タグ別アーカイブ: QCC活動

続・問題解決の心得

 先週配信のメールマガジンで問題解決の心得について考えた。
「問題解決の心得」

先週はその事例になりそうな問題が発生したので、今週は続編として問題解決の心得について考えてみたい。

オフィスのネット接続に問題が発生した。
調べ物をする必要があり、検索サイトにアクセスした。検索サイトからの応答がなくアクセスできない。VPNを介してアクセスしようと考えたが、VPNも接続できない。こういうことは、中国の長城ファイアウォールの内側にいると、しばしばある(苦笑)

まずはWifiの管理画面を開いてみる。
ここですぐに原因がわかった。Wifiルーターが応答していない。
原因はわからないが、こういうことがしばしばありWifiルーターをリセットで対処していた。(固有技術はないが、経験的対処法がわかっている状態)

その結果Wifiの管理画面を開くことができた。
管理画面から、ISPのサーバに接続できていないことがわかった。
同様にISPにつながっているモデムもリセット。しかし復旧はしない。
ISPのサービス窓口に電話すると、こういう場合の問題点は次の3つだ、と指摘された。
1)ISPサーバへのログインIDが間違っている。
2)ISPサーバへのパスワードが間違っている。
3)モデムが壊れている。

当然1)と2)は問題ない。電話の向こうのサービス担当者は、モデムが壊れているから買い換えろという。

どうも納得できないが、既に7年も使っているモデムだ。そういうこともあろうと、近所の電気屋に行くことにした。サンプルとして使っているモデムを持参することにした。
モデムを持ち出す時に気がついた。モデムとWifiルーターを接続しているケーブルが抜けかかっていた。

ケーブルを挿し直して、問題は解決した。

問題解決をステップに分けると、以下の様になる。
1)問題の把握
2)解決課題の設定
3)問題発生の要因を列挙
4)要因から問題発生の原因を絞り込む
5)対策検討・実施
6)効果の確認
7)歯止め

今回の問題は、問題発生の要因列挙が不足していた、ということになる。
全ての要素を挙げて、可能性のある故障モードを全てあげる。
ISPのサーバ→電話回線→モデム→Wifiルーター→PC
それぞれに、ハード、ソフトの要因がありうる。
さらに一つの要素を掘り下げる。
例えばモデムならば、以下の要素があるはずだ。
・電源
・電話線(RJ11コネクタ)
・イーサネット線(RJ45コネクタ)
・モデム本体
それぞれに故障原因となる要因があるはずだ。
この様に全ての要素を分解して故障要因を挙げれば、漏れはなくなる。

ISPのサービス窓口担当者がこういう発想を持っていれば、もっと適切な対応ができただろう。

今回の原因は、私が粗忽にも過去の経験からいきなりWifiルータのリセットをした際にモデムのRJ45コネクタが外れかかってしまったことだ。次回から問題発生時の点検手順を変更しなければならない。


このコラムは、2017年7月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第540号に掲載した記事に加筆しました。

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問題解決の心得

 工程内不良の改善活動を指導していて、しばしば感じる事がある。
問題の原因を「経験」から判断し、決め打ちで対策を考える傾向がある様に感じる。

例えば。機械加工で寸法不良が多発する。その原因を加工設備の精度不足が原因と決め打ちし、その他の要因を考えない。対策として高価な加工設備を導入することになる。たいていの場合ここで改善活動は頓挫する。特に加工設備に関する固有技術がない場合はこういう傾向が強い。

しかし寸法不良が発生する要因は他にもある。
・加工原点がずれている。
・設備の使い方に問題がある。
・加工材料に問題がある。
・測定方法に問題がある。

まずは設備の加工精度を仕様書で確認するのが第一歩だろう。その上で、考えられる要因を一つずつ確認していく。
この様なアプローチが必要だと考えている。

今QCC活動を指導しているお客様で、設備不良による工程内不良の改善に取り組んでいるサークルがある。彼らは製品の加工法などに関しては固有技術がある。しかし設備内の電源故障が設備不良の大部分を占めている。電源に関する固有技術は残念ながらない。設備メーカも、電源は購入している。自ら設計する能力はない。

しかし電源に関する固有技術がないからと言って諦める訳には行かない。
故障のたびに電源メーカに修理を依頼する。しかしこれは現状復帰の処置だ。改善をしなければ、電源は再び故障する。いつ故障するか分からなければ、工程内不良を改善する事は出来ない。

