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日産“利益下落”止まらず

 日産自動車は14日、2020年3月期連結決算の営業利益が、前期比27.7%減の2,300億円になるとの見通しを発表した。リーマン・ショック時の09年3月期で営業赤字を計上して以来の低水準。元会長のカルロス・ゴーン被告が逮捕されて以来初となる通期決算の会見で、西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は「事件が直接、間接的に事業結果に表れてしまった」と述べ、業績低迷を陳謝した。

 中国がけん引し世界販売台数は同0.4%増の554万台と増加を見込むが、米国の収益力悪化が響く。為替や環境規制対応のほか、原材料価格の高騰も利益を押し下げる。西川社長は、「販売側の未達をコストの改善で補ってきたが少し
限界に来ている」とも述べた。

 19年3月期の営業利益は同44.6%減の3182億円だった。営業減益は3年連続。米国での一部車両の保証期間の延長により費用が膨らんだ。売上高は同3.2%減の11兆5741億円で2年ぶりの減収となった。

全文

(gooニュース より)

 1999年2兆円余りの有利子負債を抱え倒産寸前だった日産をルノーから派遣されたカルロス・ゴーンが2003年に負債を完済。親会社を上回る業績を上げている。

日産復活の立役者であるはずのゴーンは、今は特別背任容疑の被告だ。
日産の経営悪化の元凶はゴーンだ。会社の金を個人使用したからではない。
日産就任直後から「コストカッター」として徹底的なリストラと、購入部品のコストダウンを実行して、赤字経営を黒字化した。

横領・着服は論外としても、当時もてはやされたゴーンの経営手法が今日の日産の業績悪化に現れている。

トヨタは自動運転技術、ウーバーなどに積極的に投資をしている。
ホンダは小型ジェット機の開発に取り組んでいる。

ゴーンは負債返済後も未来への投資はしてこなかった様に見える。
ゴーンがやったことは「金の流れ」を管理することだけで、未来の事業を作る「時の流れ」は創造できなかった。

経営者として会社を黒字にすることは重要な役割だ。しかしそれだけでは会社の未来はない。

顧客・従業員を引きつける会社は「次は何をやるだろう」と期待させるものがある様に思う。


このコラムは、2019年5月22日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第826号に掲載したコラムです。

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現場はウソをつく?

 日本のものづくりの現場が、データの捏造、検査不正などの不祥事が続いている。強い現場力を持つ日本の製造業に変調が発生しているのだろうか?
そんな思いでこのメルマガにも何度かデータ捏造、検査不正について書いた。

こんな記事を見つけた↓
仮説「現場はウソをつく」は本当か

記事を書かれた経済ジャーナリスト・片山修氏は「組織上層部と現場に組織の壁があることが原因だ」と指摘しておられる。

リコール隠し、燃費データ捏造などの問題を抱えていた三菱自動車の経緯営者は「性善説を、会社の仕事に取り入れることは正しいのか。人間は間違いを犯す、あるいはとんでもないことをしでかすかもしれないという前提のもとに仕事をするという、気持ちのよくない話も、社員としなくてはいけない」と語っている。

しかし「間違いを犯す」「とんでもないことをしでかす」というのは悪意が有る訳ではなかろう。悪意はなくとも結果として不都合なことが発生する。善良であっても間違いを犯すことはある。従って善良な人が間違いを犯さない様に対策を考える、こういう考え方を「性善説」だと私は理解していた。

経営学者・野中名誉教授は「目的なく働いている従業員は今日の企業の脆弱性の主要な要因である」と指摘しておられるという。

働く目的、意義を見出せない人々の寄せ集めでは、強い現場力は生まれない。
生活の糧を稼ぐためだけに働いて入れば、社内で横行している不正に口を出す者はいないだろう。自分の仕事が社会にどんな価値を与えてるのか。その目的・意義に自信を持っていれば、社内の不正を黙認することはないはずだ。

ほとんどの不祥事は、内部告発で露見するという。どんな組織にも善良な人はいるものだと思いたい。

片山修氏は、検査不正、データの捏造がなかったトヨタとホンダは、経営幹部と現場一線の間に組織の壁が無いと指摘されている。

中卒の現場たたき上げであるトヨタ・河合満専務は日常的に工場の現場を回り、現場の様子や、従業員一人ひとりの様子に目を配っているそうだ。

「人間尊重」「すべての人間は技術の前に平等」を経営理念とするホンダの幹部は「騙されてもいい」と考えて仕事をしているという。

経営理念や経営方針に立派な目的や使命が上がっていても、それだけでは絵に描いた餅だ。経営者・経営幹部と現場一戦従業員の間にしっかりした信頼関係がなければ、経営理念も経営方針も役には立たない。

