子路曰:“卫君(1)待子而为政,子将奚(2)先?”
子曰:“必也正名(3)乎 。” 子路曰:“有是哉。子之迂(4)也。奚其正。”
子曰:“野哉,由也。君子于其所不知,盖阙(5)如也。名不正,则言不顺。言不顺,则事不成。事不成,则礼乐不兴。礼乐不兴,则刑罚不中(6)。刑罚不中,则民无所措手足。故君子名之必可言也,言之必可行也。君子于其言,无所苟(7)而已矣。”
《论语》子路第十三-3
(1)卫君:衛の32代君主。衛霊公の孫
(2)奚:什么。何を
(3)正名:身分、地位を正す
(4)迂:まわり遠いこと
(5)阙:疑わしい
(6)中:適切な
(7)苟:马马虎虎。いい加減な
素読文:
子路曰く、衛君、子を待ちて政を為さば、子は将に奚をか先にせんとする。
子曰く、必ずや名を正さんか。
子路曰く、是有るかな、子の迂なるや。奚ぞ其れ正さん。
子曰く、野なるかな由や。君子は其の知らざる所に於いて、蓋し闕如たり。名正しからざれば、則ち言順わず。言順わざれば、事成らず。事成らざれば、則ち礼楽興らず。礼楽興らざれば、則ち刑罰中らず。刑罰中らざれば、則ち民手足を措く所無し。故に君子之に名づくれば、必ず言うべきなり。之を言えば必ず行うべきなり。君子は其の言に於いて、苟しくもする所無きのみ。
解釈:
子路曰く「もし衛君が師を迎え政治を委ねられることになったら、師はまず何をなさいますか」
子曰く「先ず名分を正そう」
子路曰く「そうされますか。それでは回りくどくなないでしょうか。名分など正すことに意味があるでしょうか」
子曰く「由(子路のこと)よ、お前は乱暴だな。君子は自分の知らないことについては、謙虚であるものだ。そもそも名分が正しくないと論理がずれる。論理がずれると事は成し遂げられない。事が成し遂げられなければ礼楽が興らない。礼楽が興らないと刑罰が適正とならない。刑罰が適正でないと人民はどうしたら良いか迷うようになる。だから君子は必ずまず名分を正す必要がある。君子は、名分の立たないことを口にすべきでなく、口にしたことは必ずそれを実行にうつさなければならない。いい加減な口をきくような人は、断じて君子とはいえないのだ」
孔子は「刑罰中らざれば、則ち民手足を措く所無し」と言っています。「煽り運転」に対して法改正が行われ厳罰化されましたが、相変わらずニュースでは煽り運転のニュースを目にします。現代の日本人には2500年前の孔子の言葉が届いていないようです。