まずは不良の現物を見る事だ。
今までは修理だけしていたので、不良現物の内部は見た事がない。不良現品の写真が残っていたので観察してみる。すると電源内の部品が破損しているのが分かる。
ではその部品が破損する原因は何か?
破損した部品(電解コンデンサ)の周辺を観察すると、プリント基板が変色し、銅箔の回路パターンが腐食している。電解コンデンサの寿命モードの故障と推定出来る。寿命モード故障に大きな影響を与えるのは、温度だ。ここまで分析が進めば温度が上昇する要因を検討すれば良い。
・周辺の環境温度が高い。
・部品自体が温度上昇している。

部品自体の温度上昇は、設計に依存する要因だ。電源に関する固有技術が必要となる。ここからはこの事実を元に電源メーカと原因追及を進めることになる。
原因追及を電源メーカだけに任せるのではなく、一緒に議論する。初めは何も分からないかも知れない。しかし「信頼性技術」はどんな製品にも共通する技術だ。固有技術がない分野であっても得られる知見は多い。電源を設計する事は出来なくても、どんな電源を選ぶべきかは分かるはずだ。

別の企業では、リチウム電池不良が多発しておりリチウム電池を供給しているメーカのエンジニアが、工程に貼り付いて選別・調整していた。しかし自社のエンジニアは現場にはいない。この企業の技術部門長には、自社のエンジニアも現場に貼り付ける様に指導した。リチウム電池や充電回路に関する固有技術はなくても、少なくともどんな電池を採用してはいけないかは分かる様になる。

私自身も前職時代に周辺装置を担当していた事がある。周辺装置に関する固有技術は社内にはない。周辺装置は全て購入品だ。しかし問題が発生するたびに購入先の品質エンジニア、設計エンジニアと一緒に原因分析、対策の検討に立ち会った。この経験が社内や自分自身への信頼性技術蓄積に貢献したと考えている。

上述のQCC活動に取り組んだサークルはとりあえず電源の環境温度を下げてみることにした。他の熱源から距離を置く、冷却ファンを設置する、などの対策を試している。即座に改善は出来ないかも知れない。しかし寿命モードの故障はアレニウスの法則に従って故障間隔は伸びるはずだ。これで一件落着とはならないかも知れない。設備メーカ、電源メーカとともに更に原因究明を深める事が必要だろう。これらの経験から得られた知見を蓄積する事により、設備導入時の選定基準を持つ事が出来る様になる。

実際には、上記の活動後設備故障は激減し、加工不良が発生したロットの損失金額(修復および再処理費用)は、年間で350万元程度節約できた。


このコラムは、2017年7月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第537号に掲載した記事に加筆しました。

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答えを教えない教え方

 「教えない教え方」とは矛盾をはらんだタイトルだ(笑)

以前「答えを教えない指導法」というコラムを配信した。

このコラムでは「教える→覚える」という伝統的な教育方法とは違う「自分で考える・調べる」という行動促進型の教育といっていいだろう。
今回のテーマは「答えを教えないで教える」という矛盾をいかに止揚するかに挑戦する。大風呂敷を広げたが大した話ではない、と先にお詫びしておく(笑)

今QCC活動を指導している企業で、生産管理部門のサークルが初めてQCC活動に参加することになった。経営者も、初めて事務部門(間接部門)をQCC活動に参加させることになり、大いに期待している。しかし彼女たちは、何をしたらいいのか見当もつかなかったようだ。

30年以上QCC活動に関わってきている。「こういうことをやるといいよ」というのは簡単だ。そこをぐっとこらえて、「お客様はどんなことに困っているか聞いて見たら?」と質問した。
生産管理部門が服務を提供する直接のお客様は社内の製造部門、検査部門、仕入先だ。お客様のお客様(製品を購入する顧客)の要求は「納期通りに製品を納入する」ことだろう。これは100%達成しているという。

しかし社内の下流工程は、仕入先や前工程の遅延により顧客納期を守るために残業で対応しなければならない。

ではこれを解決しよう!と彼女たちはQCC活動のテーマに選んだ。
大変志の高いサークルだ。直接部門をサポートするのが間接部門なので、理にかなったテーマの決め方だと感心した。

