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孔子

指導法

 論語にこういう一節がある。

子曰:“中人以上、可以語上也。中人以下、不可以語上也。”

《論語》第六雍也-十九

読み下し文にすると、子曰く、中人ちゅうじん以上には、以てかみぐべきなり。中人以下には、以て上を語ぐべからざるなり。

簡単に言えば相手のレベルに合わせて指導すべきだということだ。
部下の指導時に、いきなり難しいことを教えても消化不良になるだけ。逆に簡単なことをくどく説いても相手のモチベーションは下がる。
個人的には、相手のレベルより少し高いヒントを与え、考えてもらうようにするのがいいと思っている。「教わった」というより「自分で考えついた」と感じる方が身に付くだろう。
この一節は教える側の心得であるが、逆に考えることもできる。教えを請いたければ、その教えを受けるレベルまで成長しなければならない、ということだ。

孔子はこうも言っている。

子曰:“生而知之者上也。学而知之者次也。困而学之又其次也。困而不学。民斯爲下矣。”

《論語》第十六李氏-九

子曰く、生まれながらにして之を知る者は上なり。学びて之を知る者は次なり。くるしみて之これを学ぶは又其の次なり。困みて学ばざるは、民にして斯を下と為なす。

生まれながらにして知っている者が上。
学んで知る者が中。
困難に出会って学ぶ者は下。
困難に出会っても学ばない者は下の下。

上にはなれないかも知れないが、中でいたいモノだ。指導者の立場にあっても、学び続けることが必要だ。


このコラムは、2017年11月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第593号に掲載した記事です。

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前例

 「前例」という言葉は保守的な組織と革新的な組織を見分ける試薬だ。
「前例」という言葉を歓迎するのは保守的な組織。「前例」と聞いてがっかりするのが革新的な組織。

法曹界は判例という「前例」が判断基準となる。
銀行の様な硬い企業や、同じ企業内でも総務部の様な部門はどちらかというと「前例」が珍重される。
一方ベンチャー企業や、同じ企業内でも開発部門では「前例」を忌避する。

同じ人でも年齢を重ねるほど「前例」に頼る様になる。これを長年の積み重ねによる「知恵」と考えるか、年齢とともに保守的になったと考えるべきか。

古典に学ぶという姿勢も、前例主義と言えるかも知れない。
中国古典の論語にこんな一節がある。

「子曰く、学びて思わざればすなわくらし、思いて学ばざれば則ちあやうし。」

(為政第二-15)

学んだことを思考しなければ知識を生かせない。考えるだけで先人の知恵を学ばねばあやうい。という意味だ。

つまり学ぶのは「前例」であり、学んだ上で「革新」を考える。というのが孔子の教えだ。
こういう「前例」が2500年前からある。先人の知恵は学ぶべしだ。


このコラムは、2018年10月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第737号に掲載した記事です。

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そうじの効果

440号のコラムで、「トイレ掃除の効能」について書かせていただいた。
コラムの中で紹介した書籍「そうじ資本主義」を読んだ。

書籍の中に、そうじに関するアンケート調査の結果が紹介されていた。
大阪商工会議所が414社に対して実施したアンケート結果だ。

そうじの効果を直接効果の間接効果の二つに分けている。

  • 直接効果は、そうじによる効果だ。そうじを自社でやる、専門業者に委託するどちらにも同じ様に発生する。
  • 間接効果は、そうじという行為による効果だ。従って自社でそうじに取り組む場合に発生する。

【直接効果】

  • 職場環境の安全、公衆衛生の向上
  • 効率向上
  • 不良、コスト削減

【間接効果】

  • モチベーション、モラルの向上
  • チームワーク、連帯感の向上
  • 設備機械、備品の耐久年数向上
  • 売り上げ向上

そうじを専門業者に委託すると間接効果は発生しない。
経営者、経営幹部のあなたは率先してそうじに取り組む価値が有りそうだ。
効果があれば、ぜひお知らせたただきたい。

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このコラムは、2015年10月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第444号に掲載した記事です。

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20世紀型人員管理

「20世紀型人員管理」とは言い過ぎかも知れないが、ある中国民営企業の経営者を見ていて「20世紀型人員管理」と言う言葉が頭に浮かんだ(笑)

彼は国営企業出身で、独立し設計製造販売の企業を経営を経営している。ニッチな市場では、今年上半期の販売量で中国トップ10に入る企業だ。

多分国営企業勤務時代の名残りなのだろう。彼の頭にはマクレガーのX理論しか無い様だ。多くの中国人経営者と同様に、命令や強制で管理し、目標が達成出来なければ処罰といった「アメとムチ」によるマネジメント手法が有効と考えている様だ。