従業員の心を変え、良き企業文化を作ることが、企業から不正・不祥事を撲滅することだと思う。


このコラムは、2018年12月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第760号に掲載したコラムです。

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企業買収

 先週のメルマガで、鴻海精密工業のシャープ買収の件について書いた。
鴻海の郭台銘氏とは縁もゆかりもない。しかし鴻海や富士康出身の台湾人、中国人を何人も知っている。お父さんが鴻海グループに勤めていたと言う台湾の友人もいる。

そのような友人から『富士康』(フォックスコン)の社名は、即席麺メーカの『康師傅』をひっくり返してつけたのだと教えられた(笑)

以前指導していた台湾の電源メーカは、郭台銘から出資の提案を受けた。資本率が51%になる様に富士康側の出資金額を決定した。しかし電源メーカの経営者は、入金前日に秘かに増資。富士康に過半数をとらせない様にした。
これを知った郭台銘は激怒し契約を白紙撤回したそうだ。

郭台銘も以前指導した台湾人経営者も、このような策略権謀の士だ。
先週のメルマガに書いたように、当初の約束を反古にして7,000人を削減する。これは想定内だ。しかも融資金額は当初より大幅に減額されている。

「たられば」を語っても無意味と分かっているが、国内再建を目指せば少なくとも技術は守れたと思う。


このコラムは、2016年7月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第483号に掲載したコラムです。

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鴻海、シャープ7000人削減示唆

 シャープを買収する予定の台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が22日、国内外で7千人規模の人員削減や海外拠点の整理をする可能性を認めた。郭台銘会長やシャープの次期社長の戴正呉・副総裁が、鴻海の株主総会やその後の会見で示唆した。シャープは雇用の維持などを条件に鴻海の傘下入りを決めていたが、その前提が崩れた。

 鴻海は同日、台湾・新北市の本社で株主総会を開いた。戴副総裁は総会後に「全世界で7千人の人員削減の可能性はあるのか」と記者団から問われ、「可能性はある」と述べた。

 7千人は、国内外で約4万4千人いるシャープの全従業員の約16%にあたる。削減の中身は公表していないが、国内では約2千人、海外では5千人前後になりそうだ。

(以下略)

全文はこちら

(朝日新聞電子版より)

 23日にシャープの株主総会が開催され、鴻海精密の傘下に入る事が決定している。

雇用を守ると約束したではないか、と憤慨される向きもあるだろう。しかし企業買収とはこういうものだろう。企業の価値を高めて売り払う。利益向上が唯一無二の経営目的。この様な考えに基づく企業経営が世界標準となっている。
海外企業の買収を受け入れると言う事は、この世界標準を受け入れると言う事だ。

資産がいくら有っても、受注がいくら有ってもキャッシュがなければ企業は倒産する。
特に中小・零細製造業の場合、黒字経営が出来ていても多額の受注を得ると倒産してしまう事があり得る。先に部材を購入する必要があり、製品代金の回収は後になる。資金が回せなければ借り入れをする。その行き着く先がシャープの様な事になる。技術も従業員も守れない。

もっとえげつない事をする投資会社もあるだろう。
狙い目の企業を見つける。狙い目の企業とは、部材在庫や完成品在庫を沢山抱えており、キャッシュフローが回らなくなっている会社だ。

投資をしておいて、どんどん注文を取らせる。生産のために更に資金が必要になる。ここで追加投資の約束をしておいてずるずると送らせれば、支払い資金が足りなくなり倒産する。そこで残りの株を二束三文で買いたたき経営権を奪う。既存顧客、生産設備、技術、従業員が丸ごと手に入る。

鴻海精密が同様な事を考えているとは思わないが、金の運用でもうける事しか考えていない投資会社ならば、こういう筋書きを考えるかも知れない。


このコラムは、2016年6月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第482号に掲載したコラムです。

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直接労務費

 トヨタ出身の方と話をしていて、腑に落ちないことがあった。その方は直接労務費は固定経費に分類されると言われた。

固定費は製造原価の中で、生産量によって変動しない部分の経費をいう。
例えば工場の家賃、設備の減価償却費などは固定経費に分類される。直接工の労務費は生産量によって変動するので変動経費と考えるのが一般的だと思っていた。

