているある企業では、資材の入出庫を担当しているサークルが入出庫作業者3名を2名に削減する、というテーマに挑戦している。しかしよく話を聞いてみると、入出庫作業者は全部で40名いる。その中の特定部品を担当している3名の作業効率を改善したいというテーマだ。初めてQCC活動に取り組むメンバーには、上手くいくかどうか不安もある。楽なテーマにしたいのだろう。

寺尾社長は「楽なことは楽しくない。楽しいことは楽ではない」と言っている。3名を2名に削減するより、40名を30名に削減する方が楽ではないが楽しいはずだ。QCC活動は今回で終わりではない。まずは3名を2名に削減することにより改善手法を覚えてもらい、彼らの耳元で「挑戦は楽しいぞ」と囁き続け次の挑戦に取り組む勇気を持ってもらおうと考えている。


このコラムは、2018年1月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第610号に掲載した記事です。

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ボトムアップ改善

 QCC活動や改善提案はボトムアップ改善活動。機械化投資などによる改善活動はトップダウンプロジェクト。そんな区分けが一般的だと思う。

生産現場の改善指導を20年ちょっとしているが、ボトムアップとトップダウンだけではうまくゆかないような気がしている。

前職時代に、生産委託先の工場を指導していた時は「客」として指導していた。
現場が言うことを聞かなければ、工場長に文句を言えばよかった(笑)まぁ、そう言う局面になることはなかったが、生産委託先の経営者や幹部は顧客の言うことを聞かなければ、生産を引き上げられると言う心配はあったと思う。しかし、言うことを聞いて置いた方が自社の品質や生産性の改善になる、と感じていたはずだ。こちらは指導料も出張経費も請求しない。オイシイ話だったはずだ(笑)

しかし独立してからは、主客の立場が入れ替わった(笑)
私は客として指導をするわけではなく、お客様工場で指導をさせていただいて対価をいただくことになった。

生産委託先の指導はこちらの都合で出かけることができる。
(事業部長は、金がかかる品証部だと思っていたかもしれないが・笑)
しかしお客様の指導は、こちらで勝手に指導日を追加するわけにはいかない。決められた期間で成果を出し、成果を維持発展させなければならない。そのためには現場リーダの能力と意欲を高めなければならない。

生産委託先の指導がトップダウン活動だとすると、今の仕事は現場リーダ層からのボトムアップ改善活動と言えるかもしれない。

しかしボトムアップ活動だけでは、大きな改善成果や、継続的な改善を期待できない。手取り足取り方法を教えて、トップダウンで改善しても、現場リーダの能力や意欲は高まらない。

問題を解決するボトムアップ活動を通して、現場リーダの能力と意欲が向上する。

課題を自分たちで設定し、改善することにより能力が上がり、達成感により更なる意欲が向上する。このような活動は単純なボトムアップ活動ではない。上司・経営者から改善活動の権限を委譲されたエンパワード活動になる。

ボトムアップ活動の更に先は、エンパワード活動だ。


このコラムは、2018年8月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第711号に掲載した記事です。

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自主改善活動

 若い人には想像もできないだろうが、戦後の一時期まで、日本製製品は粗悪品の代名詞だった。日本から輸出される製品の評価は「安かろう・悪かろう」であった。

そのメイドインジャパン製品が、品質で絶対的な信頼を勝ち得たのは、日本の製造現場で働く人々の自主改善活動の貢献と考えている。

小集団活動、QCサークル活動、TQC活動、TQM活動と時代によりその呼称は変化したが,現場の労働者を中心とした自主的な改善活動が,メイドインジャパンと言うブランドを築いたと言ってよいだろう。

これがうまくいったのは、日本人と日本社会の特異性に依存する所が大きい。
細かい所に気配りする感性。
物事を極める所まで追求する精神。
均一性社会文化。

最後の均一性社会文化は、個性の発揮と言う点ではマイナスに働くが、チームの協調性と言う面ではプラスに働く。小集団活動に向いている。

では日本とは異なる中国で、小集団活動の成果は再現性を持つのだろうか?
多くの方はネガティブな考えをお持ちだと思う。
しかし私は、可能だと信じている。

日本人が細かい所に気配りが出来ると言うのは、細かい気配りが出来なければ居心地が悪くなる社会で生活しているからだ。
物事を極めれば尊敬される、そう言う事例を多く見て育ったからだ。

成人した社会人に、こう言う環境で仕事をしてもらう事は難しい事ではない。
社内の規則・制度をその様にすれば良い。少なくとも社内で仕事をする時に、その様な能力を発揮してもらえば良いのだ。

例えば、気配りが出来ると昇給・昇格する。仕事を極めれば昇給・昇格する、
そういう人事制度を作り、昇給・昇格の基準を明確にする。これで気配りが出来る人間になる意欲がわく。仕事を極める意欲がわく。

意欲が生まれれば、能力をつけるのは容易だ。
我々も細かい所に気が付く能力を先天的に持っていた訳ではない。訓練により身につけたモノだ。

例えば、問題の要因を漏れなく挙げる。起こりうるリスクを漏れなく挙げる。
こう言う訓練を具体的にするのが、新QC七つ道具と言われる手法だ。
我々は、子供の時から長時間かけて能力を身につけたが、ツールはそれを短縮する力がある。


このコラムは、2013年8月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第324号に掲載した記事です。

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不可能がチャンス

 改善の指導をしていると,先方のリーダから「それはムリだ」「これこれの理由で出来ない」と言う反対意見が散々出る.

考えて欲しい,昔人類は馬のように早く走ることは不可能だと思っていた.しかし馬を飼いならし,馬に乗ることを覚えた.そして馬より早く走ることは不可能だと思った.しかし蒸気機関を発明し,自動車を発明した.
今道がなければ,自動車は走れないと思っている.しかしその内道がなくても自由に移動することが出来るモノを発明するだろう.

つまり人類の歴史は,不可能を可能にしてきた歴史だ.

「不可能な事」などこの世の中にはない.ただ「不可能だと思っている事」があるだけだ.

皆が不可能だと思っていることを可能にすれば,革命になる.
そんなに難しいことではない.不可能だと思っていることも,業界が変われば常識だったりする.

作業員が集まらない,生産が出来ないと嘆くことはない.少ない人数で生産する方法を考えれば良いのだ.設備投資をする余裕が無い,工場が狭いなど制約条件が多ければ多いほど,チャンスが大きい.

絶対に不可能だと思っていることは,今までの方法で出来ないだけだ.
ならば方法を変えれば良いだけだ.失敗を恐れることはない,失敗を繰り返せばそれだけ成功は近づく.
不可能を可能にする信念と,失敗を恐れない心があれば必ずうまく行く.


このコラムは、2011年1月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第第189号に掲載した記事に修正・加筆しました。

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