この企業で定期的に訪問指導をしているが、最終日のまとめ会議時の総括では、大声で幹部を批判する。成果に対する賞賛は一瞬で終わる。我々を退席させた後、延々叱り続けている様だ。

この企業では、会議に参加した経営幹部、管理職はいっさい発言しない。
彼らがおとなしい性格と言うわけではなさそうだ。自分が主催する部門の会議では部下がいっさい発言しない(笑)

この会社の風土は、従業員のレベルが低いから厳しく「要求」しなければ人は働かないと言う経営者の思い込みが作り上げている様に見える。
彼は、我々の「生産改善を通して幹部人員の改善能力、意欲を向上させる」と言う理念には、大いに賛同している。幹部、管理監督職の能力向上が有用だと考えている。そして研修に参加しない者は「罰金」を課す(苦笑)

X理論は既に中国でも限界に来ている。X理論信奉者は、80后、90后は理解出来ないと嘆く。

この企業を本当に改革するのは、現場の指導ではなく経営者の考え方を変える事だ。相当挑戦的な課題だが、まだ指導期間が残っている。困難ではあるが価値のある挑戦だと考えている。


このコラムは、2016年8月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第488号に掲載した記事です。

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新世界秩序

近代の世界秩序は軍事力で保たれてきたと言えるだろう。
第二次世界大戦後、ソ連、東欧対自由主義諸国の冷戦状況に対処するためNATOが結成される。
ソ連崩壊後東西冷戦は終結したように見えたが、イスラム武装勢力対米国・NATOの対立となる。
クリミア・ウクライナへのロシア武力侵攻により新たな米露対立が発生する。

現代は中国の経済発展により、経済は米中の二極対立となった。対立・秩序の基軸が軍事力から経済力に転換した。

そして今年になって新コロナウィルスの爆発的感染が世界に広がった。
中国は情報の隠蔽、改ざんにより世界から信頼を失う。米国は大統領の無能が露呈し信頼を失ってしまった。

世界は軍事力、経済力の均衡で秩序が維持されてきた。現在この時点で世界の秩序を維持するものは軍事力でも経済力でもない。
世界の秩序を維持するのは『道徳』であると言いたい。
道徳とは正直、誠実に他人を思いやる力だ。「3.11」で賞賛された日本人の道徳力を今こそ発揮する時だ。老子、孔子という道徳の始祖を持つ隣国も我々に追随するはずだ。


このコラムは、2020年4月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第967号に掲載した記事です。

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聞き間違い

 ネット上にこんな記事が出ていた。海外旅行に不慣れな団体を引率する旅行会社の添乗員は、目的地のイミグレの入国審査で「斉藤寝具店でーす」と答える様指導するそうだ。入国審査の係官には“Sightseeing. Ten days.”と聞こえるのだそうだ。係官は何度も同じことを質問しており、毎回同じ様な答えを聞いているので、耳が順応しているのだろう。すんなりパスするそうだ。

しかし我々の仕事上ではこの様な聞き間違いは重大な問題になりかねない。
復唱などにより相互確認をする必要がある。
多分中国の日系企業では「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)は常識として中国人従業員にも指導しているだろう。日本語を中国語に翻訳してに『菠菜(ほうれん草)』と教えたのでは中国人には意味がわからない。

中国人同士でも聞き間違いによるミスがあるはずだ。私はこんな笑い話で、教えている。

木の下に羊が死んでいるのを見つけた鷹は、今日はあの羊を食べようと思い、旦那に向かって「下面羊死了」(下に羊が死んでいる)と報告。旦那はそれを「下面痒死了」(お下がムズムズするの)と聞き違え、ムラムラしてしまいました。

この様に教えてホウレンソウが良くなるかは不明だが、印象には残るだろう。

ついでに中国の若者教えている「字謎」(なぞなぞ)もう一つ。
「玉」と板書してこれをなんと読むか尋ねる。当然中国人な怪訝な顔をして「yu4」と答える。いやこれは「主動一点」と読むのだと教える。主の点を下に動かすと玉になる、という意味だ。

「主動一点」これが意外と受ける。
受け身でなく、自主的にやりなさいという意味になるからだ。


このコラムは、2021年12月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1235号に掲載した記事です。

