子曰:君子贞(1)而不谅(2)。
《论语》卫灵公第十五-38
(1)贞:正しいこと
(2)谅:頑なに信じること
素読文:
子曰く、君子は貞にして諒ならず。
解釈:
子曰く:“君子は正しいことには心変わりしないが、頑なに信じこむわけではない”
人間は歳を取ると頑固になり自説を振り回す傾向にあるようです。
歳を取ったら、若い頃より更に謙虚でありたいものです。
子曰:君子贞(1)而不谅(2)。
《论语》卫灵公第十五-38
(1)贞:正しいこと
(2)谅:頑なに信じること
素読文:
子曰く、君子は貞にして諒ならず。
解釈:
子曰く:“君子は正しいことには心変わりしないが、頑なに信じこむわけではない”
人間は歳を取ると頑固になり自説を振り回す傾向にあるようです。
歳を取ったら、若い頃より更に謙虚でありたいものです。
子曰:君子谋(1)道不谋食。耕也,馁(2)在其中矣;学也,禄(3)在其中矣。君子忧道不忧贫。
《论语》卫灵公第十五-32
(1)谋:苦労して求める
(2)馁:飢える
(3)禄:官吏として俸禄を得る
素読文:
子曰く:“君子は道を謀りて食を謀らず。耕すや、餒其中に在り。学ぶや、禄其中に在り。君子は道を憂えて貧を憂えず。”
解釈:
子曰く:“君子は道を追究するが、食は追求しない。食うために田を耕す者も飢えることはある。学べば禄を得ることもある。君子は道を修められないことを憂うが食を得られないことは憂えない”
道を謀るというのは、ただ知識を蓄えることではなく、得た知識を活用すること。行動があれば成果はあります。
子曰:“君子不以言举人,不以人废言。”
《论语》卫灵公第十五-23
素読文:
子曰く:“君子は言を以て人を挙ず。人を以て言を廃せず。”
解釈:
子曰く:“君子は言葉だけで人を抜擢しない。人物が劣っていても、その人の良い言葉を廃したりしない”
口先だけの人はダメだが、職位や官位が低くても良い意見は登用する、そういう人が君子だと孔子は言っています。
子曰:“君子矜(1)而不争,群而不党。”
《论语》卫灵公第十五-22
(1)矜:重々しい、厳粛
素読文:
子曰く:“君子は矜にして争わず、群して党せず。”
解釈:
子曰く:“君子は厳粛にして他人と争わず、人と交流するが群れない”
君子は和して同ぜず。
君子は周して比せず。
孔子は君子の心得として同様なことを何度も語っています。
子曰:“君子疾(1)没世(2)而名不称(3)焉。”
《论语》卫灵公第十五-20
(1)疾:恥じる
(2)没世:死んだ後
(3)不称:自分の名が世間に評判にならない
素読文:
子曰く:“君子は世を没するまで、名の称せられざるを疾む。”
解釈:
孔子曰く:“君子は死んだ後に、自分の名が称賛されないのを恐れる。”
君子たるもの仁を尽くし、道を極め徳を積むことが本懐です。名前が称賛されることは、結果であって目的ではありません。
子曰:“君子病(1)无能焉,不病人之不己知也。”
《论语》卫灵公第十五-19
(1)病:気に病む、心配する。
素読文:
子曰く、君子は能無きを病う。人の己を知らざるを病えざるなり。
解釈:
君子たるものは自らが無能であることを憂う。しかし人から認めてもらえないことには憂えない。
子曰:君子义以为质(1),礼以行之,孙(2)以出之,信(3)以成之,君子哉。
《论语》卫灵公第十五章-18
(1)质:本質
(2)孙:謙遜
(3)信:信義
素読文:
子曰く:“君子は義以て質と為し、礼以て之を行ない、遜以て之を出し、信以て之を成す。君子なるかな。”
解釈:
子曰く:“道義をもって本質とし、礼儀に従って行動し、謙虚に発言し、信義を以て成し遂げる。これでこそ君子と言える。”
子曰:“直哉史鱼(1)。邦有道如矢(2),邦无道如矢。君子哉,蘧伯玉(3)。邦有道则仕(4),邦无道则可卷而怀之(5)。”
《论语》卫灵公第十五-7
(1)史鱼:衛の大夫。名は鰌。字は子魚
(2)如矢:矢のようにまっすぐな性格。
(3)蘧伯玉:衛の大夫。姓は蘧。名は瑗。伯玉は字。
(4)仕:士官する。
(5)卷而怀之:才能を隠し世に出ない。
素読文:
子曰く、直なるかな史魚。邦に道有れば矢のごとく、邦に道無きも
解釈:
孔子曰く:“史魚は真っ直ぐな性格だ。世間に道が有っても無くても矢のように真っ直ぐでいられる。蘧伯玉は君子だ。世間に道があれば世に出て士官する。世間に道がなければ才能を隠し世に出ない。”
ここでいう「道」は道路ではなく道徳とか道理のことと理解しました。
しかし邦に道無くば、出て世を正すのが本物の君子ではないでしょうか。
子曰:“君子不可小知(1),而可大受(2)也。小人不可大受,而可小知也。”
《论语》卫灵公篇第十五-34
(1)小知:小事を行う。
(2)大受:責任ある仕事を任せる。
素読文:
子曰わく:“君子は小知せしむべからずして、大受せしむべきなり。小人は大受せしむべからずして、小知せしむべきなり。”
解釈:
子曰く:“君子には細々した小事を任せるべきではない。責任ある大事を任せるべきだ。小人には大事を任せてはいけない。小事を任せるべきだ。”
君子ならば小事もそつなくこなすことができるだろう。しかし君子に小事を任せてはいけない。
小人には責任ある大事をこなすことはできないかもしれない。しかし小人でも小事をそつなくこなすことはできる。
孔子が言っているのは「君子たる部下に責任ある仕事を任せ、小人の部下には細々した仕事を任せよ」ということではないと思う。
組織内で、職位の低い者に小事ばかり任していれば、いつまで経っても成長しない。上司たる者、失敗の責任を取る覚悟で、大事を任せ部下の成長を促すべきだろう。肝心なことは、君子を目指す部下に大事を与えて育てる、小人のままでいる部下に成長を目指す心を持たせることだ。
子曰:“君子求诸己,小人求诸人。”
《论语》卫灵公第十五-21
素読文:
子曰わく:“君子は諸を己に求め、小人は諸を人に求む。”
解釈:
君子は何事も自責で考え、小人は何事も他責で考える。
自責で考えるから解決方法が見つかる。他責で考えれば解決方法はなく、己の不運を嘆くだけとなる。
例えば会社の経営がうまくゆかないのは不景気のせい(他責)だと考える経営者(小人)は、自分では景気を改善することはできず、不景気を呪うのみである。
会社の経営がうまくいかないのは、自分の経営方法が悪いから(自責)だと考える経営者(君子)は、経営方法を改善する努力により経営を立て直すことができる。