じゃ具体的に何をする?というところで迷路に入り込んだ。
彼女たちは「生産計画の精度を上げれば解決する」というイメージを持っていたようだ。しかし仕入先や、社内工程の遅延は生産計画の精度が悪くて発生しているわけではない。部材の手配遅れや、歩留まりの悪化などの不測の事態で遅延が発生している。

部材メーカの納期遅れや工程の生産歩留まりを、生産計画部門が改善するのは難しい。彼女たちはここでつまずいていた。

製造の生産歩留まりを改善するのは、生産技術や製造部門だ。
歩留まりを見越して余分に生産計画立てることは、生産計画部門にも可能だ。しかしこれは本質的改善ではなく邪道だ。部材の発注を前倒しにするのも経営的に考えれば邪道だ。

では彼女たちに出来ることは何か、答えは喉元まで出てきている。
そこを「寸止め」でこらえている(笑)

教えてしまえば、理解出来るだろうし改善もできるだろう。
しかし考える力は身につかない。自分で考える習慣を身につけ、考える力を鍛錬しなければ、同じ問題は解けても、応用問題は解けない。

これ重要なことだと考えてる。
しかしどうも世間では、答えのない問題を解くことで思考力を鍛錬しない様だ。
高学歴で高成績の優秀な役人たちが「財政赤字は悪だ。消費税を上げて財政の健全化を図らねばならない」と大合唱している。彼らは、試験勉強で「過去の正解」はたくさん記憶しているけど、これから起きることに対する洞察力に欠けているのではなかろうか?

政府は国債をたくさん発行し、日銀はどんどんお札を刷って国債を買えば良い。
これに対し役人は、
過去の事例では、お金をたくさん刷ればハイパーインフレになる。
ギリシャやイタリアの様に、国債をどんどん出せば償還できなくなる。
と考える。

しかし現実を見れば、2%のインフレターゲットすら達成できていない。
ギリシャやイタリアと違い日本の国債はほとんど全て国内で消費されている。
ということを考えれば「過去問」と同じ答えを出しても正解にはならない。

ちょっとこのメルマガのテーマから外れてしまった。
素人の浅知恵とご勘弁いただきたい。

しかし、部下の育成に関しては答えを教えずに思考力を鍛える、というのは間違いではないと信じている。


このコラムは、2018年6月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第677号に掲載した記事に加筆したものです。

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亢竜の悔い

 「亢竜(こうりょう)の悔い」とは、天に昇りつめた竜は後は下がるだけなので悔いを感じる、という意味だ。栄える者は必ず衰える、盛者必衰の理だ。

では悔いを持たぬ様に天に昇りつめる努力を放棄すれば良いのだろうか?
あるがままの今を受け入れる。そんな禅的な世界観を持てば悔いはないだろう。
しかし現代の企業経営とは相容れないモノがある。
年度目標を毎年達成し続ける。毎年増収・増益を継続する。
変化する経営環境の中で、達成し続けるのは困難だ。達成出来る目標にすり替えれば、悔いの代わりに後ろめたさを感じるだろう。

目標だけを追求する限りこのようなジレンマを感じるだろう。
目標の手前にあるべき目的を明確にすることが解決策だと思っている。
目的とは何か。自社の存在意義と言い換えると分かりやすいかも知れない。

例えば企業経営の目的が「従業員の物心両面の幸せを追求する」であるとする。
この場合「給与」「福利厚生」「労働時間」などに具体的な目標が発生するかも知れない。しかしこの目標を達成しても、「従業員の物心両面の幸せを追求する」という目的は存在可能だ。こう考えれば、亢竜の悔いはない。

違う例を考えよう。
改善活動は不具合が存在する事により成り立つ、というパラドックスを内在している。つまり改善活動を継続すれば亢竜の悔いが発生することになる。
不具合がないのだから、皆で楽しく暮らせば良いではないか、このような考えが、盛者必衰の理を招く(笑)

QCC活動でも、あらかた問題点を解決してしまうと、亢竜の悔いが発生する。
それでも活動を継続しようとすると、どんどんつまらないテーマを考え、活動が形骸化する。QCC推進事務局から年間活動件数のノルマなどが課せられると、この傾向は加速する。

QCC活動の本来の目的「メンバーの成長を通して業績に貢献する」にフォーカスすれば、問題点の解決だけでは無くなる。新しい業務への挑戦、飛躍的な品質レベルの達成など、ありたい姿の実現がテーマになりうる。企業が成長する限りテーマは無くならない。
従来の問題解決型の活動とは違い、ありたい姿を実現すると言う課題達成型の活動となる。

また市場や顧客の要求が変化すれば、製品・サービスも変化せねばならない。
何を、どのように変化するかが活動のテーマとなる。

改善活動には「亢竜の悔い」はない。


このコラムは、2017年3月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第519号に掲載した記事です。

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精益生産

 精益生産とは中国語でリーンプロダクションのことだ.
マサチューセッツ工科大学がトヨタ生産方式を研究してまとめたのが,リーンプロダクションなので,TPS(トヨタ生産方式)とは親戚関係だ.