直接労務費を固定経費に分類する理由を尋ねると、車の塗料も固定経費であると言われる。塗料は生産台数によって変動する。当然変動経費だと思っていた。ますます意味がわからなくなる。

重ねて質問すると、以下の答えが返ってきた。
車の塗料は一台分の量が必要であり、改善によって減らすことはできない。直接工のアワーレートも固定であり改善はできない。だから固定経費である、という理屈だ。

アワーレートは経費ではない。労務費=アワーレート×作業時間が経費であり、改善により作業時間は短縮できるはずだ。納得がゆかず考え込んだ。

トヨタの考え方は、改善できる経費は変動費、改善できない経費は固定費と分類している。それは現場の人間にも改善対象がわかるようにするためではなかろうかと思い至った。
確かにその方が作った原価費目のリストには、直接労務費は固定経費分類されており、労務費ではなくアワーレートが書いてある。

直接工のアワーレートは改善対象ではないが、作業時間は改善対象である、という考え方なのだろう。

トヨタ流というとJIT、カンバンなどが注目されるが、こういう地味な所にもこだわりがあるのかもしれない。


このコラムは、2019年4月29日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第816号に掲載したコラムです。

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ボトムアップ

 ボトムアップの意味を調べてみると「組織の下位・下層が意見や案を出し、上位・上層が吸い上げて合意(コンセンサス)や決定に至る形式。」とある。工場の現場職員が改善を提案し、上位職の承認を得て改善を実施するのが、ボトムアップ。その逆に上位職からの指示で現場が動くのがトップダウンだ。

「トップダウン改善」

5S活動やQCC活動はボトムアップ活動と理解されている方が多いと思う。

確かに5S活動もQCC活動も現場一線のメンバーが活動する。
現場の整理・整頓・清掃は現場のメンバーが実践する。
QCC活動も現場のメンバーがサークルを作って問題解決や課題達成の活動をする。

しかしこれらの活動がボトムアップだけでうまくいくだろうか?
5Sの第一歩は整理だ。整理とは「必要なモノと不要なものを区別して不要なモノを捨てる」ことだ。一線の現場職員が倉庫に長年眠る不動材料や完成品を廃棄することができるだろうか?これは経営者の決断が必要だ。

QCC活動もサークルメンバーに放任していると、就業時間を使って「本棚の整理を行い書類を探す時間を短縮する」などという成果を実感できない活動が横行することになる。

5S活動もQCC活動も上意下達のトップダウン活動ではない。現場の創意工夫を活かしたボトムアップ活動だ。上位職の役割は、方針や課題をメンバーと共有して権限を委譲することだ。

権限移譲を伴わないボトムアップは「丸投げ」という。


このコラムは、2018年11月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第744号に掲載したコラムです。

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「私は安全な場所から」 台風報道、消える「定番」中継

 今年は夏から秋にかけて台風でひときわ大きな被害に見舞われた。目に付いたのは、テレビ局による屋内からの中継だ。台風中継の意義とは?

全文

朝日新聞電子版より

 今年は台風、地震など自然災害が多くあった。
タイトルにある「定番」とは、強風、大雨の中でニュースキャスターが現場の状況を中継する報道のありようだ。

カッパにヘルメット姿のキャスターがマイクを握りしめ絶叫するように現場の状況を伝える、というのが台風に報道の定番だった。しかし今年は「私は安全な建物の中からお伝えしています」という報道が多かったそうだ。

しかし安全な場所からの報道で真実が伝わるのだろうか。
安全な場所からの映像を椅子に腰掛けて(笑)解説してもらっても、実感がわかないだろう。

わざわざ危険に身をさらすことはなかろう、という意見もあると思う。反対するつもりはない。しかし自局の職員の安全を優先するがために、下請けのフリーランス記者が戦闘地域に赴くことになる。組織力も資金力もない個人が徒手空拳で戦闘地域に出かけ人質として捉えられてしまったことに対し、社会的な批判が上がっているようだ。

しかし本来元請けの報道企業が万全の準備をして記者を送り込むべきだったのではなかろうか?報道の自由を言う前に報道の責任についても考えを巡らすべきだろう。


このコラムは、2018年11月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第743号に掲載したコラムです。

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台湾脱線事故の車両に設計ミス 製造元の日本企業が発表

 台湾東部の宜蘭県で先月起きた脱線事故で、事故を起こした「プユマ号」をつくった日本車両製造(名古屋市)は1日、車両の安全装置「自動列車防護装置」に設計ミスがあったと発表した。本来は運転士が装置を切ると、その情報が運行を管理する指令員に自動で伝わるはずだったが設計ミスが原因で伝わらないようになっていたという。