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ある中国人経営者の戦略

 久しぶりに、中国企業に勤めている友人に会った。彼の会社の中国人経営者は、以前日系企業に勤めており、日本語は堪能、日本びいきの人だ。

日本の品質要求は非常に高い。中国企業は言うに及ばず、欧米企業と比較しても日本企業の品質要求は高い。

中国企業の中には、日本のうるさい要求を嫌がり日系企業の仕事を受けない、と割り切る経営者が増えていると言う。

友人曰く、品質にかかる費用が大きく日系企業向けの製品は利益率が低いそうだ。中国の一流企業でも、日系企業と比べたら楽なモノだそうだ。当然利益率も中国企業向けの方が良い。そんな事情があり、ジワジワと日系顧客向けの生産比率が減っているそうだ。

しかし、この会社の中国人経営者は、日系顧客向けの生産を一定比率キープする様にしていると言う。その理由は、楽な仕事に慣れれてしまうと、日系顧客向けの製品は二度と作れなくなるからだと言う。

当然中国の消費者も、企業もこの先品質に対する考え方のレベルが上がって来るに違いない。

これは生産の品質ばかりではない。
例えば、出荷係のリーダと現場で話をしていると、話の最中にこうでしょ?と図解で説明してくれるのだが、図を描いているのは出荷製品が入っている段ボール箱だ。そんな所に描いちゃ駄目だ!と叱っても、何で?と言う顔をする。

梱包材料置き場にある組み立て前の段ボール箱が平積みになっている所に、昼休みに寝る従業員がいる様で、段ボールは人型に凹んでいる。

我々には当たり前の事が、彼らには当たり前ではない。彼らの当たり前は、我々には許容出来ない。しかしこのギャップは遠からず埋まってしまうはずだ。その時に日本的品質をちゃんと理解し、守れる工場が有利になる。

このメルマガでも何度も言っているが、品質とコストは別の話だ。
品質を上げるためにはコストがかかる、と言うのは言い訳に過ぎない。
コストと品質をトレードオフ関係にしてしまうから、解が得られないだけだ。


このコラムは、2015年4月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第421号に掲載した記事です。

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おにぎりとおみそしる

 小さな白いおにぎりと具のないおみそしる これは、わたしにとって、わすれる事のできないごはんです。
わたしは、東日本大しんさいで、自分の家にいられなくなり、ひなん所で生活していました。その時の食事の内ようです。
それまでのわたしは、おやつを食べて、食事の時には、テーブルにはたくさんのおかずがあって、食後には、デザートまでありました。それが、あたり前だと思っていました。
とつぜんのさいがいを受け、ひなん所で生活をしてみて、わたしが食べていたものが、とてもめぐまれていた事に気が付きました。何日間も、おにぎりとおみそしるだけを食べていましたが、ふしぎとあれが、食べたい、これが、食べたいとは、思いませんでした。おなかがすいて、食べる事ができることだけで、うれしかったからです。
白いおにぎりから、中に梅ぼしが入ったおにぎりになった時は、とてもうれしかったです。
ひなん所から、東京にいどうした時に、はじめて、おかずのついたごはんを食べました。弟が大好きな野菜を見て、「食べていいの。」と聞きながら食べていました。とても、うれしそうでした。

今もまだ、自分の家には帰れないけれど、テーブルには、わたしの好きな食べ物がたくさんならびます。季節のフルーツもたべられるようになりました。
ひなん所で、テーブルも無くて、おふとんをかたづけて、下を向いて食べた小さなおにぎりと具のないおみそしるの味は、ぜっ対にわすれません。こまっているわたし達にごはんを作ってくれた人達の事もわすれません。

ひなん所にいた時は、あまりわらう事ができませんでした。でも、今は、わらってごはんを食べています。つらい事やこわい事もたくさんありました。今は、ごはんを食べて、おふろにはいって、おふとんにねむれる事が、とてもうれしいし幸せです。
これからも、食べ物をそまつにしないで、楽しくごはんを食べていきたいと思います。 (全文)

この文章は、東日本大震災の影響で、福島県浪江町から埼玉県ふじみ野市に避難している小学4年生の常盤桃花さんが書いた作文「おにぎりとおみそしる」だ。この作文が注目を集め、埼玉県教育委員会が震災に関わる出来事を題材に作った道徳教材「彩の国の道徳 心の絆」にも採用された。

突然この様な文章を引用したのは、2012年4月5日に記録したEVERNOTEのメモを偶然見つけたからだ。この作文をEVERNOTEにメモした事すら忘れていた。
作文を読み返し、また涙が出た。
震災からもう4年が経った。当時の事を忘れない様にしたい。