年末に企業研修を提供しているパートナーから相談を受けた.バネ製造の中国民営企業に現場リーダ研修を提案したが,精益生産に関する研修を追加して欲しいと,顧客から要求を受けているとのことだ.

バネの生産と言うと,各生産工程をバッチ処理生産をする生産方式が,主流と理解している.その工場の現場リーダにどのように精益生産を教えたらよいか,という相談だ.

私もアイディアはない.
そこで仕事納めの日に工場を訪問し,現場を確認させていただいた.
200余りの顧客に,1万種以上の製品を生産している.生産方式は典型的な工程単位のバッチ生産である.現場は想像以上にきちんとしていた.経営者によると,精益生産により更なる改善をしたいと言う.

既に,「後引き生産方式」を取り入れたと言っている.しかし彼らは,
「受注生産」のことを「後引き生産(Pull Production)」
「計画生産」のことを「押し込み生産(Push Production)」
と理解しているようだ.

彼らのモノ造りには,今の時点では精益生産はハードルが高すぎると判断した.
現場のリーダに精益生産の知識を与えても,それを自工程に応用する能力にはならないだろう.

経営者の真の要求は,現場リーダの問題発見能力・問題解決能力の向上だ.
最近QCC活動を導入し,11サークルが活動を始めたという.

この顧客には,QCC活動の実践指導により,問題発見能力・問題解決能力の向上を目指す研修を提案した.会議室に集合してQCC手法を教える知識研修ではない.現場の問題を解決する実践を通して知識を能力に変換する研修だ.実践訓練を受けたリーダは,職場でQCサークルのリーダとして活躍する.その連鎖で,組織内に改善文化が出来上がるはずだ.


このコラムは、2011年1月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第186号に掲載した記事です。

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第二期QCC道場

第二期QCC道場は日本企業の広東省3工場とその仕入先工場、合計7社・14サークルで開催しました。
QCC手法を勉強しながら、各サークルが1テーマ実践しました。
活動の様子を動画にしました。

※flashを有効にしてください

QCC道場では、

  • 会社方針・部門方針に合わせ重要度・緊急度などを勘案しテーマを決める。
  • 現状を把握し解決課題・目標を決める。
  • 解決課題の原因を分析し対策を実施する。
  • 対策の効果を測定し、必要があれば追加の対策を実施する。
  • 対策の効果が維持・拡大するように歯止めをかける。
  • 活動結果・過程を反省し次回の活動を決める。
  • 活動成果を発表する。

以上のステップとQC手法を学びながら、実際のテーマを実践します。

品質道場の目的は、上記の実践活動により改善リーダを育成し企業の業績に貢献することです。
参加したメンバーはQC手法などの知識だけではなく、実践活動の体験を通して改善能力・改善意欲を高めることができます。

詳細は「QCC道場」でご確認いただけます。

中国人とQCC活動

 今年最後の仕事は,お客様の工場に泊まり込んで,QCC活動の指導だ.
初めてQCCをやる人たちなので,QCストーリィを1ステップずつ教え,実際の現場での問題を課題にして活動を進めている.

製造部門から各職場のリーダ,設計部門のリーダ,品証部のリーダを選抜し,製造担当の副総経理も交えてやっている.
サークルの名前を決める所はすんなり決まった.
テーマ選定からケンケンガクガクの盛り上がりとなった.職場の問題を列挙する所から白熱し,37個の問題が出て来た.当分活動テーマには困らないだろう(笑)

その中からテーマとして一つ選ぶ際に,マトリックス図法を使って,重要度,緊急度,効果などに評点を入れてもらったが,全部◎か,QCCで取り上げずに普段の活動で解決する,の二通りとなってしまった(笑)

これじゃ駄目だとコメントしても,全然話を聞いていない(笑)
皆自分の主張をそれぞれに言い合って,収拾がつかなくなる.先が思いやられたが,意外にもすんなり全員一致でテーマが決まる.どうも,普段の苦労や不満が爆発して,白熱した様だ.