(以下略)

全文

(朝日新聞デジタルより)

 10月21日に発生した脱線事故の映像を何度も見た。福知山線の脱線事故を思い起こされた方も多かったのではなかろうか。

福知山線脱線事故

ウィキペディアにはすでに本件の情報が上がっている。
(タイトルは変更提案が出ているらしいので、URLは変更になる可能性あり)

新聞の報道やウィキペディアの記事を参考にすると、事故列車は度々ブレーキがかかり予定時刻より運行が遅れていた。ブレーキがかかる原因は不明だが、自動列車防護装置 (ATP) をオフにすることによりブレーキがかかる不具合は解消された。しかし速度オーバでも自動ブレーキは効かない状態となり、速度オーバーで事故現場のカーブを曲がりきれず脱線した。

本来ATPを解除すると運行指令で把握できる仕様になっていた。しかし朝日新聞の報道では、日本車両製造の設計ミスにより通知機能が実装されていなかった。
しかしウィキペディアの記事には、2010年に全列車に通知機能が取り付けられていたが、実装段階で指令員に使い勝手の悪さを指摘され、当時入札中だったプユマ号のTEMU2000型には搭載しなかった。という記述がある。

ATPを切ってでも運行を継続していたことについては、故障が常態化していた。
遅延時には指令から運転手に対しATPを切ることも含めた回復運転を図るよう日常的に要請されていた、という元運転手の証言があるそうだ。

いずれにせよ、本事故の根本原因はATPオフのまま運転をしたことではない。しばしばATPが(誤動作により?)作動しブレーキがかかったことだ。故障原因を特定しないまま、対処療法としてATPをオフにしたため速度オーバでカーブに突入してしまった。

その上、台湾鉄道の組織文化が誘因になったと思われる。
台湾鉄道では、2018年より列車の遅延が30分以上となった場合運賃全額を払い戻すことになっている。(日本の場合は2時間以上遅延で特急・急行料金のみ返却)

また運転手は、乗務時間と運行距離は点数として累積され、一定点数に達すると報奨金が与えられるが、一度の遅延で点数はリセットされる、という評価をうける。

安全運転より定刻運転を優先する組織文化が今回の事故誘因となったのではなかろうか?

組織事故


このコラムは、2018年11月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第742号に掲載したコラムです。

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常識

 中国での生活や仕事では、我々の常識が通用しないことがままある。同様な体験をされた方も多いと思う。異文化の中で仕事をしていれば、我々の常識が通用しない事が発生するのは「常識」だとも言える(笑)

しかし常識が通用しない部下に「そんなの常識だろ」と言っても意味がない。
ただ部下に対する指導を拒否しているだけだ。

以前こんな事例をご紹介した。

常識の壁を越える

部下が「常識」だと思っていることを否定しても意味がない。
納得できない指示命令、指導は成果が出ない。

部下が自主的に自分と同じ判断ができるように指導をすることが必要だ。非常識を常識と信じて仕事をしているのは、知識や経験が足りないことが原因だ。文化の違いを議論する必要はない(笑)

教えて、やって見せれば理解できるはずだ。
「そんなの常識だろ」と片付けてしまうのは、部下の指導を放棄している事になる。


このコラムは、2018年11月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第741号に掲載したコラムです。

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続々・研修の目的

 二週間続けて研修の目的について考えてみた。

「研修の目的」
「続・研修の目的」

「研修の目的」では、研修開催は目的ではなく、何らかの問題を解決するための手段であるという趣旨のことをお伝えした。
先週の「続・研修の目的」研修を開催できない事例をもとに、研修を開催できない理由が課題となる。例えば「生産が逼迫しており研修を開催できない」は生産能力が不足しているという課題である。

では、現場のリーダが研修を受ければ生産能力が上がるかといえば、そんな美味しい話はないのである。身も蓋もない話で申し訳ないのだが、研修を受けて満足した。研修を受けて知識が増した。しかし何もしなければ、研修の成果はない。
研修の目的は得た知識を能力として活用(行動)することだ。それによって受講生が持っている課題を解決することが研修の本来の目的だ。

我々が現場改善のお手伝いをするもの同様だ。生産性改善、不良削減などの目的を達成するだけでは不十分だ。顧客のメンバーの能力と意欲を向上し、改善が継続するようにすることが必要だ。


このコラムは、2021年5月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1143号に掲載したコラムです。

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