このコラムは、2015年2015年5月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第422号に掲載した記事です。

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自己都合・顧客都合

 サービスや商品を顧客に提供しその対価を得る。簡単に言ってしまえば、これが企業活動の基本だ。この基本活動を、供給者側の自己都合でやるか、顧客都合でやるかで業績は全く変わってしまうと言うのが、私の持論だ。しかし供給側の自己都合による企業活動が横行している様に思える。

例えばスーパーマーケット。「売り場」と言う概念は自己都合だ。「買い場」と言う概念を持てば、顧客都合に近づく。
中国のスーパー(カルフールやウォールマートなどの外資系も含む)は、特設売り場を作るのは、営業時間中だ。通路の中央に特設した売り場の商品を入れ替える、こういう作業を混雑している時間帯に平気でやる。回収する商品、新しくディスプレイする商品を通路に並べ作業をする。当然買い物に来られたお客様は通路を迂回することになる。

10年間観察した経験によると、中秋節の夕刻7時頃が一番すごいことになる。
展示してあった月餅の売れ残りを一気に撤去し、別の商品を陳列する作業が始まる。月餅の販売は中国の重要な季節行事である為、どのスーパーも大量の月餅を展示販売する。これを一気に撤去し別の商品に入れ替えるのだから、混乱の極みとなる。
なぜそんなに急がねばならないのか理解に苦しむ。中秋節の夜にスーパーに行くと月餅はキレイに無くなっている。全て売りつくされたのではなく、夕刻に撤去され「何処かへ」搬送される。

こういうのを「自己都合」によるサービスと言う。
「顧客都合」で販売出来る様になれば、売り上げは増加するはずだ。

工場でも同じだ。
お客様の注文量よりたくさん生産して在庫しておく、と言うのは「顧客のため」に見えるが、様々な「自己都合」が隠れている。例えば、段取り替えに時間がかかり生産効率が悪いのでまとめ造りをする、などの自己都合だ。
顧客都合で生産が出来る様になれば、生産性は相当上がるはずだ。


このコラムは、2015年7月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第433号に掲載した記事です。

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中田英寿氏、人生の決断 なぜ文化の伝道師に?

 日経新聞電子版に、元サッカー選手・中田英寿氏の現在の活動を伝える記事が出ていた。

「中田英寿氏、人生の決断 なぜ文化の伝道師に?」
(残念ながら記事はすでに削除されていた)

現役選手時代は、トップ下の司令塔に立ちゲームメイクする中田に、日本のサッカーファンは絶大な信頼感を寄せていた。試合後の発言や、欧州チームへ移籍後普通に現地の言葉でコミュニケーションしている姿に触れ、知性の高い人物だと思っていた。

その中田が、W杯ドイツ大会後あっさり現役を引退してしまい、世界中を旅していると聞き、やっぱり「変な人」なんだと納得していた(笑)

記事によると、中田は3年かけて世界90カ国以上、150都市以上を歩き回ったそうだ。その旅の中で「世界を体験しようと思って旅に出たのに、逆に外国人から聞かれることは日本のことばかり。母国、日本の文化について自分は何も知らない」事に気がついたと言う。

こういう気持ちは、日本を離れ海外で仕事をされている方々に共通の感覚ではないだろうか。私自身も中国に住む様になってから、日本に対する愛着心が強くなっている。「八百万の神々」がおわす日本と、日本民族に対する誇りを強く感じる様になった。

中田の「自分は死ぬまで日本人。ずっと日本の文化のことを聞かれ続けられるのなら、日本のことをもっと勉強した方がいい」と言う発言に、強く共感する。

その後、中田は日本全国を旅して回り、日本文化を探求したと言う。
その結果、日本文化を世界に発信することをビジネスとしている。

中田は「日本の作り手はものを作ることに集中しているが、それをどう売っていくかという国内外の市場につなげる人があまりいない」と感じ、自らその役割を担うことを使命としている。

農業生産物、工業生産物を問わず、日本のモノ造りは、最高の品質を誇りとし生産をしているが、それが世界で市場を制覇しているとは言えない。製品は売れて初めて市場に認知される。売れなければないのと同じだ。
製品の価格や品質を売り込むのではなく。日本のモノ造りが、どのような文化背景で成り立っているのか。その文化的背景をセットにして製品を販売する。
そんなことができれば、新たな付加価値を付けることが出来そうだ。


このコラムは、2015年6月29日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第430号に掲載した記事です。

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