テーマはなんと「龍頭換面」となった(笑)
これでは何の事か分からないので,サブテーマを付けてもらうことにした.

現状把握をして,活動の目標を決定しようとしたが,不良のデータがない.不良率を聞いても,全数問題があると言う.
現場を見を見たら一目瞭然だった.私にいわせれば,全部設計問題だ.それを製造部が,何とか苦労して製品に作り上げている,という状況の様だ.更に,モノ造りの精度がきちんと出ていないので,全部現物合わせで生産している,というのが実情だ.
中国企業を相手にしていると,このくらいの事では驚かなくなる(笑)

これでは現状把握が出来ないので,ブレーンストーミングで問題を掘り下げ,KJ法でまとめる作戦を取った.
まずブレーンストーミングが分からない.一人ずつ紙に書いて,それを「投票」し一番多い問題点から着手しようとする(苦笑)彼らはチームで考えるのが苦手の様だ.
何とか誘導し,一番問題のある部位に着目する事した.取り上げた問題は,設計,製造,仕入れ先の問題が絡み合っており,改善の難易度が相当高そうだ.

初めての活動で,こんなに難易度を上げても良いか迷ったが,メンバーが異常に盛り上がっており,これで行くことにした.原因分析と対策の検討に,少し関与しヒントを出すことになるだろう.

目標は,現状3人・8時間の作業を2人・4時間に改善,となった十分挑戦的目標だ.当初彼らが設定したのは,2人・1時間.さすがにこの改善目標は思いとどまってもらった(笑)
久々に面白いコンサル仕事になりそうだ(笑)


このコラムは、2012年12月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第290号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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中国的QCサークル事情

 最近中国でQCサークル活動を指導している中国人と知り合った.中国の経営者は,日本的モノ造りの優位性を信じており,QCサークル活動に対しても少なからぬ期待を持っているようだ.

中国では,既に製造業以外でもQCサークル活動が行われている.
上述の中国人QCサークル指導者は中国の通信系会社(携帯電話キャリア)でもQCサークル活動の指導をしている.

ところで,本家であるはずの日系中国工場のQCサークル活動状況は,あまりぱっとしない.大手企業はQCサークル活動を導入しており,グループ会社間で交流会を開催しているところもある.
しかし中堅・中小の工場ではQCサークル活動を導入しているところは多くはない.

QCサークル活動は,活動そのものによる改善効果だけではなく,チームワーク,仕事を通した求心力の醸成,問題解決能力,プレゼンテーション能力などの開発が期待できる.

中堅・中小企業の場合,適切な指導者が社内にいないなどの理由があり,QCサークル活動の挿入に踏み切れない.また外部から指導者を招聘すれば,費用の負担が大きくなる.などの理由により,なかなかQCサークル活動が活性化しないようだ.

また日本でQCサークル活動が停滞しているのも一つの要因だろう.
しかし中国では,リーダクラス育成のためのOJT効果を期待してQCサークル活動を再生できると考えている.

異業種交流の形をとって,QCサークル活動を導入するなどの方法を考えれば,中堅・中小企業にも比較的容易に導入可能だと思う.

日本で生まれ,日本の経済発展に貢献したQCサークル活動が,中国企業だけで活性化しているのを見るのは大変残念だ.


このコラムは、2010年10月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第154号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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QCサークル活動

 日本でQCサークル活動をしておられた方に,QCサークル活動にネガティブな印象を持たれている方が多い様な気がする.投入した工数に対して成果が少ないと感じるのであろう.「バブル崩壊」前後にQCサークル活動が停滞し始めたという印象を持っている.活動が停滞し,活動件数がノルマとなると,成果の出る活動が少なくなる.そしてさらに活動が停滞する.一種の悪循環だ.
しかし日本のモノ造りが力を付けたのは,QCサークル活動に代表される現場の創意工夫があったからだ.

私は前職時代,開発設計部,品質保証部で仕事をして来た.全社にQC活動推進組織があるが,各事業部の品質保証部の責任者は,QC推進組織にも名前が入っているので,当然ネガティブな感覚など持ってはいられない(笑)
設計部門と営業部門が主体のファブレス事業部内で,いかにしてQCサークル活動を活性化するか考える側だった.

推進側に回って,いかにして技術者のやる気を上げるかに苦心した.
その時に感じたのは,「草の根活動」なんだから,サークルの自主性に任せるという考え方の上司の元で活動しているサークルの活性度が低かった.自主性に任せるとは聞こえが良いが,放置状態だ.活動件数がノルマ化しては活発な活動は期待出来ない.

中国でもQCサークル活動に取り組んでいる企業は多くある.
中国企業で,QCサークル活動を指導したこともある.最後の成果発表には,経営者も参加して,大いに盛り上がった.
日系企業のお客様は,日本本社の発表会に代表を送り込み,金賞を取って来た.更に顧客企業が開催する,ベンダーを含めた発表会でも第二位を獲得した.

QCサークルという名前を使っていなくても,プロジェクト活動などの名前で同様な活動をして成果を出している企業も多い.
QCサークル活動が停滞している企業との違いは,テーマ選定や目標設定に上司が積極的に関わっているところだろう.

活動による成果,メンバーの成長,ノウハウの横展開・蓄積の効果があり,一石三鳥だ.
こういう状態になればQCサークル活動に対する経営者の意欲も高まるはずだ.

中国・華南では広東省質量協会,広東省科学諮詢服務中心主催のQCサークル活動成果発表会が毎年開催されている.残念ながら,私が考えている様な発表会・交流会にはなっていない.60余りのサークルが,2日間ぶっ通しで発表を行う.質疑応答や講評も無しだ.

ならば自分でもっと意義のあるQCサークル成果発表会を開催しようと,野望(笑)を持っている.

まずは,QCサークル活動の底上げをするために「改善道場」を始める事にした.6社前後からチームを派遣してもらい,合同で各1テーマ活動を完結してもらう.
異業種のサークルも一緒に活動するので,刺激になるはずだ.

その次のステップとして,QCサークル活動の成果を発表し合う交流会を開催したいと考えている.
この交流会で,異業種のQCサークルとの交流を通して,更に意欲を高める.
大手の企業は,日本本社のQC大会に優秀サークルを派遣する事ができるが,中堅,中小企業も同様な効果をもっと手軽に得られればと考えている.


このコラムは、2012年9月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第274号に掲載した記事に加筆修正したものです。

6年前の「QCC道場」の構想(当時は改善道場という名前で考えていた様です)が実現しています。

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QCC活動の分担

 QCCによる改善活動と,日常の改善活動には役割分担があってよいはずだ.大掛かりな改善や,複数の部門の協力がなければ達成できないような改善は複数部門合同のQCC活動に任せるのが良い.

指導先で「顧客提供サンプルの合格率アップ」という活動をしているサークルがあった.事務機器業界の顧客には,サンプル提出後一発合格しているのに,新規業界の顧客向けサンプルは,合格率が低いという.

この手の問題は,顧客の要求仕様を把握する営業,その要求仕様を図面に落とす設計,サンプルを製作する生産技・製造,品質を確認する品証の協力がなければならない.
したがって複数部門合同のQCC活動に適したテーマと考えていた.

しかし活動内容の発表を聞いて考え直した.
今まで不合格となった試作サンプルは3件しかないということだ.
ならば,QCC活動でまとめて対策を検討するまでもない.その都度不良の原因調査と再発防止対策を検討する方が効率が良い.それがきちんと回る仕組みを作ればよいのだ.

例えば,サンプルを出荷する前に,営業,設計,生産技,製造,品証で出荷判定会議をする.サンプルが不合格となったら,このメンバーで原因調査,再発防止をきちんと実施する.

QCC活動では「歯止め」を行う.不具合の再発防止,水平展開,未然防止などをさして「歯止め」といっている.

例えば仕様の確認不足でサンプル不合格となった場合,「仕様確認チェックシート」などを作り仕様確認作業を標準化することである.しかし一番大きな歯止めは,前述した出荷判定会議である.

サンプル不合格の原因は,仕様の未確認だけではない.
製造の問題,治具の問題,測定方法などいろいろな問題があるはずである.それらの問題が出てくるたびに,問題解決の行動を起こすのではない.問題が発生したら自動的にアクションがとられる仕組みを準備しておくのだ.

何をすれば良いかわかっている改善活動は、QCC活動ではなくすぐに改善すべきだ。


このコラムは、2011年6月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第210号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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